現物給与としての社宅の額の計算方法
昨年の後半に、社会保険の新規適用手続きを代行した企業様から、次のような質問をいただきました。
「この4月から、借り上げ社宅を導入したんですが、確か社宅って社会保険の現物給与に当たるんですよね?」
※現物給与:給与は、金銭で支給されるのが一般的ですが、住宅(社宅や寮など)の貸与、食事、自社製品、通勤定期券などで支給するものを現物給与といいます。
現物給与で支給するものがある場合は、その現物を通貨に換算し、金銭と合算して標準報酬月額の決定を行います。
今年の標準報酬月額の算定基礎届を提出するのが7月に迫ってきて、ご担当者様が不安になられたようです。当方の顧問先様などのお客様で、借り上げ社宅を含め社宅制度を導入している企業様が少なく、改めて勉強!
先に書いておきますが、税法上とは取扱いが違います。税法上の取扱いは、顧問税理士の先生か、税務署の担当部署へ。「豪華社宅」って言われても、分かりません…。
弊所・大阪社労士事務所のお客様であれば、近所だけかと思っていたら、支社・店舗や工場がある都道府県の現物給与の価額もチェックする必要があります。実際の勤務地で見るからです。
畳1畳(1.65平米)につき
京都府=1,670円、大阪府=1,620円、兵庫県=1,460円、奈良県=1,170円、東京都は何と2,590円
ケース1
家族で大阪市内北部の3LDKのマンションに、借り上げ社宅として入居したケース。勤務地は、大阪市の本町駅周辺=大阪府。
3LDKの3居室、リビングダイニングの面積を算出します。6畳6畳8畳の3居室、リビングダイニングが12畳だった場合は、次の計算式で現物給与の価額を算出します。
(6畳+6畳+8畳+12畳)×1620円/畳=51,840円
総床面積ではなく、あくまで居室の面積で計算します。江戸間とか京間とか団地サイズとか~。不動産広告のルールでは、居室などを畳数表記する場合、1畳=1.62平米以上で換算するよう定められているそうです。(出典不明)
この「51,840円」が現物給与の価額になります。
社員負担分(徴収額)がある場合は、差し引きして最終的な現物給与の価額を決めます。
個人負担分が、4万円の場合は、差し引き11,840円が現物給与の額として標準報酬に算入します。6万円の場合は、マイナスになるので標準報酬に算入する現物給与は無し。
Q8:住宅による現物給与の場合、台所・トイレ・浴室・廊下を含めた広さで計算するのか?
A:含めずに計算します。
価額の計算にあたっては、居間、茶の間、寝室、客間、書斎、応接間、仏間、食事室など居住用の室を対象とします。
玄関、台所(炊事場)、トイレ、浴室、廊下、農家の土間などの居住用ではない室は含めません。また、店、事務室、旅館の客室などの営業用の室も含めません。
(日本年金機構の現物給与QAから)
ケース2
単身者で、勤務地(大阪市本町駅周辺=大阪府)ではない、人気の兵庫県下の尼崎や西宮にワンルームで入ったケース。勤務地の額で計算します。
ワンルームの居室が12畳だった場合、12畳×1620円=19,440円←これが現物給与のベースの額。あとは、個人負担分がいくらなのかだけ。
2万円くらいなら、個人負担させるケースが多いかと。4万円やそこらで人気の住宅地ではワンルームも借りにくいですから。
※勤務地である都道府県による価額で計算します。
被保険者の人事、労務および給与の管理がなされている事業所が所在する地域の価額により算定することになるため、勤務地の価額となります。
※本社と支店等が合わせて1つの適用事業所となっている場合(本社で人事・労務・給与をまとめて管理している場合)は、それぞれの勤務地による価額で計算します。
通常、被保険者の人事、労務および給与の管理をしている事業所が所在する地域の価額により算定することとなりますが、現物給与の価額は本来、生活実態に即した価額になることが望ましいことから、本社・支店等それぞれが所在する地域の価額により計算します。
まとめたら
今回、久しぶりに現物給与について質問されたので、少し復習をしました。
居室の面積×都道府県ごとの額-個人負担の額=現物給与の価額
ゼロかマイナス時は、現物給与は無しとして扱う。
大阪府周辺なら、給与課税されないように、家賃(社員負担分)を設定するのが普通(知り合いの税理士先生複数曰く)なので、社会保険の標準報酬では現物給与にならないケースも多くありません。50%がボーダーです。
ただ、東京都や神奈川県に事業所がある場合は、再度チェックが必要かも知れません。
(神奈川県に事業所をお持ちのお客様で、社宅制度があるのは、確か無いはずですが。)
借り上げ社宅は、人材確保策・定着促進のテクニックとして使えるのですけれど、あまり騒がれませんね。
本町駅周辺に勤務地がある企業様、弊所のお客様なら、大阪メトロ中央線沿いに借り上げ社宅を設定することが多いです。なぜって?? 知らんけど、いや、ホンマは知ってるけど。
大阪社労士事務所
【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】
年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。
労働条件自主点検表が送付された場合の対応もおまかせください。
ご相談・ご依頼は、ご遠慮なくどうぞ。
電話 06-6537-6024(平日9~18時)
不在時は、折り返しお電話させて頂きます。
または、「お問い合せ」フォームから。
サイバー法人台帳への登録・診断のお手伝い
サイバー法人台帳ROBINS by JIPDECさんへの企業情報掲載、ホワイト企業宣言を支援しています。当事務所には、確認者がいますので、企業情報の確認・経営労務診断に対応しています。
https://robins-cbr.jipdec.or.jp/
働き方改革の情報も、就業規則見直しセミナー
次回のセミナー開催は、6月5日です。セミナーだけでなく、個別相談の対応も行っています。働き方改革対応セミナーも、同日開催。
「働き方改革・改正労働基準法セミナー」「働き方改革の前に働き方改善を先に・セミナー」の講師も承っております。
a:24189 t:1 y:0