管理職問題も、予備的規定で対応可能

最近、労働時間管理の問題がとくに厳しく取り上げられているのは、人事総務分野の担当であれば常識です。ただ、弊所・大阪社労士事務所のお客様は、中小企業がほとんどなので質問や相談さえいただかないジャンルもあります。それが、「管理職の問題」。

新卒採用もある数百名規模のお客様からは、まれにご相談をいただく「管理職の問題」。「うちの管理職は、大丈夫でしょうか?」がそれ。今年になってから何社かご連絡がありました。

労働基準法が求めている管理職の基準とは?

労働基準法
(労働時間等に関する規定の適用除外)
第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

この41条の2号が、いわゆる「管理監督者」。

大阪社労士事務所:管理職問題も、予備的規定で対応可能

管理職というのは、企業内で使われており、労働関係法令では定義されていません。つまり、貴社では管理職の定義をしていますか、ということ。

管理監督者については、通達や裁判事例でもGoogle検索で探していただくのが良いかと。)

予備的規定を置く

いつ、この予備的規定の記事を書いたのか探していると、10年ほど前のことでした。
予備的規定で安心できる、就業規則を

管理職問題を想定して、予備的規定を作るならば、こんな感じで。
「ただし、労基法第41条2号の管理監督者と認められない場合は、この手当は時間外労働手当として支払っていることとする。」
賃金規程・給与規程や手当支給規程があると思うので、一文追加します。不利益変更に該当する可能性も有りますので、追加変更については慎重にお願いします。

10年前のブログ記事では営業手当のことについて書きましたが、今回は管理職手当・役職手当の類いです。

人によっては「手の内を見せるのは、良くないのでは?」とか「自ら本規定を否定するのはどうなの?」と突っ込みをいただきます。が、就業規則(賃金規程等)は、規定+周知が有効性については必要なので仕方ないかと。

規定の手法についても過去ブログに書いています。
固定残業代の時間数と規定例_2023年版
こちらを参考にしていただくと、良いはずです。弁護士の先生が研修会でお話しの内容なので。

予備的規定で、安心を追加

予備的解雇というのがあります。
「懲戒解雇とする、ただし懲戒解雇が無効とされた場合であっても解雇事由に該当するため普通解雇とする。」
こういうのが、予備的解雇(予備的普通解雇)です。

予備的規定で、現時点で想定できることを事前に規定しておきましょう、それで少しは安心できます。
(すでに管理職手当等に、何らかの予備的規定が置かれている規程類も少なくないと思います。予備的規定の単語は造語ですが、内容自体は某社の有料サイトから入手したモデル規程に記載されていました。)

少なくとも、次のことについては予備的規定のご検討を。
●管理職手当
●営業手当
●みなし手当
●時間外労働・残業の手当を支払わないように規定している者に支払う手当

少しでも事前に労働トラブルやリスクを減らしたいところです。

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