月45時間までの残業でも、60時間超の対応は必要か?

中小企業は、2023年4月1日から
月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます

もう何度も耳にタコができるくらい聞いたことかと思います。
で、3月になってお客様から訊かれるのが、こんなこと。
「ウチの会社、月に60時間も時間外労働させることないし、就業規則とか賃金規程とかの変更って要りませんよね?」
「うちだと、月に30時間も残業させないし、60時間超のことなんか関係ありませんよね?」

すごく確信を持って「ウチは関係ない」「就業規則の変更は不要」という圧が来ます。
(取りあえず、「変えないとあきませんけど…」と返します。)

基本情報だけでも確認を!
大阪社労士事務所:月45時間までの残業でも、60時間超の対応は必要か?

ネットで検索していただいても、はっきりと明解に説明がされておらず、「就業規則・賃金規程の変更・見直しが必要となる場合があります」と分かったような分からんような記載がありますが…。

月に60時間超の時間外労働をさせることがない中小企業(大企業さんは、2010年施行)でも、就業規則・賃金規程の変更が必要。60時間以下、60時間超の区別が行われていない場合は必ず賃金規程等への加筆が要ります。残業=25%増だと、60時間超でも25%増と取られる可能性があります。

月に45時間までしか残業させないのであれば、いっそ賃金規程等にも「45時間以下は割増率25%」って明記しましょ。そう「45時間以下」の部分です。36協定(届)を気にする場合も、大丈夫でしょう。

就業規則の絶対的必要記載事項とかを持ち出すまでもなく、再度書きますが60時間以下、60時間超の区別・区分がない場合は、賃金規程等の変更・加筆等の見直しが必要です。

大阪社労士事務所:月45時間までの残業でも、60時間超の対応は必要か?

実態としては、月に60時間を越えるような時間外労働がなければ、気にならないでしょう。ただし、4月以降に就業規則や賃金規程等を労働基準監督署に届け出る場合は、60時間について規定がないと窓口指導されるかと。指摘される可能性は100%ではありませんが、他の任意や努力義務の事項とは違います。

36協定で原則的な上限時間「月45時間、年360時間」で締結、36届しており、実態も原則的な上限時間に収まっていれば確かに問題にはならないでしょうね。36協定とリンクさせたいのであれば、そのつもりで規定してください。

もう一度書いておきます。
次、労働基準監督署に就業規則、賃金規程等を変更・見直しなどで届け出る場合は、「60時間以下、60時間超」の区分・区別は記載しておきましょう。

それが、施行日までだと尚良いかと。

施行日をまたぐ1か月について

平成22年当時の資料から
∵大企業の施行が平成22年だったため

Q4.改正法の施行日である平成22年4月1日をまたぐ1か月については、どのように計算すればよいですか。
A4.施行日である平成22年4月1日から時間外労働を累積して計算をします。例えば、「1か月60時間」の計算における1か月を、毎月21日~20日としていた場合、平成22年4月1日~4月20日までの時間外労働時間数が60時間を超えた部分について50%の割増賃金を支払う必要があります。

厚生労働省のパンフから引っ張ってきています。ご参考まで。
▶厚生労働省:改正労働基準法のあらまし

60時間には休日労働を含めるのか

(この項、令和5年3月30日(木)追記)
60時間には、所定休日は含みます。法定休日は、別物ですので残業時間と合算して60時間を計算する必要はありません。

(法定休日の割増率を35%に設定している場合、合算して60時間超になる際に50%の割増賃金を支払うのは構いません。たぶん、しないでしょうけれど。)

法定休日を特定・明示しておく方が分かりやすいです。が、合わせて60時間以内に収まる方が良いとも言えます。

注意して欲しいのは、週休2日制でプラス祝日に勤務させる場合、休日出勤手当を支払うのは自由です。ただ労働時間が1日8時間、1週40時間の範囲内ならば、(法定)時間外労働ではないので労働時間集計には気を遣ってください。

※このブログの内容は、桑野個人の見解であり、顧問先様以外に対しては何ら保証するものではございません。顧問先様には、「中小企業の時間外労働60時間超の対応」について、別途個別に対応策等をお伝えしております。

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