降格処分は、労働基準法違反?

お客様と打ち合わせをする前に、管理部門の担当役員様から質問をいただきました。
「最近、あの会社のこと、よくテレビでやってるじゃない。で、降格処分が労働基準法違反になると言ってたけど、桑野さんが以前言ってたのと違うんだけど?」

降格処分には、「懲戒処分によるもの」と「人事権の行使によるもの」の2種類があります。

懲戒処分によるものであれば、通常の懲戒処分の手続きに従って最終的に降格処分になるかどうかが決まります。人事権の行使によるものであれば、それは企業の裁量の範囲内であれば、ある程度は自由に行うことができます。と言っても、いわゆる「無茶無理」や「正当な理由がない」「嫌がらせ目的」の降格処分は、アウトです。

労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)
(懲戒)
第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
←懲戒処分の場合は、この規定に違反しているかどうか。:懲戒権の濫用か

大阪社労士事務所・降格処分は、労働基準法違反?

労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)
(労働契約の原則)
第三条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
←人事権の行使による場合は、5項に違反しているかどうか。:人事権の濫用か

役員「労働契約法かあ、労働基準法じゃないのか。」
私 「そのテレビ番組を見ていないので、なんとも…。」
役員「そうそう、降格は教育目的と言ってたかな。」

その企業様では、私が労務相談顧問としてご契約いただいてから降格処分を行ったことがありません。他の企業様では、たまーにあります。懲戒処分による降格は基本おすすめしていません。人事権の行使は、人事権の裁量の範囲内であれば当然行い得るもの(無茶や理由のない処分・異動を除けば)。

「降格処分が教育目的」とは、表現方法が悪いのかも。

と言うことで、雑談もほどほどに本来の打ち合わせ内容に移行。でも、すぐに終わってしまって、雑談の方が長かったじゃないですか!

実は降格処分うんぬんだけでなく、使用者責任、非上場非公開の株式会社のあり方(運営方法も含めて)、公益通報、パワハラ・ハラスメント相談窓口の有無等々雑談ばっかりでした~。

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