この手当は、最低賃金に含めて良いのか

10月から最低賃金が上がります。大阪府では1023円から1064円に、兵庫県では960円から1001円に、奈良県が896円から936円に、いずれも10月1日から発効されます。
(本社のある地域がそのあたりなので、ブランチは東京都含め全国ですが省略します。▶厚生労働省:令和5年度地域別最低賃金改定状況

直前になって相談をいただくお客様が数社。いずれも同じ内容ですので、記録がてらメモしておきます。
「この○○手当は、最低賃金の計算に含みますか?」

【最低賃金の対象となる賃金】
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
▶厚生労働省:最低賃金の対象となる賃金

大阪社労士事務所・この手当は、最低賃金に含めて良いのか

(1)(2)は、まあ書かなくとも分かるでしょう。少なくとも弊所のお客様では。

(3)(4)(5)は、通常の勤務時間・勤務日以外に働かせた際の割増賃金は含まない。割増賃金と同様の性格を持つ手当・賃金の類いは含まない、そう言えます。

(6)の精皆勤手当、一般的に皆勤手当は無遅刻無欠勤の給与計算期間時に支払う手当、精勤手当は1日2日の欠勤、数度の遅刻があるときに支払う手当。勤務日数に応じて支払われるのであれば、精皆勤手当と同様の手当とは言えません。ex.食事手当。
通勤手当は省略、家族手当はいちおう除外。

○○手当は、(6)に該当するのか否か、割増賃金の性格を持つのかで判断します。

まあ、基本給だけで最低賃金をクリアするのがキレイな形です。

実際に最低賃金をクリアしているか計算する

▶厚生労働省:最低賃金額以上かどうかを確認する方法

一番悩むのは「月給制」です。
そして、間違いやすいのが「1ヶ月平均所定労働時間」です。1ヶ月平均所定労働時間は、年間の総労働日数と1日の所定労働時間から算出できます。

目安としては、完全週休2日制+祝日・年末年始が休みなら150時間から160時間、けっこうキツい事業場で170時間です。

最低賃金ではないですが、残業代単価を算出するときに180時間や200時間を使っている場合は一度顧問社会保険労務士さんなどに再計算してもらうことをおすすめします。

★特例事業場(特例措置対象事業場)は、上記の時間数とは違う場合があります。

固定残業代を支払っている場合

固定残業代・定額残業手当を支払っている場合は、就業規則・賃金規程の規定の仕方で見直すべきかどうか決まります。
(過去のブログにも書いたかも知れません、ノーチェック。)

係数(掛け率)を規定している場合は、気にしなくて良いと言えます。同様に金額だけ規定している場合は、まあ規定の仕方にもよりますが、気にする必要はありません。

支給総額(基本給+固定残業代等)で支払う方針の場合は、再計算した方が良いと思います。最低賃金を下回って働かせている場合もありますので、何より格好悪い…。(と、是正勧告を受けた担当が申しております。)

1ヶ月平均所定労働時間が160時間の場合、月給制なら大阪府では170,240円、東京都なら178,080円が最低ラインです。果たして、この額面で人材募集ができるのか怪しいですね、、、、、

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大阪社労士事務所

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