固定残業代・定額残業手当を廃止する計算の実務

つい最近もブログに記事をアップしたのですが、既存のお客様からも固定残業代の廃止について、相談を受けました。
「そのまま、残業相当の手当を廃止したら、不利益変更になりますよね?」
「固定残業代は、すでに生活給ですから。」

色々と考え方、手法はあると思いますが、参考にしていただける理屈として書き残しておきます。グーグル検索したのですが、こういう具体的な計算式は、ありませんでした。
(書いておかないと、忘れてしまうので。)

  1. まずは、固定残業代・定額残業手当で支給されている時間外労働の時間数を確認します。
  2. 今後、見込まれる時間外労働の時間数を想定します。
    職種・職位で想定時間数が違うなら、当然それも見込みます。

たったこれだけで、固定残業代の廃止前後での給与・賃金の額を同額にすることができます。
廃止の前後で同額にするのかという部分自体も検討してください。

廃止前の計算式
●年間の1か月平均所定労働時間+固定残業代から計算される時間外労働の時間数(時間外労働の時間数×1.25)

廃止後の計算式
●年間の1か月平均所定労働時間+今後想定する時間外労働の時間数×1.25

1.25は、25%の割増率として計算。
廃止前の時間数は、固定残業代・定額残業手当から逆算します。時間外労働の時間数が、賃金規程に明記してある場合は、その時間数を使います。
数学的には無意味ですが、時間単価の合計数が出て来ます。

基礎賃金の算出は、法令に違反していない前提です。
↑↑ ここ非常に重要です。

年間の1か月の平均所定労働時間も、実務上間違えやすい部分です。完全週休2日制を導入していて、変形労働時間制を適用していない場合、160時間を超えることはありません。

実際の数字の方が分かりやすいかも知れません。

  • 基礎賃金31万円(月間155時間、即ち@2000円)+固定残業代112,500円(時間外労働45時間分)
    =422,500円:211.25時間相当
    • 「時間外労働45時間」は、建設業などを除く一般企業の基準上限であって、別に何の意図・意味もありません。
    • こうやって見ると、「固定残業代・定額残業手当って、高いなあ」と思われるかも知れませんね!現実には、30時間前後で設定している企業様が多いような印象です。

廃止後の残業時間数見込みを20時間とすると

  • 月間155時間+時間外労働見込み20時間
    =180時間相当
  • (211.25時間相当÷180時間相当)×31万円
    =363,820円:新しい基礎賃金・所定内賃金

実際には、時間外労働や休日労働の実績・廃止後の想定残業時間・企業の経営方針などによって違ってきますが、これで従業員への説明はしやすいと思います。

固定残業代の廃止前の実績をどの程度にまで減らすことができるのか、廃止後の時間外の時間数をどれだけコントロールできるのかが、重要なポイントです。ここの計算式は、「現状は是」の前提で計算しますので、実際に廃止する場合は、経営方針、人材確保・採用の点も加味してください。

もちろん、賃金規程・給与規程をチョロッと変更すれば済む問題ではなく、勤怠管理システムの見直し(ツールの導入ではありません)、業務自体の見直し(流行りの言葉で書けば、生産性の向上)、人事評価制度の見直し(時間外労働・休日労働の時間数が少ないほど、評価を上げるetc.)、管理職のあり方(マネジメントできているのか)などは最低限見直す方が良いでしょう。

就業規則の作成・変更で対応すると言うより、「人事諸制度の変更・見直し」です。


大阪社労士事務所

【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】

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