「産休・育児休業の時の社会保険料を引かれています」

1年に数回しかない、従業員さんが弊所へ来てのご相談。誤解されるといけませんが、この従業員さんは、弊所のお客様の従業員さんではなく、ホームページをご覧になってのご相談です。

「先月育休から復帰したんですが、産前産後・育児で休んでいた時の社会保険料を給与から引かれていたんです。」
とは、先月育児休業から復帰された女性の方。
社会保険料、これから毎月、出産・育児の休業の間の1か月相当分を給与から控除するという通知を受けたと言う、期間にして約1年分とちょい。つまり、本来の社会保険料と合わせて2か月分を控除される計算になります。承諾も何も求められなかったそうで。この時点で、私はこの女性の方がお話しする内容が良く理解できず。

「健康保険から出る出産手当金と、雇用保険の育児休業給付は振り込まれていたんです。」
ますます、当方混乱します。
会社側が間違って社会保険料を控除しただけ?

その女性の方、もう少し詳しい内容を。
「そうなんです、総務に訊くと、会社の顧問社会保険労務士さんがしていなかったんだそうです。(免除の希望を伝えなかった?)」
守秘義務の関係や、社会保険労務士が特定できてしまうため、詳しいことは書けませんが、結構社員数・従業員数のある企業様ではないですか。

ここで、いったん産前産後休暇・育児休業の周辺の流れを整理。
(↓ 過去のブログから引っ張ってきました。)

●出産の予定日が決まる。
●産前休暇を取得・請求するのか。
●社員は、会社に産前休暇を請求。

◆会社は、産前休暇の手続き(年金事務所)。

●社員が出産。会社に、出産を報告。

◆会社は、産前休暇・産後休暇の確定の手続き。(年金事務所)

●社員は、育児休業を取得するのなら、会社に育児休業の請求。

◆会社は、育児休業の手続き(年金事務所、公共職業安定所)。

●育児休業の終了、職場復帰を会社へ届け出。

◆会社は、育児休業の終了の手続き(年金事務所、公共職業安定所)。

●短時間勤務を請求するなら、その手続き。

大ざっぱですので、実際には別の手続きが必要な場合もありますが、基本は「予定」「休暇・休業」「復帰・終了」の手続きが必要です。黄色のラインマーカー部分は、会社側・企業様が通常行う手続きです。保険給付は書いていません。

ヒアリングして、驚いたことに、何と「本人からの申し出がなかったので、社会保険料免除の手続きを行っていない。そのため、給与から~。」ということのようでした。総務のご担当者様も、会社の顧問社会保険労務士さんも、何も疑問を抱かなかったのでしょうか。確かに、被保険者からの申し出が、建前では必要だったかもしれませんが、出産手当金と育児休業給付の申請はされているのですから。勝手に手続きはできませんけど。
(勤務先の企業様からヒアリングしたわけではないので、どこまで事実か確認しようがありません。相談者様からの情報だけです。)

書類的には、「産前産後休業取得者申出書」「育児休業等取得者申出書」を年金事務所に提出するだけです。そして、終了日の変更があれば、変更の手続きは別途必要ですね。

ご相談を受けたのですが、私自身がどうこうできる内容ではなかったので、まずは「会社の総務担当」にもう一度相談・交渉していただく、それだけです。「~取得者申出書」には、会社のハンコが必要ですし、顧問社会保険労務士でもない当方が勝手に書類を作っても、というところです。遡って手続きできるんでしょうか、そんなに遡ったことないですね。保険料の時効が2年なので、できる?できなかった?←適当でスミマセン。

わずか1時間ほどの相談ですので、相談者様からの報告までは無いかもしれませんが、遡っての手続きが上手くいけば良いですね。まあ、勝手に過去の保険料を控除したら、労働基準法違反ですので。相談するなら、日本年金機構・年金事務所よりも、労基署かも…。

今回思ったのは、会社のご担当者様が「少し、気を利かす」のを忘れていたのでは無いでしょうか。総務・人事の仕事って、社内の人(役員だけでなく社員・従業員も)へのサービス部門ですから、ほんの少しで良いから気を利かせるなり。そして、委託先様も…。

社会保険料、1年だと結構な金額、数十万円になります。
忘れがちですが、会社側の保険料負担も免除ですから。
ちゃんと、よろしくお願いします。



今回のご相談から
●就業規則、育児介護休業等規程の不備
●産休、育休の際の手続きの流れの理解不足
(手続きのマニュアル化)
できることは、いくつもあります!

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大阪社労士事務所

【大阪社労士事務所は、公的保険手続き・給与計算・就業規則・労務相談を行う、ごく普通の社会保険労務士事務所です。】

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