テレワーク(在宅勤務)人事労務のポイント
新型コロナウイルスの関係で、テレワークが大流行。違った意味で、勝手に働き方改革が進みます。そう言えば、「働き方改革」この単語、報道されなくなってます…。
弊所・大阪社労士事務所のお客様からも、相談事例、導入事例が増えています。ただ、急な導入であったため「テレワーク勤務規程」などの在宅勤務のための規程類の整備にまで手が回っていなかった企業様もいらっしゃいます。
個人的な思いも含めて、記録しておきます。
(記録しておかないと、お客様毎にバラバラのことをアドバイスしてしまうので。)
例によって、参考になるリンクを貼っておきます。
▶日本テレワーク協会:テレワークに関わる勤務規則例
▶日本テレワーク協会:テレワーク勤務規程のひな形pdf
▶厚生労働省:テレワーク導入ための 労務管理等Q&A集
弊所・大阪社労士事務所に、テレワーク勤務規程などを依頼する依頼しないに関係なく、上記リンクは確認してください。たたき台にするには最適です。
テレワーク、5つのポイント
テレワーク、ここでは自宅での勤務=在宅勤務とします。シェアオフィスやサテライトオフィスなどの追加の賃料や会費負担が発生するところは除外です。
個人的な考えだけで記録していますので、世間の論理的な記述とは違っています。あらかじめご了承ください。頻度(週2回までとか)、理由(許可基準としての介護や育児とか)は、企業様が経営上判断できる事項かと。
あと、システムベンダーさんや事務機器販売会社さんに提案されたからと言う理由だけで「テレワークについて検討」するのは止めた方が良いと思います。たいてい、助成金や補助金の受給が前提になっており、貴社事情に合ったシステムかどうかは人事総務・管理部門で判断しにくいはずです。「VPNのスループット」は気にしないで!
少なくとも「セキュマネ持ってる?」「ITパスポート何点?」と訊いてあげてください。
対象業務があるか
ICT=情報通信機器を使わなければならない必要はありません。また、クラウド系の業務システム、リモートデスクトップでの業務だけが対象業務ではありません。もちろん、メインではありますが。
※事務機器販売会社さんなどからだと、この部分の提案を受けて、ハードウエア(サーバーの増強やら)、システム構築&ソフトウエア(リモートデスクトップなどの設定やら)が多くなります。
人事総務のご担当者様なら、給与計算システム、会計経理システムあたりを確認してください。場合によっては、顧問税理士さんにも事前にご相談ください。
業務系ですと、在庫管理が分かりやすいでしょうか。少なくとも、部門間の調整をした上で、どのようなシステムにするのか検討します。この段階でバラバラに導入すると、ICTの効果が低くなってしまいます。
※ICTを使わない業務としては、担当部門のマニュアル作り、仕事調べ、アイディアや企画出し、引き継ぎ書などがあります。
人事評価をどうするのか?
生産性も含め、在宅勤務の場合は何を評価しますか?
「会社でやっていたことと同じで良い」
よく言われるのが、コレなんです。が、ある調査では「テレワークは2,3割生産性が低下する」という結果もあるようです。実際にお客様から聞かされたのが「テレワークだと、子どもの相手をしないといけないので生産性が落ちますが」というもの。あくまで、新型コロナウイルスの関係で小学校などが休校している期間だけのものと思いたいですね。
「何時間仕事してるか、会社に出社してるときと同じ」
それなら、それで結構です。労働時間管理を厳密にすれば、今までと同じ?
会社に出勤して~、のときは気にしていなかったかも知れません。が、テレワークの時は「評価」を何にするか決めておかないと、「あいつは、テレワークと言いながら、何もしていない」と管理職層が怒る原因になります。
人事評価制度を整備する良い機会にしてみるのも!
秘密保持、秘密漏洩対策はできるのか?
機密や特定個人情報を簡単に社外に出すことは許されませんよね。
個人情報保護規程や特定個人情報等取扱規程などには、どのように規定されているのか。場合によっては、整合性を失わないよう他規程の変更改正も必要です。
「社外持ち出し禁止」の文書を在宅勤務のために、持ち出すのはダメでしょう。クラウド系の業務システムを利用していて、セキュア通信ができるのなら、安心! いえいえ、自分以外の家族の目にも触れないようにしなければなりません。
家族の動線と、テレワーク時の場所とが極力交わらないようにする努力が必要です。
※自宅だと壁や窓に引っ付けてデスクを配置しているケースが多いと思います。本人は壁や窓に向かいます。だから、後ろ側が自由に動けるスペースになります。発想を転換して、壁や窓を背中側にしてはいかがですか。
労働時間管理はどうする?
どちらかです。
●通常の時間管理
●みなし労働時間制による時間管理
みなしだと、事業場外みなし、職種によっては裁量労働制。管理職は、横に置いておきます。現時点で裁量労働制を導入していないのであれば、テレワークのためだけに裁量労働制を導入するのは面倒です。事業場外みなしなら、就業規則本則には多くの場合記載されていますので、こちらかと。
フレックスタイム制も同じ理由で、新規に導入することはおすすめしません。よくある「勝手フレックスタイム」は知りません。
企業様の実情に合わせ、「通常」か「事業場外みなし」か。
いったん、「通常」で導入することを強くおすすめします。テレワークの頻度にもよりますが、週1回や2回なら、間違いなく「通常」で。始業9時、終業18時の8時間勤務なら、その通りで、勤務してもらいます。
「通常」で不都合が多く発生するのであれば、それをフィードバック。ワガママは、不都合には入れません。。。。。
在席確認、離席確認は?
どこまでするのか?
通常の時間管理を選択するのなら、始業と終業くらいはチェックします。グループウエアがお手軽です。勤怠管理できるのもあります。
(使ったことありませんが、無料ならR-GROUPとか。)
在席管理ツールも多くあるようですが、企業様の方針を決めるのが先です。始業終業時以外に、1時間毎とか、トイレの時は~とか。だから、どこまでするかです。
画像・映像確認も良いのですが、これも「どこまでするか?」。
ZOOMやTeamsの常時接続までする必要があるかは、よく考えた方が良いです。
費用負担の問題
大きく分けて、2つ。
●パソコンそのもの
●ネット接続料、電気代など
パソコンは、そのようなシステムを導入構築するのかによって変わってきます。システムによっては、スティックPCでも大丈夫なことも。ただ、原則的には「パソコンは企業様の負担で」。
「接続料、電気代」ですが、テレワーク手当や在宅勤務手当として支給することも可能です。ただ、追加で手当を支払う場合は、残業代単価が変更されますので、ご注意を。社員へ費用負担させるのであれば、規程へ記載します。
通勤手当も、日頃からブログにアップしていますが、会社への出勤日単位での支給にするなど、見直した方が良いかも知れません。
※書けないのですが、通勤手当は1か月の通勤定期代を支払って、、、、、
いずれにしても
思い付きだけで、本格的なテレワークに移行するのは、人事労務管理上よろしくないです。
今の新型コロナウイルスの関係でのテレワークは仕方ない部分もありますが、「新しい生活様式」を企業側としてもサポートするのであれば、テレワーク勤務規程を始め、いろいろと調整したり、決めたりする方が良いです。
大阪社労士事務所には、ITコーディネータ(経済産業省推進資格)がいますので、労働法・人事労務管理だけでなく、ITの利活用の面からのアドバイス・支援も可能です。
大阪社労士事務所
【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】
年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。
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貴社の人事労務の問題点をチェックします
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