世代交代・事業承継を考えている企業
就業規則・労使協定
まずは、就業規則の見直しから着手します。
それは、「会社の憲法」である就業規則がナゼか、ほったらかしにされている例が多いからです。現時点の経営者・社長の時代に、見直し・変更できるところはやってしまいたいと思います。
十分に説明し、従業員の理解を得て、変更作業を行います。不利益変更についても、労働契約法の精神に沿って、代替措置・説明可能なことについては、変更します。
労使協定は、未整備のものはすぐに整備し、社内保管あるいは労働基準監督署へ提出します。
一方、整備だけでなく、就業規則は運用に注意します。
服務規律で規定されているにもかかわらず、守られていない項目については順守されるよう指導を行います。
ただあるだけの就業規則ではなく、馴れ合い体質になってしまった企業では、「使う就業規則」であることが重要です。
労働トラブル・社内コミュニケーション
現時点で、どういった問題が企業にあるのか、それを把握します。
ここでは、とくに人事労務や労働に関する問題点を把握することが今後に向けた対策を立てやすくさせます。
手法としては、ES調査(従業員満足度調査)や個別・グループ面談で、問題点を浮かび上がらせることが、最も分かりやすく、そして将来に対して従業員の側でも問題意識を所有していただけるからです。
労使トラブルは表面に出やすいのですが、労働者対労働者のトラブルは、表面に出てきにくいものです。社内コミュニケーションが有効に作用していれば、社内ネットワークを通じて問題が表面に出やすくなります。
注意したいのは、個別・グループ面談は社内で対応すべきですが、ES調査は、社外の社会保険労務士やコンサルタントに依頼する方がよろしいでしょう。
経営者の声が伝わっていますか
経営者・社長の気持ちを伝えるのは、何でしょうか。
それは、私は「人事評価制度」だと思います。
その企業に於いて、どう行動すれば良い評価されるのか、どんなことをしなければ悪い評価になるのか、あるいはどういうことが従業員に求められているのか、それが人事評価制度だからです。
事業承継後に、人事評価制度を新たに構築すれば、「締め付け」と感じる従業員もいることでしょう。
できれば、事前に、後継者予定者・後継者候補者を交えて、人事評価制度を整備、見直しておくことが、求められます。
事業承継に関する覚え書き
事業承継は、経営面の承継と財産面の承継があります。財産面の承継については、弁護士・税理士などの専門家にご相談されるようお願いします。
(上記項目は、経営面のうち、労働・人事労務に関する部分です。なお、上記項目は経営面・財産面ともに親族に承継する場合を想定しています。)
- 後継者の選定は、早めに。
じっくりと育成ができ、社内体制の整備も着実に行えます。
- 株式対策は、早めに。
- 創業オーナーが大株主
贈与税の非課税枠110万円を使いながら、後継者へ株式の譲渡ができます。 - 定款の見直し
会社法の施行で、定款に定めることで、株式譲渡制限、自己株式の売り渡し請求などの方策をとることが可能です。 - 名義株問題
平成2年以前の株式会社の場合です。 - 相続時精算課税制度の活用
65歳以上の親から、20歳以上の子への贈与に利用できます。基礎控除が2500万円です。 - 遺言の活用
株式の分散を防ぐため、後継者に株式が相続されるよう遺言に記しておきます。
- 創業オーナーが大株主
- 中小企業経営承継円滑化法
- 民法の遺留分制度の特例
- 「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」があります。事業継続要件があり、雇用の8割以上を維持することが含まれるため、解雇・退職に気を付ける必要があります。
世代交代・事業承継の諸問題を解決する社会保険労務士
就業規則等の社内規程、人事労務諸制度の整備、従業員・社員などの個別の労働条件についての整備、労働トラブルの芽となる事項などを解決します。
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