時間外60時間超の割増50%まで半年ない、その対応

ある研修会に参加していると、働き方改革関連法の施行状況について案内がありました。社会保険労務士なので、知っていると言えば知っていますが、改めて記録しておきます。

中小企業の事業主の皆さまへ
2023年4月1日から
月60時間を超える時間外労働の
割増賃金率が引き上げられます

◆改正のポイント
中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%になります

▶厚生労働省:上記内容のチラシ(pdf)

最近36協定(届)についてお客様から相談を2,3件いただいたこともあり、まとめておこうという気持ちになりました。

新味はありません! 常識的なことを書き連ねているだけです。過去にも時間外労働の削減などで書いているブログと同じ内容です。

大阪社労士事務所・時間外60時間超の割増50%まで半年もない、その対応

時間外労働の原因を探る

  • 全社的に時間外労働が多い
    単純に人手が不足しているケースが多い
  • 一部の部署だけ時間外労働が多い
    単純にその部署の人手が不足している、マネージメントのミスがありうる
  • 特定の従業員・社員だけ時間外労働が多い
    業務の属人化になってしまっているケースがほとんど
  • 特定の時期・タイミングだけ時間外労働が多い
    年度末決算にかかる数週間、給与計算の締め日から数日など「昔ながらの」やり方を踏襲しているケースが多い

解決のヒントとして考えられるのは、こんな感じ。

  • 業務改善(管理部門でもECRSの原則を適用してみては?)
  • マネージメントの改善
  • デジタル化(DXまでは言えない)
  • トップの掛け声による各部署のアクション
  • 現場の意識改革
  • 情報の共有(CRMとか)
  • 業務のマニュアル化、標準化

人材の確保は、卵が先か鶏が先かになるので、横に置いておきます。
「業務の属人化」は職人芸を求められている職種・業種以外でも見えます。メインサブ担当制や多能工化、社内副業なども検討。←ジョブ型雇用となじみませんので。

使える人事労務の制度

×1年単位の変形労働時間制
1か月単位の変形労働時間制

△専門業務型裁量労働制
×フレックスタイム制
△時と場合によっては、事業場外労働のみなし労働時間制

△法定休日の変更

理由は書きませんが、1年単位もフレックスも使えないんです。使える企業様は、「きっちりしている」企業様です。1年変形は、1年間(3カ月以上)の繁閑が明確な場合は導入できますが、休日減だけを目的とした導入はおすすめできません。労働時間の精算も実施していないことが多いような、そんな気が。
(実際には、導入のお手伝いをしています。事例として、ある企業様では不利益変更もありましたが、経営幹部の皆さまが上手く調整されました。)

休日労働が多い場合は、その休日例えば土曜日を法定休日にすることを検討します。その労働時間を時間外では無く休日労働として計上することができるからです。割増率は35%(以上)になりますけど。

月に3回休日に労働させるなら、8時間×3日=24時間を休日労働として扱えます。月45時間の時間外労働と合わせて、○○時間です。

36協定をどうする?

お客様が「月65時間」「月80時間」を書いた36協定届をチェックしてくれと言われたので、「月60時間以下に変えてください」です。

今のタイミングで、月60時間超の36協定届を労働基準監督署に届け出ると、調査対象になりやすい気がしませんか?(いわゆる別箱行き!)月80時間以上の36協定届なら間違いなく調査対象になると思った方がよろしいかと。

また、特別条項を適用しない上限の月45時間は、1日2時間残業をさせられるイメージですが、年360時間=月平均30時間です。てことは、実際には毎日2時間の残業ではアウト、平均して1時間半まででないと年上限を超えます。

それがイヤなら、特別条項で月45時間・年540時間にする方がマシです。理由は、「人手不足」ではダメですので、ご注意ください。

まあ、労働者の過半数代表を適正に選出するところから始めましょうか。そうでないと、36協定自体無効だと判断されかねません。実はコレが怖い。(コレも、かも…

正攻法か、裏ワザか

無理矢理係長クラスでも管理職扱いをしていたのは昔。今なら、名称だけ「課長」として管理職扱いするのも社内的には「可」かも知れません。が、ネット検索すれば、それが良いのか悪いのか結果が出ますもんね。

労働条件の不利益変更を念頭に置くなら、所定休日を減少させる、計画的付与年次有給休暇を使わせる、なども考えられますが…。

過去にお客様のところの従業員さんであまりに時間外労働が多い(月100時間超)ので、「専門職課長(職人課長)」への昇格をご提案したのですが、「ダメ」。業務の属人化を認めるなら、それくらいとも思いましたが、残念。
(現在、時間外労働は大幅に減りました。労働基準監督署の是正勧告で、多額の残業代未払いを指摘されたからです。100時間超での健康被害うんぬんも→次は送検もあり得ますね、とも。)

労働基準監督署の調査があって、やっと動くのも、なんだかイヤですよね~

  • ここだけの話し=見ない方が良いです
    • ゴールデンウイーク、8月のお盆休み、年末年始、休めていますか?

      この問いを投げ掛けると、必ず「そりゃ、休むでしょ」と言われます。この時期に休めるなら、たぶん努力すれば時間外労働、休日労働は減らせます。この時期に休めないのであれば、重傷かなとも思います。
      (この時期には仕事を少なく入れるとも言われますが、そのあたりは経営上の判断になっているのでしょうね。)

      労働集約型産業は、この時期でも自由には休めません。が、経営者様の考え一つなのかも知れません。週休2日のベーカリー、1週間連続休館の旅館は、テレビ番組で観ました、記憶が間違えていなければ。

      「ええモン作ろうと思うと、時間が掛かるんや」そう言われ続けておりますが…。「あそこの取引先、ウチの○○君でないと、話しが通らん」そういうこともよく言われます…。

      まあ、何が正解か分かりません。
      私は社会保険労務士として、課題解決につながる提案をさせていただくだけです。



※守秘義務の関係で、お客様の情報については脚色しています。

労務相談顧問
就業規則の作成・変更・見直し
ハラスメントの外部相談窓口


大阪社労士事務所

【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】

年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。
労働条件自主点検表が送付された場合の対応もおまかせください。

ご相談・ご依頼は、ご遠慮なくどうぞ。

電話 06-6537-6024(平日9~18時)
不在時は、折り返しお電話させて頂きます。
または、「お問い合せ」フォームから。

貴社の人事労務の問題点をチェックします

外部から人事労務の問題点を指摘される前に、労働トラブル発生の前に、企業の人事労務問題点を監査します。是非、ご相談ご利用ください。▶人事労務監査
(社会保険労務士は、企業の経営労務監査をサポートします。)

a:790 t:1 y:0