育児・介護休業等の労使協定は、締結していますか?
「まさか」と思う事案が立て続けに起こりました。それは、入社後間もない方からの育児休業・介護休業の取得申し出。別に取得が良いとか悪いとかではなく、1年経たないけれど、休業したい、との申し出がありました。
勘の鋭い方なら分かりますね。
育児休業・介護休業は、除外協定があれば、入社1年以内なら取得を拒むことができると。それぞれ、育児休業給付・介護休業給付がありますが、入社1年経っていなければ、、、、、ですが、前職から現職までにいわゆる失業給付は受け取っていない方々でした。
(まあ、育児介護休業等の協定は、毎度お願いしているのですが、「1年以内に休業取る従業員・社員なんていないでしょ」とか「普通、そんな状態で転職しないでしょ」と言われ、結構な割合で昔で言う「除外協定」はなかなか取ってくれません。かつ、事業所・事業場ごとですから…。おまけにここ数年の頻繁な法改正の影響も。)
結果「しゃあないなあ」(お客様のご担当者)で済んでいますが、もうちょっと厳しめにアドバイスする方が良いのかと悩む毎日。
厚生労働省のページで確認
厚生労働省の該当ページをリンクしておきます。
▶厚生労働省:育児・介護休業法について
▶厚生労働省:育児・介護休業等に関する規則の規定例
リンク切れした場合には、「育児介護休業 厚生労働省」などでGoogle検索してください。
労使協定は、下側の「規則の規定例」にありますので、それをご利用ください。
また、すでに書いていますが、事業所・事業場ごとに労使協定は必要になります。ご注意ください。
(支店や支社、工場・店舗などがある場合、原則それらごとに労使協定は必要です。)
「過去の除外協定は、今の育児介護休業でも適用できるの?」と質問をいただきますが、内容が不十分になっている面もあります。適用できる場合とできない場合があるので、最新の労使協定での締結を強くおすすめします。)
育児介護休業等の労使協定例
検索用に、モデル労使協定を貼っておきます。
◯◯株式会社と□□労働組合は、◯◯株式会社における育児・介護休業等に関し、次のとおり協定する。
(育児休業の申出を拒むことができる従業員)
第1条 事業所長は、次の従業員から1歳(法定要件に該当する場合は1歳6か月又は2歳)に満たない子を養育するための育児休業の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社1年未満の従業員
二 申出の日から1年(法第5条第3項及び第4項の申出にあっては6か月)以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
2 事業所長は、次の従業員から出生時育児休業の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社1年未満の従業員
二 申出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(介護休業の申出を拒むことができる従業員)
第2条 事業所長は、次の従業員から介護休業の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社1年未満の従業員
二 申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(子の看護休暇の申出を拒むことができる従業員)
第3条 事業所長は、次の従業員から子の看護休暇の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社6か月未満の従業員
二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(介護休暇の申出を拒むことができる従業員)
第4条 事業所長は、次の従業員から介護休暇の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社6か月未満の従業員
二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(育児・介護のための所定外労働の制限の請求を拒むことができる従業員)
第5条 事業所長は、次の従業員から所定外労働の制限の請求があったときは、その請求を拒むことができるものとする。
一 入社1年未満の従業員
二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(育児短時間勤務の申出を拒むことができる従業員)
第6条 事業所長は、次の従業員から育児短時間勤務の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社1年未満の従業員
二 週の所定労働日数が2日以下の従業員
(介護短時間勤務の申出を拒むことができる従業員)
第7条 事業所長は、次の従業員から介護短時間勤務の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社1年未満の従業員
二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(従業員への通知)
第8条 事業所長は、第1条から第7条までのいずれかの規定により従業員の申出を拒むときは、その旨を従業員に通知するものとする。
(出生時育児休業の申出期限)
第9条 事業所長(三を除く。)は、出生時育児休業の申出が円滑に行われるよう、次の措置を講じることとする。その場合、
事業所長は、出生時育児休業の申出期限を出生時育児休業を開始する日の1か月前までとすることができるものとする。
一 全従業員に対し、年1回以上、育児休業制度(出生時育児休業含む。以下同じ。)の意義や制度の内容、申請方法等に関する研修を実施すること。
二 育児休業に関する相談窓口を各事業所の人事担当部署に設置し、事業所内の従業員に周知すること。
三 育児休業について、○○株式会社として、毎年度「男性労働者の取得率○%以上 取得期間平均○か月以上」「女性労働者の取得率○%以上」を達成することを目標とし、この目標及び育児休業の取得の促進に関する方針を社長から従業員に定期的に周知すること。また、男性労働者の取得率や期間の目標については、達成状況を踏まえて必要な際には上方修正を行うことについて労使間で協議を行うこと。
四 育児休業申出に係る労働者の意向について、各事業所の人事担当部署から、当該労働者に書面を交付し回答を求めることで確認する措置を講じた上で、労働者から回答がない場合には、再度当該労働者の意向確認を実施し、当該労働者の意向の把握を行うこと。
(出生時育児休業中の就業)
第10条 出生時育児休業中の就業を希望する従業員は、就業可能日等を申出ることができるものとする。
(有効期間)
第11条 本協定の有効期間は、◯年◯月◯日から◯年◯月◯日までとする。ただし、有効期間満了の1か月前までに、会社、組合いずれからも申出がないときには、更に1年間有効期間を延長するものとし、以降も同様とする。
◯年◯月◯日 ◯◯株式会社 代表取締役 ◯◯◯◯ □□労働組合 執行委員長 ◯◯◯◯
●労働組合がない場合は、従業員代表(過半数代表)などに変更
●除外部分は、規程とリンクしておりますので、修正変更は要注意
●一部強制でない部分があり(貴社責任で修正ください)
令和7年4月にも改正がある
先の厚生労働省リンク先を再掲します。
▶厚生労働省:育児・介護休業法について
いっそ「労使協定で除外とされた者を除き、育児休業・介護休業等は取得することができる」と簡略化して規定することも不可能ではないです。規定しないのは、労働基準法違反(就業規則の絶対的必要記載事項の違反)になりますので、ご注意ください。
↑ ↑
「 」内の規定はちゃんと練っていません。また、育児介護休業等規程は手続きの詳細が規定されています。そのため、簡略化しすぎると対象者が出た場合に「どうしたら良いの?」となるので、まさに貴社責任でお願いします。フルの育児介護休業等規程でも同じかも知れませんが…。
まあ、何とかしたいところです。
大阪社労士事務所
【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】
年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。
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