固定残業代の設定時関数は、何時間が適切?

知り合いの税理士さんから、電話でご相談をいただきました。ちょうど前後して、お客様からも同じようなお話が来ていました。
「固定残業代の手当を作りたいそうなんですが、何時間分で設定するのが良いの? あるいは上限時間数は?」

結論ですが~、
「とくに法規制はありませんので、お好きなように」です。

税理士先生にもお客様の管理担当役員にも訊かれたのは「労働時間の規制が厳しくなったはずだけど、関係ないの?」と。

固定残業代・定額残業手当の設定時関数と、時間外労働の規制とは直接リンクしません。払えるものなら月に100時間分でも払って構いません。固定残業代の上限時間数の規制はないからです。誤解されるかも知れませんが、従業員・社員に多く払うのは勝手です。でも、そんなに多く払う意味はありませんけど。
(月に99時間59分や80時間の設定をすれば、それなりに説明は付きますが。)

ただし、現実は別の視点で考える必要があります。

大阪社労士事務所・固定残業代の設定時関数は、何時間が適切?

  • 求人を行うメディアによる自主規制
    正直なところ、「月間45時間を越える固定残業代・定額残業手当」で募集を掛けることは難しいと思います。
  • 求職者への印象
    月に45時間を越えるような固定残業代・定額残業手当の設定では、「この会社、残業の多いブラック企業や」という印象を与えてしまいます。

では、なぜ固定残業代・定額残業手当を導入するのか?
冒頭の税理士先生や企業の役員さんに尋ねてみると、、、、、

  • 給与の額面を多く見せたい
    と、言われます。求人票や求人情報の書き方で変わってくると思いますが。
  • 毎月、時間外や休日出勤を計算するのが面倒なので。
    • 実は逆で、毎月固定残業代と実際の時間外・深夜勤務・休日勤務の合計が多いのか少ないのか、チェックする必要があります。賃金台帳にもそれぞれの時間数は記載しないといけませんし。固定残業代でいわゆる時間外労働だけの分なら、深夜や休日の労働分は別途計算になります。

基本的な考え方では、「固定残業代・定額残業手当はおすすめしません」
ただ、お客様の中には「固定で払いたい」ご要望が多いので、対応しています。

基本給(割増賃金の基礎賃金)に一定の係数を掛ける方法をおすすめしていますが、なかなか採用していただけません。通常時間帯の時間外労働だけなら、多いか少ないかのチェックは必要なくなるんですが。

結果として、基本給が違っていても、一定の金額を手当として支払うことになってしまっています。(3万円とか5万円とかのキリのいい数字) 賃金規程には、ちゃんと書きますので、少なくとも労働基準監督官の調査で「不十分な規定」と指摘されたことはありません。

「残業代見合いです」規定だけでは不十分ですので、ご注意ください。

このコロナ禍で

はい、休業があり、時間外・残業が減り、ほとんど時間外労働・休日出勤がなくなったり、激減した企業様からSOSをいただいています。
「残業がほとんどなくなったので、固定残業代を支払わないで良いようにできる方法は無いですか?」

固定残業代は、残業が有ろうが無かろうが「決まった金額を支払う」制度(手当)です。弊所・大阪社労士事務所のお客様で書けば、年間40~100万円+ほどになります。従業員・社員と固定残業代の減額や支給停止の話し合いに入っても、「生活が激変します」という理由で一時的な減額や支給停止さえも合意に至っていません…。
(そのうちの何社かは、休業して雇用調整助成金を受給しています。)

私には、固定残業代・定額残業手当を支給するよりも、実際の時間外労働等の分を支払う方がキレイに見えます。

あっ、固定残業代の設定時関数は、月30時間なら良いのでは。1日の所定労働時間が8時間未満の場合でも、です。残業をさせないというメッセージを出したいのなら、20時間ほどでしょうか。

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