振替休日・代休の違いと、現実の対応

「振替休日がなかなか取れないので、再振り替えしたい。」
と、お客様から、メールで善後策の相談。

他社様からは、
「代休がたまりすぎて、もう50日を超えている。」と。

まずは、厚生労働省の労働基準法Q&Aで確認してみましょう。

質問
:振替休日と代休の違いは何か。

回答
:「休日の振り替え」とは、予め休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることを言います。これにより、予め休日と定められた日が「労働日」となり、そのかわりとして振り替えられた日が「休日」となります。従って、もともとの休日に労働させた日については「休日労働」とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。
 一方、いわゆる「代休」とは、休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、前もって休日を振り替えたことにはなりません。従って、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。

乱暴な表現をすれば、
振替休日=事前
代休=事後
となります。

先の「代休がたまり~」の企業様ですが、いったん金銭で処理させていただきました。単価は、現在時点のそれです。賃金債権の時効2年などは全て無視して、あれもこれも書けないことばかりですが、いったん支払いました。従業員数は結構いらっしゃる3ケタ台ですが、代休未処理の方は少なかったので、何とか支払えました。「代休請求していない」とクレームも出ましたが、その従業員さんの記憶の範囲内で支払うことに…。
(先代の担当部長が強硬派の方で、「代休のお金は支払わない」ご方針でしたので、退職・退任されてから後に処理…。)

冒頭の「再振り替え」の企業様ですが、ご要望は、規定まで変えて処理したいのが担当部長のお気持ちでした。当方保存の就業規則・給与規程を確認すると、「運用でなんとか対応できる」レベルでしたので、その旨お伝えし、運用で対応することに。

で、思い出したのが、数年前?10年ほど前でしょうか、ある企業様から質問を受けた内容。
「振替休日とか、代休とか、他の企業さん、どこまできっちりしてるの?」

●就業規則に、振替休日・代休の規定がある
●1週1日または4週4日の休日が確保できている
●給与の計算期間は?労働時間制は?

法定休日に労働させるなら、36協定が必要なことは言うまでも無いでしょう。就業規則にも、たいていのモデル就業規則には振替休日も代休も規定されているので、心配ないでしょうね。

「事前=振替休日」「事後=代休」で、1日8時間・1週40時間を超えたのか超えていないのか、休日は所定なのか法定なのか。

例えば、完全週休2日制の場合、その週の中で事前に振替休日を処理する時は、「振替休日の指定」以外はとくに問題ありません。
↑ 一番考えなくて良いパターン。

このパターン以外は、一応考えます。週40時間(変形の場合は1日8時間も)、給与計算の期間も考えながら…。
↑ この部分、「他の企業さん、」と言った企業様も悩まれた部分かと。社会保険労務士的には、「規定通り、法律通りに」としか言えません。

実際に、振替休日・代休について、企業様のご相談・ご質問を受けて思ったこと。
●「振替休日」は、企業の業務命令なので、従業員は休まないといけない。でも、そのような意識は非常に低い。現実は、その従業員が申請しますから。
●給与計算期間で、全て処理するのが、結局一番ラク。未払いも発生しない。ただし、前月に控除処理(休日処理=ノーワークノーペイの原則)して、その翌月に支給処理(その日の分)をするのは、給与計算担当も、対象の従業員も、「計算が面倒」「控除されたくない」という声が。
●展示会などでの休日出勤は分かるが、そのような時、振替休日で処理するのか、手当の支給で対応するのか。時間外労働等の時間数も考えながら。代休が2日以上ある場合は、もう金銭処理しか…。
●「代休の25%だけ、35%だけ」支払う企業なんてあるの、という声。

労働基準監督署でも、社会保険労務士でも、「法律通り、規定通り」としか答えは返ってこないのが、この振替休日・代休の話しです。

期限などは、個人的な主観を含んでいますので、弊所・大阪社労士事務所のお客様以外は参考にしないでください。


大阪社労士事務所

【大阪社労士事務所は、公的保険手続き・給与計算・就業規則・労務相談を行う、ごく普通の社会保険労務士事務所です。】

年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。

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