非正規社員にも「賞与を支給」規定の追加が正解

今月13日、15日に非正規社員の待遇格差での最高裁判決が出て、すでに弁護士事務所さんや人事コンサル会社が、解説セミナーを行っています。来月11月にはもっと多くのところで、判決の解説セミナーが行われるようです。

弊所・大阪社労士事務所の場合は、お客様から「同一労働同一賃金」についてのお問い合せは、数件、うーん3,4件しかありません。雑談でテーマを出しても興味を持たれていないような…。

以下、私桑野がお客様への説明用の記事としてアップします。
最高裁判決の解説でもありませんし、学術的・理論的ではありません。それらを求められるのであれば、弁護士さんや労働法専門の学者先生が講師のセミナーに参加される方が良いと思います。

あくまで、来年令和3年4月から対応を求められる中小企業向けに、今の気持ちをまとめておきます。大企業は今年4月から実施されていますので。

例によって、同業者の社会保険労務士や人事コンサルタントは読まないようにお願いします。弁護士先生は読んでも構いませんが、必ずご意見を送ってください。

大阪社労士事務所・非正規社員にも「賞与を支給する」規定の追加が正解

13日の最高裁判決を受けて

「パートタイマーや契約社員には賞与・ボーナスの類いは支払わなくても良い」
そう思った企業の経営者や人事総務のご担当者も多いと思います。

この判決は、各社各種の事情を酌んだ「事例判決」と言えます。ですので、最高裁判決といえど、そのまま鵜呑みにして「賞与・ボーナスの類いは支払わない」「退職金を支給するなんて、もってのほか」と直結すると危険かと。

平凡な社会保険労務士ですので、この日の判決を解説はできません。が、あくまで「この事件(訴訟)に関しては、賞与や退職金は支払わなくても良い判断がされた」と思ってください。

賞与の性格が、「利益配分」であれば正社員・正規従業員だけのものではないはずです。退職金・退職手当の性格が、「長期勤続雇用を期待してのもの」であれば、なるほど正社員だけに支給することも認められるでしょう。ただし、そのことを確定させるための条件が要ります。
(例えば、5年以下の継続勤務しか認めていない、正社員登用制度が使える状態である、など。)

15日の最高裁判決を受けて

ほぼ会社側(日本郵便さん)が負けました。

扶養手当・年末年始勤務手当・夏期冬期休暇・祝日給・病気休暇は、与えないこと差があることが不合理と判断されました。「職務内容に相応の差があっても」です。

こちらの判決は、法令やガイドラインの考えをそのまま(それ以上?)写したかのような結果です。同一労働と完全に認められない場合であっても、それぞれの手当や休暇の性格(目的)が明確であっても、差は合理的ではない、そう思った方が良さそうです。

中小企業が同一労働同一賃金に対応するなら

弊所・大阪社労士事務所のブログで再確認をお願いします。
「同一労働同一賃金の実務対応」資料を配布

非正規社員の就業規則類を整備する→待遇差をチェックする→待遇差がある場合は、その理由を考える→待遇差をなくすなら、就業規則類を変更・見直しする
↑ ↑ これが流れです。今からだと、かなり一生懸命にしないと来年4月には間に合いません。

パートタイマーや契約社員の就業規則を見ていると、「賞与は支給しない」「退職金は支給しない」と規定されているケースは少なくありません。賞与の場合、「ただし、寸志を支給することがある」と規定されていることもあります。そこを「賞与を支給する」に変更しましょう。えっ、人件費の負担が増える? 増えない方法もありますよね。

手当や休暇は、労働時間比例にするのが分かりやすいでしょうか。それ以外の労働条件・処遇もお忘れなく。

退職金は、性格付けを明確にしましょう。「賃金の後払い」であるならば、非正規社員に支払わないのは不合理と判断されるかも。

まさか基本給も

「短時間勤務だからパートタイマー」
「中途採用だから契約社員」
そして基本給も安い。

一度正社員・正規従業員の月額給与を時間数で割ってみてください。工場とか、飲食店、小売店には多いのですが、どれほどの格差があるのかくらいは知っておきたいところです。

★定年後再雇用者の基本給減額の是非が争われた訴訟の判決で、名古屋地裁は28日、同じ仕事なのに基本給が定年前の6割を下回るのは不合理な待遇格差に当たると認めました。6割、継続給付を考えれば下げることを提案してしまいます。定年前と全く同じ仕事内容での減額は慎重に対応した方が良さそうです。20年以上前の丸子警報器事件のときは2割以上の差はアウトとされました。

★企業内労働組合の有無は、いったん横に置いておきます。互助会などの従業員組織が事実上の労組に見える場合もあります。

同一労働同一賃金の対応に悩んだら

  • 新規学卒者を受け入れている
  • 非正規社員が全体の2割3割を超えている
  • 従業員数が100名よりも多い

そうなら、積極的に同一労働同一賃金の対応をすることをおすすめします。あっ、定年後再雇用者の待遇もお忘れなく。あっ、テレワーク専従者の労働条件も違うケースありますね。

今回の最高裁の判断に関係なく、人材募集の点、労務管理の点からは、できるだけ待遇差は少なく、小さい方が良いと思います。まあ、「待遇差の説明義務」さえ果たせば、社会保険労務士としては満足ですが。

労務相談顧問
就業規則の作成・変更・見直し


大阪社労士事務所

【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】

年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。
労働条件自主点検表が送付された場合の対応もおまかせください。

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貴社の人事労務の問題点をチェックします

外部から人事労務の問題点を指摘される前に、労働トラブル発生の前に、企業の人事労務問題点を監査します。是非、ご相談ご利用ください。▶人事労務監査
(社会保険労務士は、企業の経営労務監査をサポートします。)

働き方改革の情報も、就業規則見直しセミナー

次回のセミナー開催は、11月5日です。セミナーだけでなく、個別相談の対応も行っています。働き方改革対応セミナーも、同日開催。内容は、「簡単わかりやすい同一労働同一賃金の対応」になります。

「働き方改革の実務対応セミナー」「就業規則見直しセミナー」の講師も承っております。

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