身元保証書に書く上限額は、いくらが適切か
この4月から民法の改正により、身元保証書に損害賠償額の上限額(極度額)を記載する必要があります。記載しなければ、その身元保証契約は無効になります。法的なことについては労働関係に明るい弁護士先生がネットに詳しい記事を書かれていますので、検索でどうぞ。
記載自体は、今お使いの身元保証書に1行加える程度で大丈夫です。
「本保証に伴う賠償限度額は金◯◯円とします」
たったこれだけです。
賠償限度額は、前後の文脈に応じて上限額(極度額)などに修正してください。
さて、金◯◯円にいくらの金額を書けば良いのか、この3月に入ってから弊所・大阪社労士事務所のお客様から電話をいただいたり、打ち合わせ時に質問を受けたり。
この上限額に関しては、公的な調査・アンケートの類いは見つからず、私桑野の主観と独断と偏見で書きますと。。。。。
- 年収相当額
見込みでざっと書きます。新規採用なら300万円とか、中途採用・幹部候補生なら400万円500万円になるでしょうか。「年収相当額」と書いては無効と判断されるリスクがあります。 - 月額基本給の12か月分
年収相当額に近い額になるかと思いますが、より明確な金額になります。基本給が20万円なら、240万円と記載します。
社長様や総務部長様によっては、「3か月ぐらいでええんちゃうの?」とか「100万円がキリが良くない?」と言われます。あまりに少額だと、身元保証の意味合いが薄れます。
逆に、「1億円とか、書いても良いなら、どう?」とも言われます。が、身元保証人になってくださる方が親御さんだとしても、逆に非常に高額だとこれまた面倒な問題も出てきます。公序良俗違反と言われる可能性もあるようですが、正直社会保険労務士である私にはよく分かりません。
あとは、身元保証書のあり方。
「他の企業さん、身元保証書とってます?」とよく訊かれますが、社歴(創業からの年数)が長い企業様や、きっちりしておきたい企業様は身元保証書を採っています。場合によっては、2名様とか、印鑑証明書付きで、とか。
(就業規則の入社時必要書類にリストしてあれば、提出いただくのが筋かと。「悪い人間じゃないので、お世話になります」と言うのは古い考え方でしょうか、身元保証をするのはそういう意味で。)
「身元保証人の方が見つからない場合は、遠慮なく総務部採用担当までご相談ください」などの書面を添えておくのも良いと思います。就業規則にも「会社が認めた場合は、省略できます」旨の文言を入れております、ハイ。
そして、更新でしょうか。
お金を直接扱う職種なら、更新して継続しての身元保証書を提出いただくのも必要です。「信用、信頼のなさ」ではなく、お互い安心して仕事をするためです。
(金融機関のいくつかは、実際に退職するまで身元保証書の更新が必要になっているとか。周囲の知り合い数名から伺いました。)
さて、もう一度「金◯◯円」。
今のところアンケート調査も統計の類いもないので、私桑野がお客様に提案しているのは、「年収相当額」か「基本給の12か月分」です。このあたりは、企業様の実情に応じて、実際には決めていただくのが良いですね。
追記:「年収相当額にボーナスは入れるのか?」と質問をいただきました。その辺、厳密厳格に算出するものでもありませんので、お好きなように。例えば、昨年実績で見込むとか。賞与は入れないのもアリ。2020年3月27日
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