均等・均衡待遇での退職金制度はコレしかない

2社ほど既存のお客様に、同一労働同一賃金の件で訪問。就業規則などの社内規程も含め、来年2020年中に何とかしましょということで、打ち合わせを始めました。
(中小企業様なので、間に合います。時間外労働の上限規制はもう対応済みなんです!)

で、賃金の差をどのように埋めるべきか、大きなものは『賞与』と『退職金』。ほかの手当よりも金額的に張るため、社長様や総務部長様などは乗り出して質問をしてくださいました。『賞与』はサラッとなるほどレベルで済んだのですが、問題は『退職金』。

「正社員は、中退共だけど、60歳の定年で支払ってるし。定年後再雇用の嘱託社員は、どうしたら?」
「契約社員が無期転換しても、退職金要りますよね?」(昔に説明したはず~小冊子渡していますから)
「パート社員から、正社員に転換することも考えられますけど、逆も(短時間正社員?)あり?」

この2社様、どちらも別の企業様で、1社は製造加工業、もう1社は専門商社。人数は、100名には満たないけれど…。社歴が長いので、両社とも正社員には退職金制度があります。別々の機会に打ち合わせしたのですが、質問事項はよく似ています。

大阪社労士事務所:同一労働同一賃金、均等・均衡待遇での退職金制度はコレしかない

  • 正社員には、中退共で積み立て、月例賃金を基礎賃金とした計算式で算定した金額を退職金の額に。差額は、会社が別途支払う。
  • 再雇用嘱託社員、契約社員、パート社員には、退職金制度はない。
  • 契約社員やパート社員から無期転換を希望した従業員・社員は、実は実績がゼロ。

積み立ては、考え方を転換したら

正社員に退職金制度がない場合は、ここで悩む必要はありません。待遇差をどうこうするも考える余地さえありません。非正規社員は、必ず5年以内で退職、契約終了とするなど別の制度と整合性も取りたいところです。

  • 提案1)契約社員もパート社員も、採用入社日から中退共に加入させて、掛け金を支払う。
    中退共は掛けてから1年は退職金が出ません。掛け損のように感じますが、法人であれば全額損金で経理処理できますので。掛け金は、基準・規定により、増減させます。「入社3年から支給する」などの対応は従来どおり。嘱託社員も、定年時に支払わずに継続して加入させておけます。
  • 提案2)正社員だけ従来のまま、中退共とし、それ以外は退職時に一括持ち出しで。
    ただ、退職者が多いと一時的に支払額が多くなる(そう思いませんけど)と言われます。平準化できませんが、資金的に余裕のある企業様なら、問題無しです。
  • 提案3)嘱託社員は、特退共で積み立てる。
    嘱託社員に限定されませんが、勤続想定年数が短いのであれば、特退共も良いかも。1か月でも、支払われるそうなので。
    (特退共は、民間の保険会社が幹事会社で、中退共と似ています。掛け金は、損金処理できます。)

お客様の社長様や総務部長様に言われて「はっ!」としました。口では理屈でああだこうだ言っていましたが、考え始めると難しい。民間保険・養老保険も良いのですが、定年後再雇用の嘱託社員には保険料が高くなり使いにくい。

※弊所・大阪社労士事務所のお客様の場合であって、お読みいただいている全ての企業様に合うご提案ではございません。悪しからず。

計算式は、貢献度を加味した方法でして欲しい

弊所・大阪社労士事務所では、退職金の額は基本給・月例賃金をベースにする計算式から、勤続年数+貢献度に応じた額にするよう、毎度ご提案しています。なかなか受け入れられないのですが。

このブログ内にも、情報を何回かアップしています。
一つだけリンクを貼っておきます。
貢献度を加味した退職金制度を整えたい

従来からの基本給連動型でも構いません。

パート社員の場合は、直近6か月なり3か月の月平均勤務時間数で比例させるなどで対応すれば、基本給ベースの場合も、勤続年数+貢献度の場合も対応できます。正社員の月平均所定労働時間も固定させるのか、変動にするのか。月150時間あたりに設定すれば、文句は出にくいかも知れません。

雇用区分が移動した場合は、都度退職金額を計算しておく方が良いと思います。例えば、「パート社員の時の退職金額」+「正社員の時の退職金額」(場合によっては、+「嘱託社員の時の退職金額」)で集計します。

もちろん、退職金規程は全て変更です。

税務の主張

過去に1社税務署から指摘を受けたことがあります。社会保険・労働保険の上では問題ありませんとアドバイスし、顧問税理士さんにも相談していただくようアドバイスした案件です。

「定年以外は、社会保険なり雇用保険の異動・喪失などがない限り、退職金支給とは判断しない。」
そう、税務署から指導を受けたそうです。
税理士先生も立ち会っていたので、その後、退職金扱いされたとか。

勤続年数が重なっていなければ良いのかと思いましたが、利益調整ととらえられると良くないらしいです。(らしいです!)

退職金制度は変更見直しの場合、顧問税理士さんにも確認していただくことをおすすめします。(上記指摘事例も、見ていただいたのですが…。なぜか指摘されたのは、顧問社会保険労務士の私のせいに…。)

まとめ

退職金は金額も多くなることが想像できますので、トラブルにつながりやすいとも言えます。

月5千円の手当なら、時効を考えると、2年で12万円。退職金なら、数年で30万円40万円や100万円になれば、支払わなければ労働トラブルとして表面化しやすいでしょう。

「非正規社員には、退職金は支払わない」ことを含め、早めに検討した方が良いです。

今回は、お客様からご相談いただいたおかげで、気付きを得ることができました。
お客様、ありがとうございます。

労務相談顧問
就業規則の作成・変更・見直し
「同一労働同一賃金の実務対応」セミナー講師


大阪社労士事務所

【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】

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