同一労働同一賃金の対応、その前の対応
働き方改革の一つの柱『同一労働同一賃金』について、ようやく既存のお客様や、新規の企業様からお問い合わせをいただくようになりました。備忘録を兼ねて、私桑野の分かる範囲で書いておきます。
『同一労働同一賃金』については、厚生労働省の情報が一番信頼できます。
同一労働同一賃金特集ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
派遣労働者の同一労働同一賃金について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html
大企業は半年後の令和2年4月1日から、中小企業では1年半後の令和3年4月から、派遣社員は大企業と同じ半年後の来年4月から、同一労働同一賃金の考え方が実施されます。
(根拠法:パートタイム・有期雇用労働法、労働者派遣法)
弊所のお客様で大企業は少ないのですが、派遣社員を受け入れている派遣先となっている企業様がある関係で、どうしても来年4月からの法施行が気になるようです。
改正のポイント
非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)について、以下の1~3を統一的に整備します。
1 不合理な待遇差の禁止
同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。ガイドライン(指針)において、どのような待遇差が不合理に当たるかを例示します。
2 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」などについて、事業主に説明を求めることができるようになります。事業主は、非正規雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければなりません。
3 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR) の整備
都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続きを行います。「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由に関する説明」についても、行政ADRの対象となります。
同一労働同一賃金のアバウト対応
パートタイマー・契約社員
一番最初にすることは、通勤手当・賞与(ボーナス)・退職金を正社員と同じにすることです。
(職務評価も本当はすべきですが、弊所のお客様では現状不要と思っています。「同じ」って言われますから。職務評価のサポートはします。)
正社員の通勤手当が上限3万円なら、フルデイ勤務の契約社員も同額まで、パートタイマーが正社員の半分の日数なら15,000円を上限とする、など。ボーナスも退職金も、正社員に支給されるなら、それなりに。割合はどの程度なら許容されるのかですが、ざっと5割←ざっとですので信用しないでください。
次は、説明義務の対応です。厚生労働省作成の「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル」のワークシートを埋められるようにしておきます。ワークシートが埋めることができれば、一安心です。ある程度の企業規模なら、この説明義務に耐えられるだけの準備はしておく必要があります。
不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03984.html
派遣社員
例外の「労使協定方式」を利用されるのが現実的です。派遣先の企業様であれば、それ以上気にする必要はありません。
ザックリし過ぎかも知れませんが、来年4月以降は派遣料金が上がります。(断言して良いのかどうかは分かりませんが) 事務系や製造業関係はほぼ間違いないので、派遣社員の利用を止める止めない、自社の有期雇用に切り替えるなども含めて、検討しましょう。
4月以降も派遣会社を利用する場合は、はやめに派遣元(派遣会社)から説明を受けることをおすすめします。
同一労働同一賃金、施行までの今すぐすること
それは決まっています。
- 雇用形態に応じた就業規則の整備
- 正社員の諸手当の見直し・統廃合
無期転換ルールの施行の際にも書いたのですが、パートタイマー就業規則や契約社員就業規則、嘱託社員就業規則などの作成・整備が先です。併せて、正社員の諸手当の見直しを行います。支給条件・支給要件の明確化を行い、統廃合できるものは他の手当と一緒にしたり、基本給に組み入れます。
(基本給の組み入れは嫌がられますが、ちゃんと設計すれば、賞与も退職金も「額」に関しては問題ありません。基本給自体も、時給換算でチェックしておきましょう。)
コレを書いてしまうとアウトかも知れませんが、同一労働同一賃金の問題は民事です。非上場の中小企業様であれば、、同一労働同一賃金を気にするのであれば、まずは非正規の従業員向け就業規則の整備を急がれることを強くおすすめします。
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