「65歳定年義務化、ホンマですか?」

今日現在、法律を見てみると、定年は60歳以上であれば大丈夫ですよ。どこの国の法律ですか!!

65歳定年制が義務化されました。
↑ ↑
それって、言葉は乱暴ですが、間違っています。


とある企業の人事労務ご担当者様から電話でご連絡をいただきました。
「桑野さん、なんでそんな大事なことを教えてくれないんですか!」
続けて
「3年後の2025年4月には定年を65歳以上にしないといけないのに。なんで教えてくれなかったんですか!」
(もしかして責められてますか?)

何でも近々60歳定年を迎える社員さんがいて、ちょっとGoogle検索をしていると、「65歳定年義務化」が出てきて、、、、、らしいのです。

令和3年4月に施行された「高年齢者雇用安定法改正の概要~70歳までの就業機会の確保のために事業主が講ずべき措置(努力義務)等について~」のパンフレットから抽出。
大阪社労士事務所・「65歳定年義務化、ホンマですか?」

見にくいようであれば、元のパンフをご参照ください。
▶厚生労働省:「高年齢者雇用安定法改正の概要~70歳までの就業機会の確保(略)」
▶厚生労働省:高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~(トップページ)

令和3年4月施行に関連した法改正では、「定年を定めるなら65歳以上」なんて、どこにも書いていません。

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

(定年を定める場合の年齢)
第八条 事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。ただし、当該事業主が雇用する労働者のうち、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事している労働者については、この限りでない。

第9条には、65歳までの雇用について規定された「高年齢者雇用確保措置」、第10条の2には、70歳までの雇用について規定されている「高年齢者就業確保措置」。高年齢者雇用確保措置は義務、高年齢者就業確保措置は努力義務。

推測ですが、令和7年・2025年3月末で労使協定によって継続雇用の対象者を限定することができなくなるから、それをもって「65歳定年うんぬん」と騒いで稼ぎたい方々がいるのでは??? 誤解レベルではありません、悪意を感じます。
(そういう方々、エヴィデンスを求めればきっと「実態は65歳定年制と変わらん」と言い逃れるんでしょうが、60歳定年で希望しない限り継続雇用されませんし、解雇相当の理由があるような方であれば継続雇用されませんし。継続雇用を希望しない定年退職者さんも、中小企業様でもいますよ。)

大阪社労士事務所・「65歳定年義務化、ホンマですか?」

ですので、令和4年4月現在はどういう状況かというと「定年を定めるなら60歳以上」+「定年が65歳未満なら、65歳までは雇用を確保してください」+「70歳までの雇用は、知らんけど(知ってるけど、責任までは…」。

先の人事労務ご担当者様、「えええええ」という声が聞こえてきます。
「でも、ネットには自信ありげに書いてあるし、ええええええっ。あれ全部ウソですか?! もう一度見てみます…。」
と、電話は切れました。

そりゃあ、いつか定年を65歳以上に変えることもあるかも知れませんが、それなら高年齢者雇用安定法の第8条を変更する必要があります。審議会等での議論はありますが、この第8条がここ数年で改正される事実はありません。

ジョブ型雇用なら定年制の意味は少ないですが、使用者側・労働者側双方とも定年制については意見をお持ちのようで…。

  • 分かったこと:
    • ネットには、法的根拠のないことを事実のように書いているページがある。
      • 私自身、たまに間違ったままブログ記事をアップしております。
    • Google検索で、上位に来てるからと言って信用するのは、待て(だいぶん前から、信用してませんけど)。

と言うか、定年制のような重大な事項について、3年前にお客様に情報提供しないことはあり得ません。それ以前に、私桑野が小冊子なり書籍なりセミナーなりで、大々的にピーアールしてますよ。

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