最近、元請さんや発注元のチェックが厳しい
コロナ禍が一段落したせいか、4月以降経済活動が少し以前に戻るのかなと感じていると、いくつかの企業様からご連絡をいただきました。
その相談内容ですが、言わばコンプライアンスチェックのようなものです。2社あり、1社は建設業の社長様から、もう1社は製造業(メーカー)の人事総務のご担当者様から。
建設業の
まず、1社目の「建設業」ですが、シンプルなご相談でした。
「安全衛生管理体制の組織図を作って欲しい。」
これだけでは、ちまたのパンフレットにある安全衛生管理組織図で十分なのかどうか分かりませんでしたので、念のため社長様に確認しました。
「元請さんから法令違反がないかチェックするので、次のような書類を期限までに提出してくれと、元請の担当者さんから指示されまして。」
確かに、人事労務関係の書類の割合が多いですね。(と、声に出てしまう。
就業規則や36協定は、何年か前に作成したようで、持参していた控え書類を見せていただきました。が、就業規則は「どこのコピーやろ」と思われるような内容、36協定は2年以上前のもので今年のものではなく…。
先に安全衛生管理体制の組織図に関して、情報を伺うと、従業員数◯◯名なので、安全衛生推進者の選任が必要。
質問
安全衛生推進者(衛生推進者)について教えて下さい。
回答
安全管理者及び衛生管理者の選任が義務づけられていない中小規模事業場の安全衛生水準の向上を図るため、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場では、安全衛生推進者を選任し、労働者の安全や健康確保などに係わる業務を担当させなければなりません(安全管理者の選任対象外の業種では安全衛生推進者に代わり衛生推進者を選任し、衛生にかかる業務を担当させます)。
職務
安全衛生推進者(衛生推進者)が担当する職務は、
1.労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
2.労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
3.健康診断の実施その他の健康の保持増進のための措置に関すること。
4.労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
等です。(衛生推進者については、衛生にかかる業務に限る。)
選任の手続き
安全衛生推進者(衛生推進者)は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任しなければなりません。
その事業場に専属の者を選任します。ただし、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントその他厚生労働大臣が定める者のうちから選任するときは、この限りではありません。
選任した時に、その旨を所轄労働基準監督署に報告する必要はありませんが、安全衛生推進者(衛生推進者)の氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知しなければなりません。
(厚生労働省ウェブサイトから)
資格要件<安衛則 12 条の 3、安全衛生推進者等の選任に関する基準(昭 63.9.5 労働省告示第 80 号)>
(1)大学又は高専卒業後に1年以上安全衛生の実務に従事している者
(2)高等学校又は中等教育学校卒業後に3年以上安全衛生の実務に従事している者
(3)5年以上(安全)衛生の実務に従事している者
(4)安全衛生推進者養成講習(衛生推進者養成講習)を修了した者
(5)安全管理者・労働安全コンサルタントなどの資格を有する者
従業員数の確認まではしていませんが、◯◯名なら推進者の選任だけ。伺うと、何年か前に選任したけれど、その従業員さんはやめてしまっているとのこと。
(従業員数10名未満であれば、安全衛生推進者の選任どころか就業規則の作成・整備も法律上は義務ではなくなりますけど。)
「まずは安全衛生推進者を選任してください。」と伝えると、社長の顔色が変わりました。会社へ戻って、検討するとのこと。
それから、音沙汰がありません。。。。。
(と言っても、数日)
製造業(メーカー)の
かなり昔にも似たようなご相談がありましたが、今回のメーカー様からのお話は、現代版とも言えるかも知れません。
「就業規則や社内規程が法令違反になっていないか、チェックして欲しい。とくに男女差別になっている部分や同一労働同一賃金に対応しているのか、そういうところも~。」
発注元さんから、発注先さん=ご相談の企業様に「定期的な」とか「コンプライアンス」とかの文言が並んだ文書が届き、不安になってしまったらしい。発注元さんへ書類を渡す前に「ザッと」見て問題点を指摘して欲しいとのこと。
就業規則や育児介護休業規程、賃金規程などを拝見しました。が、規定上では問題はありませんでした。同一労働同一賃金については、処遇差・待遇差のチェック表や比較表などがあるか伺うと「ない」(そういうのは実施していない)。
次世代法も女性活躍推進法も、いちおうは対応(策定、届出、公表など)されているようで、法令上は問題無し。
気になるのは、やはり同一労働同一賃金の部分。
「一度貴社でチェックされた方が良いのではないでしょうか。それ無しで、同一労働同一賃金の対応ができているとは言いがたいです。説明義務も難しいですよね。」
人事総務のご担当者様だけではなく、同席していた管理部門の部長様、営業部門の部長様も、「うーん」と言ったまま。念のため、NDAは締結されたか伺うと、「そういうのもですか。でも、相手は発注者ですし…。」。
管理部門の部長様から「チェックし直します。また、できたらご連絡します。」と。もう諦めて発注元さんへ書類を出したのかも。
※守秘義務の関係で、内容は脚色しています。
大阪社労士事務所
【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】
年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。
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