長時間労働が疑われるすべての事業場に監督指導

今年度・令和5年度の労働基準監督署の調査は、どんな企業が対象なのか、1ヶ月ほど前のブログ記事でもアップしたところです。
今年の労働基準監督署の調査は、どこが狙われる?

ちょうど労働新聞社さんの記事が出ていたので、引用させてもらいます。労働新聞の定期購読者ではないので、誰でもが見える部分です。
▶労働新聞社:5年度監督指導 過労死ラインは全数監督 各種情報から選定 厚労省

5年度監督指導 過労死ラインは全数監督 各種情報から選定 厚労省
2023.06.01 【労働新聞 ニュース】
○情報公開請求で明らかに
 厚生労働省が令和5年度の監督指導について、いわゆる過労死ラインを超える長時間労働が疑われるすべての事業場に監督指導を実施する方針であることが本紙の情報公開請求により分かった。本紙が公開請求したのは今年度の監督指導に当たって留意すべき事項を示した通知で、一部は黒塗りとなっていた。同通知では、各種情報から月80時間を超える残業が疑われる事業場と、過重労働による労災請求があった事業場は全数監督を行うとしている。(以下、労働新聞の定期購読者のみ)

大阪社労士事務所・長時間労働が疑われるすべての事業場に監督指導

月80時間超は、どこから来るのか

「過労死ライン」からでしょうか。記事の本文に書いてありますけど、念のため復習。

『脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について』(平成13年12月12日付け基発第1063号厚生労働省労働基準局長通達)による。

同通達は
(1)発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること
(2)発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる
とした。
(Wikipediaから引用、スミマセン。下線部は当方で装飾)

もちろん、今年度から適用された時間外労働の上限規制、「複数月80時間以内」が先に思い浮かぶのも自然です。

長時間労働の疑いは何でチェック?

記事の本文中に「各種情報から月80時間を超える残業が疑われる」とありますが、毎度申し上げているように36協定から引っ張ってくるでしょう。以下、ブログ記事部分は推測です。

特別条項付き36協定で、時間外労働の上限を労働基準法の上限と合わせて設定した場合、単純に「月100時間未満、年720時間」としたら、間違いなく(全数)調査対象になっていると推測できます。月80時間超に設定したら、実際の時間外労働は何時間であろうと「長時間労働の疑い、あるでしょ」と言うことです。
(令和5年4月1日を期間に含む36協定が対象です。ただ、特別条項付きは各種調査でも大企業の適用率が高いので、と書いておきます。休日労働はどうなんねん、そう思ったのですが、憶測ですが月60時間超+休日労働2日以上なら、月80時間超の可能性はなきにしもあらず。)

「過重労働による労災請求」は、自社のご担当者様なら自覚はあるかと。

その他には、労働基準監督署に長時間の時間外労働の申告があった、公共職業安定所で離職票の離職理由に「長時間の時間外労働があった」(離職の直前6か月間のうちに3月連続して45時間、1月で100時間又は 2~6月平均で月80時間を超える時間外労働が行われたため:特定受給資格者等)と認められた、これぐらい。

これも調査される

それは、月60時間超の対応ができているか、就業規則、賃金規程、賃金台帳等々~は調査の際に見られること必至。と言っても、通常の労基署調査でも調べられますので、余計なことかも知れません。

「36協定には月80時間超で上限設定しましたが、実際には月60時間も残業させてません。」
そう言っても、賃金規程・給与規程で月60時間以下、60時間超の割増率の区別が無ければ、是正勧告は出ます。今、管理部門の責任者様、人事総務のご担当者様がすることは、お分かりですね。→顧問社会保険労務士がいない場合は、是非『労務相談顧問』をご検討ください。

「長時間労働が疑われるすべての事業場に監督指導」は、令和5年度だけじゃないんですけどね。
▶厚生労働省:長時間労働が疑われる事業場に対する令和3年度の監督指導結果を公表します
▶厚生労働省:長時間労働が疑われる事業場に対する令和2年度の監督指導結果を公表します

全数調査、ココがポイント。

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