役所の質疑応答は、どこまで信用すべきなのか

ネット検索が簡単な、この時代お客様から「厚生労働省の質疑応答」を根拠に相談いただくことがあります。

具体的には、法定休日についてのご相談でした。ベースとなる質疑応答はこちらでご確認ください。

改正労働基準法に係る質疑応答(平21 · 10 · 5厚生労働省)
Q10
 日曜日及び土曜日の週休2日制の事業場において、法定休日が日曜日と定められている場合、日曜日に労働し土曜日は労働しなかった場合も、割増賃金計算の際には日曜日を法定休日と取り扱い、日曜日の労働時間数を「1箇月60時間」の算定に含めないこととしてよいか。
 また、法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合、割増賃金計算の際にはどちらを法定休日労働として取り扱うこととなるのか。4週4日の変形休日制をとっている場合はどうか。

A10
 法定休日が特定されている場合は、割増賃金計算の際には当該特定された休日を法定休日として取り扱い、法第37条第1項ただし書の「1箇月60時間」の算定に含めないこととして差し支えない。
 法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合は、当該暦週において後順に位置する土曜日における労働が法定休日労働となる。4週4日の休日制を採用する事業場においては、ある休日に労働させたことにより、以後4週4日の休日が確保されなくなるときは、当該休日以後の休日労働が法定休日労働となる。

大阪社労士事務所・役所の質疑応答は、どこまで信用、利用すべきなのか

この質疑応答を根拠に「法定休日の定めがない場合の法定休日の特定」を記述しているホームページが圧倒的に多いです。優勢!

  • 週の始まりを規定していない場合
    土日が休みの場合は、後順の土曜日が法定休日
  • 週の始まりを、例えば土曜日と規定している場合
    土日が休みの場合は、後順の日曜日が法定休日
    (振替休日を多用したいケースに多い気がします)

では、質疑応答とは何?
「質問や疑問(質疑)に対して、返答(応答)すること。また、そのやり取り。」

参考までに、通達とは?
「行政機関において作成・発出される文書形態の一である。判例では「上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するもの」と定義されている。」

日曜日を法定休日とした裁判例

日本の旧来からの社会通念上、週の起点を月曜日とし、最終日の日曜日を法定休日にすべきであると判断された。
(HSBCサービシーズ・ジャパン・リミテッド(賃金等請求)事件・2011年12月27日)

日程的には、上記の厚生労働省質疑応答とは微妙な感じです。

と言うよりも、チラッと見ただけでも突っ込みどころがあるな、そう感じました。

労働基準監督署の調査でのシーン

私が立ち会った訳ではありませんが、コロナ禍前にお客様に労働基準監督署の調査がありました。そこでは、こんなやり取りがなされたようです。

監督官「法定休日の規定がありません。」
会社側「決めていないのは、とくに不自由がないからです。」
監督官「休日とは、従業員を働かせない日ですよ。」

つまり、働かせているなら休日ではないので法定休日にはなり得ない。だから、土曜日に働かせたのは法定外休日=時間外労働となり、36協定の上限を超えてしまったという…。
(私自身が立ち会っていないので何とも言えませんが、社長に言わせると、こういう理屈だったそうです。就業規則に法定休日を規定していないのは、上記の「不自由がない」ので、、、、、)

こっそり
是正勧告を受けての36協定再届出は、有効期間を過去には遡れません。が、期間は上書きしましょ。なぜって、期間が変更されるじゃないですか。これも質疑応答にありましたが何か。ちなみに労働基準監督署の窓口では何も言われません…。

事例は何となく分かる

日本年金機構の「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」随時改定について

問5 同一月に固定的賃金の増額と減額が同時に発生した場合(手当の廃止と創設等)、増額改定と減額改定のどちらの対象となるか。

(答) 同時に複数の固定的賃金の増減要因が発生した場合、それらの影響によって固定的賃金の総額が増額するのか減額するのかを確認し、増額改定・減額改定いずれの対象となるかを判断する。
 例えば、定額の手当が廃止され、その手当と同額の手当が新たに創設された場合など、固定的賃金に変更が生じないケースについては、随時改定の対象とならない。
 なお、変動的な手当の廃止と創設が同時に発生した場合等については、手当額の増減と報酬額の増減の関連が明確に確認できないため、3か月の平均報酬月額が増額した場合・減額した場合のどちらも随時改定の対象となる。

「管理職になって管理職手当が支払われ、残業代が無くなった」「アパートを引っ越して会社の近所になったが(住宅手当支給)、通勤手当は減額になった(固定固定なので判断できますけど)」こういうパターンだと、結果的には変動月から3ヶ月後の結果を見て判断するしかない、と。

事例なので、理屈と言うより、という感じです。事実行為だから考える余地がない??

某労基署相談員に訊いてみた

詳しく書こうと思いましたが、別の機会にでも書くかも知れません。

「通達であれば、その通達に即した指導を行うはず。行わなければ、違反(?)ですよね。質疑応答も基本的には従うはずですけど、ヘンコな監督官なら理屈をこねるかも。でも、何で法定休日規定しなかったんですか。」
とは、チラッと某労基署相談員の言葉。
質疑応答自体は、通達集には載っていませんでした。当たり前か。

いや、だから私は法定休日特定推進派です。

結論、質疑応答は

参考にしても、信じすぎるな、と言うところでしょうか。この手の記事を掲載することも見解を述べることも「けしからん」という意見をお持ちの同業者がいることも分かります。

こちらの税理士先生のブログに興味ある記事がありました。通達についてもここまでという考え方、立派です。
▶山口剛史税理士事務所:「法令」と「通達」
(もし、支障がありましたらご連絡をお願いします。)

先の「後順(ごじゅん)にする」、辞書に掲載されている一般的な単語でもないし、合理的な理由を知りたいところです。が、無理か~

まあ、就業規則で法定休日を規定すれば済む話しなんで、「法定休日は規定しておきましょ」が、結論です。

労務相談顧問
就業規則の作成・変更・見直し
ハラスメントの外部相談窓口


大阪社労士事務所

【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】

年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。
労働条件自主点検表が送付された場合の対応もおまかせください。

ご相談・ご依頼は、ご遠慮なくどうぞ。

まずは、「お問い合せ」フォームから。
依頼・委託を決めておられる場合は、電話 06-6537-6024(平日9~18時)まで。
不在時は、折り返しお電話させて頂きます。

貴社の人事労務の問題点をチェックします

外部から人事労務の問題点を指摘される前に、労働トラブル発生の前に、企業の人事労務問題点を監査します。是非、ご相談ご利用ください。▶人事労務監査
(社会保険労務士は、企業の経営労務監査をサポートします。M&Aデューデリ、事業承継デューデリにも対応。)

a:195 t:1 y:0