「2等級以上、上がっても月額変更届は不要」

いきなり刺激的なタイトルですが、労務相談顧問のお客様からのご質問に答えた形です。ちょうど今、算定基礎届の封筒がじゃんじゃん届いている時期でもありますので、ご参考のために。

お客様と電話でのやり取り。
担当部長「月額変更届、要ります?」
私「うーん、その場合は、随時改定に該当しませんから、通常の算定基礎届だけで大丈夫ですよ。」(もちろん、即答です。)

詳しいことは、守秘義務の関係で書けませんので、参考までに。
↓↓ 月額変更届が必要なパターンです。

固定的賃金の変化報酬全体月額変更届
アップアップ
ダウンダウン

年金機構の月額変更届・随時改定の記載

被保険者の報酬が、昇(降)給等の固定的賃金の変動に伴って大幅に変わったときは、毎年1回行う定時決定を待たずに標準報酬月額を見直します。この見直しによる決定を随時改定といい、次の3つの条件を全て満たす場合に行います。
(ア)昇給又は降給等により固定的賃金に変動があった。
(イ)変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
(ウ)3か月とも支払基礎日数が17日以上である。

○固定的賃金とは、支給額や支給率が決まっているものをいいますが、その変動には、次のような場合が考えられます。
1.昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)
2.給与体系の変更(日給から月給への変更等)
3.日給や時間給の基礎単価(日当、単価)の変更
4.請負給、歩合給等の単価、歩合率の変更
5.住宅手当、役付手当等の固定的な手当の追加、支給額の変更

○随時改定の対象とならない場合
1.固定的賃金は上がったが、残業手当等の非固定的賃金が減ったため、変動後の引き続いた3か月分の報酬の平均額による標準報酬月額が従前より下がり、2等級以上の差が生じた場合
2.固定的賃金は下がったが、非固定的賃金が増加したため、変動後の引き続いた3か月分の報酬の平均額による標準報酬月額が従前より上がり、2等級以上の差が生じた場合

今回ご相談いただいたケースは、「固定的賃金が下がった(減額)」が、「標準報酬月額は、残業手当の増加で上がった」。上記、随時改定の対象とならない場合の2.そのままです。

固定的賃金が下がったのは、労働条件の不利益変更ではありません、念のため。と言っても、計算してもらうと数百円だったんですが。

「2等級以上差が出たら、月額変更届の手続きが必要」と思い込んでいる場合もあります。その前に、「固定的賃金の変動」があったのかなかったのか、確認してください。まあ、固定的賃金の変動が無い限り、随時改定のチェックは不要です。
(納税協会連合会で社会保険担当講師をしていたときに、何件も相談を受けました。)

理屈だけで言うと、固定的な手当の額が1円でも下がれば、全体として10万円上がっても随時改定に該当しないことになります。

それで、お客様への回答が、
「2等級以上、上がっても月額変更届は不要」
ということになったわけです。



ちなみに、算定基礎届で多い勘違いがあります。
「4月分、5月分、6月分の賃金・報酬」を記入するのではなく、「4月5月6月に支払われた賃金・報酬」を記入します。末日払いですと金融機関休日・社内規程の関係で翌月払いになることもありますが、本来の支払日でもって考えます。これも、講師をやっていたときに非常に多い深刻なご相談でした。


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