「能力不足の社員を解雇したい」

お客様から相談がないなあと安心していると、別々のお客様から同じような相談が来ました。
「能力不足の社員を、何とかしたい。」

懲戒解雇に相当する悪事を働いたのなら、解雇へ持って行きやすいのですが、そうではありません。まあ、経営者様でも「仕事の結果を出せへんのは、悪いことや」というのも、聞かされますが…。

以下、理屈は抜きにして、弊所・大阪社労士事務所からどのようなアドバイスをするのか(過去には、どのようなアドバイスをしたのか)、少しメモしておきます。

解雇については、通常顧問契約(労務相談顧問社会保険労務士顧問)をいただいている企業様の、日常の人事労務問題を解決する一環として相談対応しております。「解雇するためだけ」のご相談等は、原則していません。

解雇を考える前に

必ず、次のコトをお願いしています。
「注意、指導、教育」です。

注意=ある物に対し気をつける、指導=ある目的に向かって教え導くこと、教育=人の心身両面にわたって、またある技能について、その才能を伸ばすために教えること、そう辞書には記載しています。

ベタに書くと、注意とは「間違ってたり、違うことをしていたら、指摘すること」、指導とは「正しいやり方を伝えること」、教育とは「研修やセミナー、講習を受けさせること(ときに、OJT)」でしょうか。

「注意、指導、教育」も無しでは、何も先に進みません。「勝手にしろ」でもありません。適切で客観的な注意であれば、パワハラになることもありません。

良いことに、弊所のお客様に「注意、指導、教育」をお願いし続けたら、5年10年と経つうちにお客様にも少しはご理解いただけるようになりました。最初のうちは「桑野さんは、どっちの味方?」とお叱りやイヤミを言われ続けましたが…。注意指導教育は、記録しておいてください。

※弊所・大阪社労士事務所では、社会保険・労働保険はほぼ電子申請しています。
大阪社労士事務所・「能力不足の社員を解雇したい」

能力不足は、解雇しにくい

いえ、「解雇」を伝えることはできます。できないことではありません。

ただし、能力不足を理由とした解雇は、後々のトラブルにつながりやすいので、「解雇しにくい」のです。解雇の決断は、社会保険労務士がするのでなく、経営者様・社長様がしますので、それ自体を否定はしません。

リスクをご理解いただいた上での解雇であれば、仕方ないかと。

ただ、その対象となる社員・従業員とコミュニケーションを取って欲しいと思います。話し合っていただき、経営者様・社長様の気持ちをやんわりと伝えて欲しいのです。

そこでやっと「社長が何を思っていたか初めて聞いた」とか「そういう風に思われていたとは、もっと前に言って欲しかった」と返ってくることもしばしば…。

解雇は言えます。事業主・使用者の一方的な契約の解除ですので、行使可能です。が、その前に、話し合いをしていただくことは可能でしょうか。いえ、是非、お願いします。

タイプ別、ワンポイントアドバイス

新卒、第2新卒

短くても3年は能力不足で解雇しにくいです。注意、指導、教育教育教育くらいの感覚でしょうか。新入社員研修はもちろん、ときには2回目の新入社員研修、担当分野の外部研修などを受講させます。新卒を採用すると言うことは、少し長い目で見てあげる必要があります。

管理職候補(管理職)としての採用者

雇入れ時に、数的な目標を提示、了解を得ていれば、それを大幅に下回る場合は、解雇も仕方ありません。ただ、管理職候補者の場合は、すでに経営者様・社長様と感情のもつれがあったり、そこが難しいところです。

専門職

顧客や社内の要望にどれだけ応えることができていたのか、あるいはできていなかったのか。採用当時は、専門的なスキルがあったが現在では陳腐化・一般的なスキルしかない場合もあります。職種転換も考慮したいところです。

契約社員

有期契約の社員さんですが、1年2年ならまだしも、5年を超えている場合などは、果たして「契約更新が適正だったのか」「無期転換の希望はないのか」「無期契約と同視できるのでは」など、懸念事項が出てきます。

人事評価制度があれば

突っ込みどころが多いので、あまり触れたくありません。

適正・公平な人事評価項目が、適切に運用されており、フィードバックされているのであれば、能力不足を証明する一つの事実になり得るはずです。
(はずです、と言うのは、何かが欠けているケースが多いので。評価者研修がなかったり、恣意的に運用されていたり。評価内容や項目自体、オープンにしない場合は何によって評価されるのか基準さえ分かりませんし。)

フィードバックされていれば、注意も指導も教育もあるはず、あったはずです。また、評価時・査定時に「あなた、間違ったことばかりしていましたよ」では、それはそれで問題です。

どうしたら良い?

経営者様・社長様のご意向次第です。

解雇するために、その社員さんを雇ったのではないと思います。
能力不足は、測定しにくいのです。。。。。

まあ、果たして『能力不足』という表現が正しいのか否か。

労務相談顧問
就業規則の作成・変更・見直し


大阪社労士事務所

【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】

年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。
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