無期転換ルール、もう始まっていますパターン

「セミナー冒頭で説明のあった、『誤解しやすい部分』が分からないんですが。」
と、7/5の無期転換対応セミナーにご参加いただいた方よりメールが来ました。
講師の説明が悪くて、勘違いしやすい部分が誤解を招いたようです。

何でも、セミナー受講後、人事担当部署のメンバーでミーティングをしたそうですが、講師に訊いた方が早いと、メールをいただきました。(この段落部分、一部、脚色しました。)

で、無期転換ルールの条文です。

労働契約法
(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
第十八条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする

同一の使用者との間で締結
これは、分かりますね。悪意がない限りは、同一の法人・個人事業主です。

二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間が五年を超える
少なくとも1回は更新した有期の契約です。なぜ「始期の到来前」とあるかというと、だいたい満了の1か月2か月前に次期の契約に関して約束(契約締結)します。その際には、まだ始期が来ていないので、このような書き方に。
始期が来ていれば、つまり2回目以降の契約期間が5年を超えるかどうか。実際に超えた時ではありません。

契約期間3年の時には、2回目の契約期間に入れば、無期転換申込権が発生するとパンフレットにも書いています。それと同じで、すき間なく契約更新した場合は「5年と1日」を含む契約期間が重要になってきます。

●労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間
その有期労働契約の期間中に、と言うことです。

再掲しますが、順調に契約更新した場合は「5年と1日」を含む契約期間に無期転換申込権を行使できます。

当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。
対象の従業員さんが、申込みをしないと、、、、、です。

説明用の資料として、エクセルで図を作りました。
クリックすれば、少し大きくなって見易くなります。
無期転換ルール5年と1日の図

●契約初日:平成25年4月16日(H25.4.1より後です)
●契約期間:初回=事業年度末の6月末まで=平成25年6月30日まで。事業年度は、この説明用の仮設定です。
●契約期間:2回目以降=1年契約
●「5年と1日」の応当日:平成30年4月16日(すき間なく契約更新した場合:赤文字の部分)

初回の契約期間を、法人の事業年度末日までとする契約方法は、契約更新の時期を揃えるために、弊所・大阪社労士事務所のお客様だけでなく、多くに事業者で採用されていると思います。

ちなみに、決算月別法人数でグーグル検索をすると、国税庁の発表では、事業年度の決算月は、3月が2割、9月12月6月の順でほぼ各月1割だそうです。
無期転換対応セミナーにご参加いただいた企業様の多くは、企業規模が大きいとは言え、ほぼ初回の契約期間は事業年度の末まで。その後の2回目以降は、6か月のところも、1年のところも。

上記図のパターンでは、平成29年7月1日に既に無期転換申込権が発生、既にいつでも行使できる状態です。~H30.6.30まで! その契約期間中に無期転換申込権を行使した場合は、平成30年7月1日から無期化します。
(この契約期間中に「5年と1日」が含まれているので、通算契約期間が5年超となります。そのため、この契約期間の初日に無期転換申込権が発生、その初日から最終日までの間に無期転換の申込権を行使できます。)

ですので、自社の有期労働契約のパターンの確認が必要です。
最初から1年契約なら、平成30年4月1日以後にしか無期転換申込権は発生しません。また、有期労働契約が平成30年4月前からあったのであれば、上記の図の例であれば、平成25年7月1日が初日のカウント、「5年と1日」は平成30年7月1日=契約期間も初日です。

「一番早くて、平成30年4月1日に無期転換申込権が発生する」
これは、間違いです。
何も考えないで、誤った情報を流す専門家ブログが多すぎます。弁護士の先生など法律の専門家の方が見れば、このブログも「適当すぎる」と思われるかも知れませんが、分かり易さを最優先です。

実際に業務に当たっている社会保険労務士なら、初回の労働契約期間が事業年度期末である契約パターンは、ごく普通に経験するはずです。

「もう、無期転換は、始まっています。」


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