有期契約の社員を、契約期間の途中で解雇したい
民間企業の年度末は企業ごとに違うはずなのですが、またしても弊所・大阪社労士事務所のお客様2社から同じタイミングで、同じ質問が来ました。
タイトルにも書いたとおり、「有期契約の社員さんを、契約期間の途中で解雇することはできますか?」と言うモノ。1社は3月末、もう1社はそれよりも手前が年度末。
早速、法令ではどうなっているのか。
労働契約法
(契約期間中の解雇等)
第十七条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
で、「やむを得ない事由」とは?
「やむを得ない事由」として該当しうるのは、たとえば、労働者が就労不能となったこと、労働者に重大な非違行為があったこと、雇用の継続を困難とするような経営難などである(荒木尚志・菅野和夫・山川隆一『詳説労働契約法』155頁参照)。裁判例では、「やむを得ない事由」の存在を容易には認めない傾向が窺える。
引用)独立行政法人労働政策研究・研修機構(93)期間途中の解雇から
もっと平べったく主観を交えて解釈すると、「有期契約の社員さんを契約期間の途中で解雇するのは、ちょっとやそっとのコトでは無理でっせ」というところでしょうか。
そのように伝えると、1社様の総務部長からポロッと言われました。
「実は、契約社員の方から、来期の途中で辞める予定なので」という意思表示があったらしい。
だとしたら、こちらが参考になります。
民法
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
「やっぱり、『やむを得ない事由』ですか」とは、総務部長。
ただ、損害賠償の責任うんぬんは、実害実損が見込まれる場合なので、責任の程度が軽い契約社員に問うのは、事実上難しいことを伝えると、、、、、
総務部長「まあ、その社員から言われたら認めてください、と言うことですね。」
(日程が不明なこと、場合によっては新たに年次有給休暇の付与になることなどから、別の手段として1年よりも少し短い期間での契約も提案し、実はそちらを採用予定。)
もう1社のご担当者様からは「実は、11か月で解雇したいのですが、やはり厳しいでしょうか?」と。
契約更新しないこと、期間満了で退職していただくこと、業務量が来期は今期ほど見込めないことなどを、その対象の社員さんにお伝えいただくことに。
トラブルにしないようにするには、面談者さま(上記では、総務部長やご担当者)のコミュニケーションスキルも必要ですが、最低限の法的な知識も要ります。
※守秘義務の関係で、内容は脚色しています。令和2年4月施行の改正民法の情報は、考慮していません。
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