ついに出た、パートタイマーが複数事業所で社会保険加入

早めに帰ろうと思った瞬間、お客様から電話が掛かってきました。
「実は、これこれしかじかでパートタイマーに社会保険を加入させるんですが、別の会社でも社会保険に入っているらしいんです。」

  • 別の会社(事業所)でも、短時間労働者として健康保険・厚生年金に加入している
  • 実労働時間が週20時間以上になったので、日本年金機構のルール通りに3ヶ月目の初日から資格取得手続きを予定
  • まだまだ若い方(65歳にも満たない)

特定適用事業所で働く短時間労働者については、公式のページでご確認ください。
▶日本年金機構:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

2以上の事業所で勤務する場合の手続きも公式から。
▶日本年金機構:複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き

一般の被保険者が100名を越える企業様でしたが、現在の人事総務のご担当者になってからは、複数事業所の手続きはしたことがなかったとのこと。書類名は「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」です。

大阪社労士事務所:ついに出た、パートタイマーが複数事業所で社会保険加入

前提として通常の資格取得届を届け出ます。その後に(同時に)二以上事業所勤務届を届け出ます。

健康保険

2つ以上の事業所で勤務しても健康保険証は1枚しかもらえません。そのため、二以上事業所勤務届で、被保険者が保険証の交付を受ける方を選択します。まあ、書類名通りです。

従業員・社員ご本人、今回の場合はパートタイマーが届け出者になります。兼業先の保険証の番号等は分かりませんし、ご本人がどちらの社名の入った保険証の交付を受けたいのか選んでいただきます。

通常、以前と同じ企業の方を選択しても保険証の番号が変わります。

資格取得届を電子申請で行っている場合であっても、二以上事業所勤務届は届け出者が違いますので、電子申請するなら従業員・社員の委任状が必要です。

(どちらかが健保組合の場合も基本は同じ手続きです。給付内容が違うことがありますので、要注意。)

厚生年金保険

選択はありません。
2以上勤務の間は、報酬の合計額をベースに厚生年金保険の保険料を支払いますので、将来受け取る年金にそれなりに反映されます。

保険料は?

健康保険・厚生年金保険とも按分した計算書が送られてきて、それに基づき徴収・納付します。健保組合が絡んでいる場合もほぼ同じです。

A社で10万円、B社で9万円なら、合計の19万円が分母になります。実際に送付される計算書を見てもらう方が早いかと。

役員なら上限額に張り付いている場合も計算書は送られてきます。

給与計算は?

計算書の数字を給与計算ソフトなどに入力します。面倒ですが仕方ありません。

多くの給与計算ソフトでは「2以上勤務」などのチェックボックスがあるはずですので、そこにチェックを入れれば入力できます。ない場合は、毎月手入力ですかねえ。

甲表・乙表の問題もありますので、税務の書類もチェック。

(でも、100名を越える企業様が使う給与計算ソフト・システムなら、ないはずはないと思います。50名なら状況は変わるかも知れないですね。)

雇用保険

今回はマルチジョブホルダーでは無いと言うことで、どちらかの事業所を事実上選択いただきます。公式の表現はこちら。

同時に複数の会社で雇用関係にある労働者(それぞれの会社で雇用保険の加入要件を満たす場合)については、生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係にある会社でのみ加入していただくこととなります。

「保険料」のところの例示なら、A社になるかと。
A社では、社保と雇保の加入、B社では社保だけの加入になります。

面倒なことは避けたいが…

原則、社会保険・雇用保険ともにマイナンバーを使っての手続きになります。ばれます。。。。。

労務管理

今回、役員でなく、パートタイマー(短時間労働者)だったので、労働時間や兼業・副業の許可の問題が発生します。役員でも他社との関係は出てきますが、横に置いといて…。

社保の加入うんぬんを、対象のパートタイマーに伝えたところ、その時点で兼業・副業が分かったとか、面接の時点で答えていたとか、管理職には言ってたとか、別のややこしい問題が発生したとは聴いていません。

労働時間については、これ以上書くと面倒ですが、ルールでは後から勤務した事業所が割増賃金等の対象になります。自己申告を信じるしかありません。

最後に

忘れては困るので、それぞれの項目は浅くとも書いておきました。備忘録

まさかというか、2以上の場合は役員の場合がほとんど。雇用保険の問題があるので、役員でない場合でグループ企業内であれば「出向」「兼任・併任」で対応するのが楽かも。

※守秘義務の関係で、内容については脚色しています。

労務相談顧問
就業規則の作成・変更・見直し
ハラスメントの外部相談窓口


大阪社労士事務所

【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】

年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。
労働条件自主点検表が送付された場合の対応もおまかせください。

ご相談・ご依頼は、ご遠慮なくどうぞ。

まずは、「お問い合せ」フォームから。
依頼・委託を決めておられる場合は、電話 06-6537-6024(平日9~18時)まで。
不在時は、折り返しお電話させて頂きます。

貴社の人事労務の問題点をチェックします

外部から人事労務の問題点を指摘される前に、労働トラブル発生の前に、企業の人事労務問題点を監査します。是非、ご相談ご利用ください。▶人事労務監査
(社会保険労務士は、企業の経営労務監査を実施します。M&Aデューデリ、事業承継デューデリにも対応。)

a:454 t:1 y:0