年次有給休暇の計画的付与とは
「年次有給休暇の計画的付与」とは、会社において従業員が自分の仕事を調整しながら、気がねなく休めるように、会社ごと、部署ごと、個人ごとに予め計画を立てて年次有給休暇を取得するための制度です。
たとえば、ゴールデンウィーク、お盆休み、年末年始といった大きな休みの導入に年次有給休暇の計画的付与が利用されています。この制度の導入は、年次有給休暇の取得率が低い状況を向上させ、労働時間を減らそうというのが目的です。
すべての年次有給休暇を計画的付与にするのではなく、一定日数(5日)は個人的な事由で取得できるようになっています。
「年次有給休暇の計画的付与」導入方法
年次有給休暇の計画的付与を導入するためには、労使協定により、年次有給休暇を与える時季等を定める必要があります。
年次有給休暇の計画的付与方式として、次の3つがあります。
- 会社全体の休業による一斉付与方式
- 班別の交代制付与方式
- 年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式
労使協定で定めること
特別の事情により年次有給休暇の計画的付与が適当でない従業員等の除外についても決めておきます。
導入にあたって気をつけること
- 年次有給休暇の計画的付与日の変更
年次有給休暇の計画的付与で指定されている日を変更することは、従業員から(時季指定権)も会社から(時季変更権)もできません。年次有給休暇の計画的付与で日を指定する際には、注意が必要です。労使協定に締結しなおし等の条件が盛り込んであれば、労使協定の締結をしなおすことで年次有給休暇の計画的付与の日を変更することはできるようです。
- 年次有給休暇の日数が少ない従業員の年次有給休暇の計画的付与
年次有給休暇の計画的付与の対象になるのは、年次有給休暇の日数のうち個人的な事由による取得のために留保される5日を超える部分です。そのため、年次有給休暇の日数が足りない、もしくはない従業員に年次有給休暇の計画的付与をする場合は、次のような措置が必要です。- 休業手当を支払う
- 年次有給休暇の付与日数を増やす(特別休暇で対応する。経験上こちらをおすすめします)
- 退職予定者の年次有給休暇の計画的付与
退職予定者が、年次有給休暇の計画的付与前に計画日数分の年次有給休暇を請求した場合、退職後を付与日とする年次有給休暇の計画的付与はできないため、年次有給休暇の計画的付与前の年次有給休暇請求を拒否できません。
- 前年度繰り越し年次有給休暇の取扱い
年次計画的付与で対象となる5日を超える部分とは、前年度の繰り越し年次有給休暇も含みます。昨年繰り越し日数が2日で、今年度付与日数が12日の場合、年次有給休暇の計画的付与の対象となるのは9日ということになります。
導入の実例
- 1年を上半期、下半期に分けて、各半期で5日間を本人の希望を含め、指定。(バーターなし。気楽に休めると意外と評判良し)
- 元日以外の国民の祝日、国民の休日を指定。バーターとして、未消化の有給休暇で時効に掛かる分は、病気・介護の時にだけ使える特別休暇として積み立てる制度を導入。
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