労使協定
労使協定とは
企業(使用者)と、労働者の過半数を代表する者(労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合)との書面による協定をいいます。
協定ですので、労使の一方が勝手に決めることはできず、話し合いの中で、協定事項や内容について調整し、通常は書面で協定を締結します。
労働者の過半数を代表する者
労働者の過半数を代表する者とは、次の要件をすべて満たす者をいいます。(労働基準法施行規則第6条の2第1項)
- 労働基準法第41条第2号に規定する監督または管理の地位にある者でないこと
- 労働基準法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であること
また、使用者は、
- 過半数代表者であること
- 過半数代表者になろうとしたこと
- 過半数代表者として正当な行為をしたこと
を理由として、その労働者に対し不利益な取扱いをしてはいけません。(労働基準法施行規則第6条の2第3項)
労使協定の種類
内容 | 根拠法令 | 労働基準監督 署への提出 |
社内預金等の貯蓄金管理 | 労働基準法第18条第2項 | 必要 |
賃金の一部控除 | 〃 第24条第1項ただし書 | × |
1か月単位の変形労働時間制*1 | 〃 第32条の2第1項 | 必要 |
フレックスタイム制 | 〃 第32条の3 | × |
1年単位の変形労働時間制 | 〃 第32条の4第1項 | 必要 |
1週間単位の 非定型変形労働時間制 | 〃 第32条の5第1項 | 必要 |
休憩の一斉付与適用除外 | 〃 第34条第2項ただし書 | × |
時間外労働・休日労働 | 〃 第36条第1項 | 必要 |
事業場外のみなし労働時間制 | 〃 第38条の2第2項 | 必要*2 |
専門業務型裁量労働制 | 〃 第38条の3第1項 | 必要 |
年次有給休暇の計画的付与 | 〃 第39条第5項 | × |
年次有給休暇の賃金を 標準報酬日額で支払う制度 | 〃 第39条第6項ただし書 | × |
育児休業制度の適用除外者 (育児短時間勤務含む) | 育児・介護休業法第6条 | × |
介護休業制度の適用除外者 (介護短時間勤務含む) | 育児・介護休業法第12条 | × |
子の看護休業制度の適用除外者 | 育児・介護休業法第16条の3 | × |
継続雇用制度の対象者に係る基準 | 高年齢者雇用安定法 第9条第2項 | × |
届出が必要となっている労使協定は、所轄労働基準監督署長への届出が必要です。
*1 労使協定の代わりに、就業規則等で定めることもできます。
*2 労使協定で定める時間が法定労働時間を超えない場合は届出の必要はありません。
労使協定の周知義務
企業(使用者)は、労働基準法上の労使協定について、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければなりません。(労働基準法第106条)
労働基準法以外の労使協定、育児・介護休業法、高年齢者雇用安定法に基づく労使協定があります。これらの法律に基づく労使協定には周知義務はありません。
支店・工場・店舗がある場合の労使協定
労働基準法では、労使協定の締結の単位は、「事業場」です。
つまり、企業・会社全体で一つの労使協定ではなく、支社・支店・工場・営業所・店舗などの場所毎に、労使協定を締結することが原則です。
就業規則のように最低人数制限がありませんので、事業場の従業員数が10名に満たない場合であっても、労使協定は必要です。
使用者は、通常その事業場の長ですが、労使協定に関して締結する権限を有していないときは、その事業場を管理する者、または企業の代表者(経営者・社長)が使用者です。
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