私傷病休職の期間中に、妊娠の連絡が入った

今回は、お客様とのやり取りがベースではなく、ある社会保険労務士の勉強会での話題を基にブログを書いています。そのため、守秘義務対象の内容ではありませんので、ガンガン書いていきます。

と言っても、弊所・大阪社労士事務所のお客様に置き換えて考えてみても、「私傷病休職の期間中に、妊娠したという連絡が来る」のは想像しにくいです。あるとすれば、メンタル系で休職期間が延長されている場合ぐらいでしょうか。想像力不足かもしれません。

何が問題になっていたかというと、「休職で就労義務を免除している」そこに重ねて産前産後休業を認める必要があるのかないのか。
(問題を提起した社会保険労務士は、産前産後休業を認める必要はないと判断。就労させていないから、がその理由。上場企業の人事担当者です。)

私の考えは、
●私傷病休職:民事であり、企業の勝手
●産前休業:労働基準法により請求
●産後休業:労働基準法により強制
●育児休業:育児介護休業法により申し出
です。

労政時報の古い10年以上前の記事に全く同じ内容の質疑がありました。著作権の関係があるので掲載はしませんが、私と同じ発想です。

大阪社労士事務所・私傷病休職の期間中に、妊娠の連絡が入った

産後休業に限らず、産前休業も育児休業も法の条件に合っていれば、承認という作業は必要ないはずです。

  • 給与
    私傷病なら、まず傷病手当金が思いつきます。休職給が支給されている場合を除き、産前産後休業をとれば出産手当金が受給できます。大企業・上場企業なら休職給が一定期間7割8割出るケースもあるのかもしれませんが。傷病手当金でも出産手当金(優先度はこっち)でも、健保なら同じ額、組合健保は不明。
  • 社会保険料
    産前産後休業、育児休業の期間中であれば、労使ともに保険料は免除されます。企業別健保組合なら、そこのところ別の意味で厳しいのかも。
  • 解雇制限
    乱暴に書くと、産前産後休業の期間中とその後30日間は解雇制限に引っかかります。この期間中に「休職期間満了につき自然退職とする」扱いもできないと判断する方が安全です。

企業の福利厚生で、法令を上回る労働条件であれば、産前産後休業にするメリットも少ないと言えるかもしれません。が、保険料免除まで考えるとどうでしょうか、解雇制限も。

「妊娠している」旨の連絡を受けてしまえば、労働基準法で認められている産前産後休業を取らせなければ、労基法違反→労働トラブル・刑事罰になる可能性もなきにしもあらず。
(情報として「妊娠」を知らなければ、休職期間満了での自然退職もあり得ます。退職後に妊娠して出産していた事実を知った場合は、どうなるのでしょうね?)

まあ、休職期間が中断されるので、休職期間の考え方をどうするのか(産前産後休業の期間分の日数を延長するのか)、復職できる状態にまで体調が戻ったらどうするのか。憶測にしか過ぎませんが、人事担当者はその休職者に早く退職してほしかったと言うのが本音かと。
(そう話を持っていけば、別の展開があったかもしれません。)

ちなみに、労働基準法解釈総覧(通達の解釈集)で65条を見ると、「就労させているかどうかは問わない」旨記載されています。→昭25.6.16 基収1526

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