マイナンバー開始から7年、書類の保存年限と廃棄は?
つい先日、ある企業の人事総務の担当者様から電話でご相談がありました。先に断っておきますが、顧問先様ではないので、個別の内容には立ち入ってアドバイスや回答はしておりません。
「マイナンバーの廃棄はどうしたら良いのでしょうか?」
これが、その人事総務の担当者様の質問。なぜ、弊所・大阪社労士事務所に電話したのかと伺うと、Google検索で検索結果に出てきたかららしい。
保存年限については、国税庁のウェブサイトで確認したそう。
Q1-19 退社した従業員等のマイナンバー(個人番号)は、退社後すぐに廃棄しなければならないのですか。(平成28年9月9日更新)
(答)
退社した従業員等であっても、扶養控除等申告書や退職所得の受給に関する申告書等については7年間の保存義務が課されていることから、申告書等に記載されたマイナンバー(個人番号)はこれらの申告書の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年を経過する日まで保管しなければなりません。
また、税法等で保存期間が定められていない書類に記載されたマイナンバー(個人番号)や、作成した特定個人情報ファイルに記録されたマイナンバー(個人番号)については、個人番号関係事務を処理するのに必要がなくなった場合には、できるだけ速やかに廃棄又は削除する必要があります。
なお、Q1-3-2の取扱いにより作成した帳簿は、マイナンバー(個人番号)の記載が不要であるとして従業員がマイナンバー(個人番号)の記載をせずに提出した扶養控除等申告書等のうち、その従業員が最後に提出したものの保存期限(当該扶養控除等申告書等の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年を経過する日)まで保存する必要があります(Q1-3-7参照)。
▶国税庁:社会保障・税番号制度<マイナンバー>FAQ源泉所得税関係に関するFAQ
ただ、廃棄の方法については、自社の特定個人情報等取扱規程(マイナンバー規程などの名称でもOK)に基づいて行います。廃棄だけでなく、保管などもルールに則って行います。
これは、平成28年(2016年)1月にマイナンバーがスタートする前に、セミナーを開催したときであっても、▶特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)に基づいて特定個人情報等取扱規程を作成するよう強くアドバイスをしていました。取扱規程の位置付けは労働基準法の就業規則です。ですので、10人以上従業員・社員がいる場合には、私桑野は「特定個人情報等取扱規程は、作成義務あり」としていました。
安全管理措置の面から、特定個人情報等取扱規程はオープンにせず、担当者限りとする考え方もありますが、内容自体全ての従業員等に関わります。それ故、大阪社労士事務所では「就業規則の扱い」です。
お電話をいただいた企業様の規模は、数十名らしく、101名以上ではないので特定個人情報等取扱規程は作成しなかった、と。
「シュレッダーで処理すれば良いのでしょうか?」
電話口の向こうで、人事総務の担当者様がつぶやきました。
「シュレッダーで処理、廃棄して良いかは、企業様のご判断なのですよ。取扱規程が無ければ、貴社内でご判断いただくしかありません。」と私。溶解とか、焼却や、マスキングもありえますので。
「文書管理規程があれば、それに従って処理することもできますが。」と言うと、担当者様から中小企業なのでそのような規程は無い、と。
顧問契約がないと、個別の事情や企業の人事労務・管理部門の方針が分からないので、答えたくても答えようがないのです。
「分かりました」とだけ聞こえて、電話は切れました。数分でした。
保存年限7年の問題
こちらは国税庁のFAQに出ているので、単純に「7年」と勘違いしやすいのですが、もう一度よく読みましょう。また、国税庁は法令に基づいて書かれていますので、企業の側に特定個人情報等取扱規程(マイナンバー規程)や先の文書管理規程がある場合は、そこで何年保存とされているのか廃棄の方法がどうなっているのか。
来年の1月でマイナンバーが施行されて7年になるので、即廃棄できるものと考えていたようです。
昔も書いたかも知れませんが、知り合いの税理士先生は、税務関係の書類は10年は保管して欲しい、と。別の税理士先生は「税務調査があったら、それ以前の書類は全部捨てても良いとアドバイスしている」そうです。
顧問社会保険労務士がいない場合は、顧問税理士に確認するのが間違いないのでは。あくまで、取扱規程が無い場合ですけど…。
(弊所・大阪社労士事務所なら、相談だけの「労務相談顧問」も承っております。)
親切な社会保険労務士なら「シュレッダーで処理すれば良いですよ」と言ったかも知れません。が、シュレッダーの処理後の大きさも本来は決めておいた方が良い…。でも、安全管理措置、不安ですね。
久しぶりに、あの頃を思い出しました。
「マイナンバーセミナー、売上げにはつながらなかったなあ~」
※守秘義務の関係で、脚色しています。
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【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】
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