「解雇できるんですか?」担当者からの相談

ある企業の人事総務ご担当者様から。
「解雇は、合理的な理由がなければ、解雇できませんよね?」

そのご担当者様が気にしていたのは、これ↓。

労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)
(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

私の返答は、こちら。
「解雇自体はできますよ。合理的な理由がなく、常識的におかしい場合は、その解雇が労働トラブルに発展します。それだけです。」

追記・平成29年11月28日:無効かどうか最終的に判定できるのは、裁判です。多くの場合、解雇の通告前に社会保険労務士なり弁護士先生に判断のアドバイスを受けるかと。ご相談いただいた企業様も社内で検討をしたが、結論は保留されていたそうです。

ご担当者様の反応は、「ああ、そういうことですか。でも、解雇できるんですね」と言うもの。数百名の企業規模で、今までは解雇自体ほとんどなく、今回対象になりそうな従業員が出てきたため、初めて社会保険労務士事務所に相談してみようと言うことに。

専門的な雑誌・書籍でも「労働契約法第16条に反するような場合は、解雇してはいけない(できない)」と述べているものが多いので、ということらしい。

追記・平成29年11月28日:無効か有効か、判断が難しい場合もあります。結果として企業側の判断、社会保険労務士などの外部専門家のアドバイスが誤っていたと言うこともありえます。

「解雇自体はできる」という回答は、かなり衝撃的だったようです。問題がないと言うことではありませんけど。

もちろん、弊所・大阪社労士事務所のお客様に、そんな合理的理由もないのに解雇をドンドン勧める訳もありません。お客様から事前に労務相談があった場合は、労契法やその他の労働関係法に違反しない形での自主的な退職策を模索します。退職勧奨も、そうそう簡単におすすめしません。

(事後的に「解雇した」と聞かされたケースは、解雇予告手当の請求で労働基準監督署から連絡があったり、弁護士事務所から内容証明が届きます。気持ち5割の確率で!)

お客様のご意向は最大限尊重した上で、労働トラブルに直結しない解決方法をご提案・提示するのは、社会保険労務士事務所としては当然です。

で、先の人事総務のご担当者様、実は相当上位の管理職だったりするのですが、「まず、注意・指導・教育ですね。もう少し考えてみます」とのこと。

刑事事件の加害者として疑う余地のない場合は、即時解雇を含めた解雇・懲戒解雇もありますが、それ以外の場合は、注意・指導・教育をもう一度見直した方が良いのかも知れません。エビデンスも何もない状態で、労務トラブルが外部に出てしまった場合は、負けます。

トラブルのない、企業経営・人事労務管理が一番です。



※守秘義務の関係で、内容は脚色しています。


大阪社労士事務所

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