従業員が休職した、その前・その時にできること
最近お客様からの連絡で、病気で休職した、あるいは手術が成功して復帰した従業員・社員が「退職」に至るケースが増えています。私傷病で休職した場合、復帰できずに自然退職となることは少なくありません。手術が成功して退院しても、今までどおりの職務ができるとも限りません。
担当の総務部長などからは「できるだけ良いように退職できる方法を教えて欲しい」と言われますが…。とくに雇用保険の場合、離職理由は重要なのですが、「退職届の理由をそのまま書いてくださいね」とお伝えするのが限界です。
(労務相談顧問のお客様からのご相談がほとんどです。)
両立支援と言ってしまうと、「ああ、育児か」となってしまいそうですが、「仕事と私生活」と考える方が分かりやすいと思います。詳しくは、厚生労働省のサイトでご確認ください。
▶厚生労働省:両立支援のひろば
▶厚生労働省:治療と仕事の両立について
(今回は、どちらかというと「治療と仕事の両立について」の方です。)
制度として考えられること
厚生労働省の情報でも分かりますが、事前に中小零細企業でも導入できそうな制度を並べます。
- 時間・半日単位の年次有給休暇
疾病の治療・通院には、有効とされています。- 時間単位年休は就業規則の規定追加や労使協定が必要です。年間5日上限ですので、1日8時間勤務なら、2時間年休の場合20回取得できます。
- 半日単位は就業規則の規定のみ変更で対応可能です。半日は、各企業の実情に合わせて設定します。
- 失効年休積立制度
失効した年次有給休暇を積み立てて、病気等で長期療養する場合に使えるようにする制度です。積立保存休暇制度とも言います。- 弊所・大阪社労士事務所のお客様でも、少数ですが導入済みです。病気だけでなく、育児・介護などと取得目的を限定することが可能です。
- 病気休暇
私傷病の療養のために、年次有給休暇以外で利用できる休暇制度です。社歴の長い企業であれば、意外と導入されています。「私傷病休暇」「疾病休暇」「感染症休暇」などの名称が使われています。- 「追加で費用が必要」と思われているせいか、50名以下の企業様ではなかなか難しいです。
- 短時間勤務制度
一定の期間、所定労働時間を短縮する制度が短時間勤務制度です。育児休業時と同じように1日6時間勤務が想像しやすいでしょうか。- 腎臓透析であれば、例えば月水金の短日勤務も有効です。
- 特定適用事業でない場合は、場合によっては申し出が必要です。
- 給与・賃金は、通勤手当を除き、所定労働時間比例にすることが多いです。が、役職手当や住宅手当をどうするのか、人事評価基準をどうするのか、役職や職務の変更をどうするのか、事前に想定できることは決めておくのが安心につながります。
- 腎臓透析であれば、例えば月水金の短日勤務も有効です。
それと同時に見直したい制度があります。
- 休職
「病気(慢性、急性)」「ケガ」「メンタルヘルス」が考えられます。最近では、メンタルヘルス対応の休職条件にすることがほとんどです。- 休職期間は、2か月3か月では短いとされます。お客様のご要望であれば、それはそれで仕方ありません。
- 復職
休職期間を含め、見直しが必要だと思われます。令和4年1月に傷病手当金の受給期間の考え方が改正されるのに伴い、新・傷病手当金に対応できるようにもしたいところです。 - 恒常的なテレワーク
新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが一気に(?)普及しました。これを恒常的な制度とすることで、通院・治療を含め、前・後にも良いものになるのではないでしょうか。 - 両立支援制度の説明
全社員への説明会ができればベストですが、対象となった(なりそうな)従業員・社員には、個別に説明をしていただきたいと思います。場合によっては、ご家族を含めての説明ができればベターです。
最後にチョロッと書いておきます。
- 経営者様・オーナー様の意識次第です。
両立支援制度を充実させるということ
「働きやすい会社」です。健康経営とかは、その先にあります。
もし、人事労務のご担当者が読まれたのであれば、次の順番で対応してください。
- 企業としての両立支援の方針を確定させる
これが重要なことはお分かりいただけます。「従業員・社員を使い捨てにしない」メッセージは、高年齢者・再雇用者を含め、安心して業務に従事できる「気持ち」を持たせることと思います。 - 人事労務の対応案を作成する
- 両立支援制度の拡充で必要な費用を算出する
今回列記した制度はあまり費用がかかるものは含めていません。休職期間を今より数ヶ月長期化する場合であっても、社会保険料の負担が問題となる程度です。 - 経営会議などでの対応案の承認
- 規定の変更・見直し
- 従業員・社員への説明会を開催
両立支援制度の充実は、「モチベーションアップ」や「ロイヤルティアップ」「業績のアップ」につながり、人材募集の費用の削減、人材教育の無駄を省くとされます。
大阪社労士事務所には、「両立支援コーディネータ」(独立行政法人労働者健康安全機構の研修を受講しただけですが)が在籍しています。安心して、ご相談いただけます。
大阪社労士事務所
【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】
年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。
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