正社員化の助成金、意外と

ここ1,2か月で、「従業員を正社員にするともらえる助成金」についてのご相談が何件かあったので、一般論として、流れについて書き留めておきます。
※該当:キャリアアップ助成金・正社員化コース

何かのご参考にしてください。

まずは、ヒアリング

業種、従業員数は、必ず伺います。相談例では、従業員数10名と少し、創業後10年未満としておきます。従業員数には、いわゆる正社員だけでなく、パートタイマーさん、契約社員さんも含みます。

  • 「就業規則は、ありますか?」
    10数名ですと、ここ数年の設立事業所様であれば、就業規則・賃金規程等社内規程一切をお持ちでないケースばかりです。真面目に作成しようと思うと、2か月程度は掛かります、もちろん費用も。自社対応も可能ですが、賃金・給与の部分だけは各社様で全く別個ですので、無料のモデル就業規則類そのままは使えません。給与明細と賃金規程・給与規程は整合性が取れている必要があります。
  • 「賃金台帳、出勤簿、従業員・社員の名簿はありますか?」
    給与計算を給与計算ソフトで自社で行っている、税理士事務所さんにお願いしていれば、まあ賃金台帳は大丈夫です。既述ですが、賃金台帳の手当類と、賃金規程等の手当類は名称等は原則同じがベストです。
  • 「残業代、払っていますか?」
    このご質問で意外と「払っていない」と言われます。36協定の提出についても確認しますが、就業規則を作成・提出していない場合は、36協定は全く手付かずの状態です。時間外の割増賃金の支払いや36協定が助成金の受給に関係するのかと訊かれますが、「労働関係法令に違反していないこと」をチェックされますので、念のため。
  • 「労働条件通知書、あります?」
    五分五分で、「それ、何ですのん?」「契約書作っています」ですね。一応、存在することが前提ですので…。
  • 「最近、従業員を解雇しました?」
    こちらも、五分五分。ただ、たまーに言われるのが「解雇したけれど、ウチの会社は悪くないねん」。状況を確認させていただきます。

転換後の話ではなく、事前の現時点での事実について伺います。社会保険や雇用保険の手続きは含めていませんが、必要なら手続きを取っているのは当たり前です。

お客様の反応

ほとんどの場合、こう返ってきます。
「意外と厳しいね。他の会社さん、こんなんやってるの?」

年度ごとに条件が変わり厳しくなりがちです。「知り合いの会社は、もっと簡単にもらえたと言ってたけど」そう、言われますが、前年度にもらいやすかった助成金は、ほとんどの場合、厳しくなります。

10数年前に雇用創出助成金を受給された企業様からも、ごくまれにご相談をいただきますが、あの時代とは大違いです。あの時代は、雇用保険さえ加入していれば、健康保険・厚生年金保険は加入手続きをしていなくても助成金を受給できたという、今から考えると何と適当な時代だったのでしょうか。

費用の面

就業規則の作成・変更や、36協定の作成・提出で、費用は掛かります。社会保険労務士事務所に依頼される限りは、費用の発生は事実ですので、隠したりはしません。

費用のことを考えて、「自社申請」を選択される事業所様もあります。正社員化コースであれば、比較的時間的な余裕がありますので、就業規則の作成・変更が自社対応できるようであれば、わざわざ社会保険労務士事務所に依頼される必要はないと思います。

ちなみに、正社員化コースの場合、すぐに転換しても6か月後の支給申請、その後2か月後の支給・振り込みになりますので、運転資金には使えません。

なお、弊所・大阪社労士事務所では、助成金申請代行は顧問先様(社会保険労務士顧問または労務相談顧問のお客様)に限らせていただいております。
(これも、費用の面です…。)


大阪社労士事務所

【大阪社労士事務所は、公的保険手続き・給与計算・就業規則・労務相談を行う、ごく普通の社会保険労務士事務所です。】

年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、無期転換ルールの対応、それらに伴う就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。

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