衛生推進者の選任の是非と、担当業務の内容は?
打ち合わせ中、お客様の総務部長が急に思い出したかのように、
「うちの会社、衛生推進者の選任をしていないですが、何でですか?」
続けて、
「選任していなかったら、選任しないといけないですよね?」
衛生推進者の法的根拠を残しておきます。
労働安全衛生法
(安全衛生推進者等)
第十二条の二 事業者は、第十一条第一項の事業場及び前条第一項の事業場以外の事業場で、厚生労働省令で定める規模のものごとに、厚生労働省令で定めるところにより、安全衛生推進者(第十一条第一項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあつては、衛生推進者)を選任し、その者に第十条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除くものとし、第十一条第一項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあつては、衛生に係る業務に限る。)を担当させなければならない。
(総括安全衛生管理者)
第十条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
三 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの
堅いので、ネットから引っ張ってきます。
●衛生推進者の選任
14日以内に選任し、事業場で周知する。
安全管理者の選任を要する業種以外の業種で常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場においては、衛生推進者を選任する。よって、10人以上50人未満の全業種において、安全衛生推進者か衛生推進者のどちらかを選任しなくてはならない。衛生推進者の業務は安全衛生推進者の業務のうち、衛生に関わる業務のみとなっている。なお、資格要件は安全衛生推進者と同じである。
●衛生推進者を選任すべき業種の例
金融・保険・証券業、各種商品卸売業及び各種商品小売業以外の卸売業と小売業、不動産取引・賃貸・管理業、物品賃貸業、理容・美容・浴場業、葬儀業、映画業、劇場・興行場、公園・遊園地・遊技場、駐車場業、情報サービス・広告業、病院・診療所等医療業、幼稚園・教育施設、社会福祉・介護事業、飲食業などの非工業的業種
●資格要件
1、大学等を卒業し、その後1年以上(労働)衛生の実務を経験した者
2、高等学校等を卒業し、その後3年以上(労働)衛生の実務を経験した者
3、5年以上(労働)衛生の実務を経験した者
4、厚生労働省労働基準局長が定める講習を修了した者((安全)衛生推進者養成講習)
- 衛生推進者は、労働衛生のうち衛生だけの経験で可。衛生管理者保有者でも良し。実務経験があっても念のため養成講習を受講することをおすすめします。→1日1万円ほど。
- 衛生管理者は、労働者数49人未満の事業場の従業員さんが取得することは少ないかと。
●事業場
事業を行う場所であり、本社だけでなく、支店、支社、営業所、店舗、(工場、現場)などの場所が事業場。それぞれの「事業所、事務所」と思っていただければ。
●常時10人以上50人未満
常時使用労働者数は、大ざっぱに書けば、その事業場の給与計算締め日に在職している従業員数。
●選任しなかった場合
罰則は無し、そのため「衛生推進者」については選任することも忘れられているケースも多いと感じます。適用事業報告と同じような傾向です。「安全衛生推進者」については、建設業や製造業が多いので、選任しています。
●衛生推進者の実際の仕事
「第十条第一項各号の業務」(上記枠内の第十条下線部分)とありますので、誤解を承知で書けば、「衛生管理者」の業務と同様のことをすべきかと。衛生管理者の担当職務が、衛生委員会での職務とも直結していることを考えると、衛生委員会と同じようなこともすべき?
で、なぜ今まで衛生推進者を選任していなかったのか? 外部の社会保険労務士(私)に訊かれても答えられない部分ですが、昔の総務部長が選任を否定していたのでは、と推測。なぜなら、当時本社事業場は従業員数が50人以上あり、本来なら衛生管理者の選任を怠っていた?! その後、50人未満になったが衛生推進者のことは忘れられていたと考えられる…。私が契約をいただいたのは、その後で、アドバイスをしたが。。。。。
「でも、なぜ、衛生推進者?」
単にネット情報で、選任が必要だと言うことを知ったからのようです。業務内容(職務)が衛生管理者と同様であり、若干説明すると、「それはかなり難しいな。」と。
取りあえず、衛生推進者を各事業場(事業所)で選任し、周知する方向で決まりました。講習の費用も数万円掛かってきますね。
できたら、「70歳までの就業機会の確保」(努力義務)とか、「育児介護休業規程の変更」(法改正部分)とか、「中小企業の同一労働同一賃金の対応」(義務)とか、「非正規社員向けの就業規則の整備・作成」も、同じように前向きに対応していただけたら、と思います。
※守秘義務の関係で、脚色しています。
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