コンプライアンス優先ですが、週40時間労働はおかしい

ある日、ある時、労働に関して相談を受けました。

経営者・使用者の立場にある方からです。
「法律は、守りますよ。当たり前ですし、労働トラブルはコワイですからね。ちゃんとしたご指導をしていただけますか?」
続けて、
「いやあ、全然労働基準法とか、社会保険とか、分かっていないんです。そこらの常識も教えてください。」

社会保険労務士の立場からすると、こういうことを伺うケースは少ない(というのは、想像いただけますでしょうか?)。
脱法すれすれ、ウラ技を教えて欲しいと言われることはあっても。

別のタイミングで、相談に伺いました。
まず、ご要望に応じて、労働基準法で一番取っつきやすそうな労働時間から説明をしていきます。

すると、社長様から一言。
「1日8時間までですか。週で40時間ねえ。でも、働きが悪いと、1日10時間でも12時間でも働かせて当たり前じゃないですか。それに、従業員自身が悪いのに、残業代を払わないといけないんですか。自分のミスは、自分で消すのが、人間でしょ。その法律は間違えていますね。」
(変形労働時間制も説明済み。みなし労働も使えず、裁量労働制の対象職種でもなく、管理監督者にもなれそうもないのは、説明済み)

私「就業規則には、それを踏まえて、記載するんです。実際に運用していただくのは、社長なり人事のご担当者様ですので、ご理解頂いて。」
社長「それは、できませんね。あなた、本当に社会保険労務士?」
私「今、ご存じのように新聞などでも残業代が問題となっていまして、避けて通れない問題なんです。生産性や能率の向上を考えていただくようお願いします。」
社長「私はね、新聞が嫌いなんですよ。だから、そんなこと知りません。私は、コンプライアンスをきっちりしたいだけですよ。貴方、働いたことあるの?」

「コンプライアンス」は、一般には、法令順守とされています。
社長様に、法律を踏まえて説明しましたが、その後、連絡はございません。ちなみに、相談は無料という認識をされているようでした。もっとも、相談の範疇は超えていました。
説明(レクチャー)の段階で、労働局が提供している労働基準法の冊子を見ながらの解説だったのですが。

こんなことなら、まだ「ウラ技、教えて」(クリアにするための方法を教えて、という意味で)という経営者・使用者の方がよほど良いですね。

顧問先様の社長や人事総務のご担当者様には「そういうことね、ありがとうございます。」と言われているんですけど。



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