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就業規則の届出

就業規則は、作成したらそれで終わり、ではありません。
作成した就業規則を所轄労働基準監督署へ届け出る必要があります。変更の場合も同様です。

<就業規則を届け出るときに用意するもの>
1.就業規則届
届け出をする就業規則の表紙になります。
決まった様式はありません。任意の用紙に会社の名称、会社の所在地、会社代表者(社長)の職氏名などを記載します。厚生労働省や各労働局のホームページには、届のモデル書式があります。意見書も同様です。
就業規則を作成した場合は「就業規則届」ですが、変更の場合は、「就業規則変更届」となります。

就業規則届(例)

○○労働基準監督署長 殿

令和  年  月  日

 今回、別添のとおり当社の就業規則を制定いたしましたので、労働者代表の意見書を添付のうえお届けします。

会社の所在地  大阪市西区西本町●-●-●
会社の名称   株式会社○○○○○○
代表者の職氏名 代表取締役 ●●●● 印

2.意見書
就業規則を作成、または変更をするときには、従業員代表の意見を聴くこととなっています。この意見書は、従業員の代表者に作成や変更した就業規則の内容を確認してもらい、意見を聴いたということを証明するためのものです。
就業規則届と同様、決まった様式はありませんが、従業員代表に氏名、就業規則に対する意見を書いてもらいます。特に意見がない場合でも、「意見なし」などと記入した意見書を添付します。

意見書(例)

令和  年  月  日

 株式会社○○○○○○
 代表取締役 ●●●● 殿

 令和  年  月  日付をもって意見を求められた就業規則案について、下記のとおり意見を提出します。


(例)・とくに意見はありません。
(例)・完全週休2日制になるよう労働時間を見直して欲しい。
(例)・パートタイマーも、慶弔休暇を取得できるようにしていただきたい。

従業員代表 □□□□ 印

3.就業規則
作成または変更した就業規則を添付します。
育児休業規程や介護休業規程、退職金規程など、就業規則から独立して別規程とした場合も就業規則と同様に届け出をします。
変更の場合は、変更になった部分を新旧対照表などにすれば、全文を添付しなくても構いません。

就業規則届、意見書、就業規則等をそれぞれ順番に重ねて、ステープラー(ホチキス)などでひとまとめにします。このセットしたものを2部用意し、労働基準監督署へ持っていきます。

1部は労働基準監督署に提出し、もう1部は労働基準監督署で受付印を押されたものを返却されるので会社で保管します。
(2部用意しますが、就業規則届と意見書は、1部だけ原本でもう1部はコピーでも構いません。その場合は、原本を労働基準監督署へ提出します。届・意見書の原本(正副の区別無いもの)を2部用意しても問題ありません。)

労働基準監督署へ直接持っていかなくても、郵送で提出することもできます。その時は、受付した就業規則を返却してもらうための切手を貼った返信用封筒を同封します。

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支社・支店・工場・店舗がある場合の就業規則

本社だけでなく、本社以外に支社や支店、工場、店舗などがある場合は、本社や支店、工場、店舗ごとに就業規則を作成し、それぞれの所在地を管轄する労働基準監督署に届け出ることになっています。

本社の就業規則と、支社・支店・工場・店舗などの就業規則の内容が同じであれば、本社で一括して、本社を管轄する労働基準監督署長へ、支店や工場、店舗などの分の就業規則を届け出ることができます。
(労働組合がなければ、一括せず、原則どおりの方法で届け出る方が良いかも知れません。)

<就業規則を本社一括届出するためのポイント>
1.まず、それぞれの就業規則を作成します。
本社の就業規則の内容と、支店や工場、店舗などの就業規則の内容が同じものを用いるのであれば、本社一括届出をすることができます。もし、内容が異なっていれば、原則どおり、それぞれの就業規則をそれぞれの労働基準監督署へ届け出ることになります。

2.就業規則の内容が同じなら、本社と支店や工場、店舗など、事業場分の就業規則を用意します。
(就業規則は、労働基準監督署長提出用と会社控えが必要なため、実際は事業場数×2の部数を用意します。)

3.本社、支社、支店、工場、店舗などそれぞれの事業場の従業員の過半数代表者の意見を聴き、その意見書の正本を就業規則に添付します。

ただし、各事業場の従業員の過半数が加入する同じ労働組合があるときで、各事業場の過半数労働組合の意見が同じときは、労働組合本部の意見書(記名押印がある正本)に「全事業場の過半数労働組合とも同意見です。」と、明記し、この意見書のコピーを添付することができます。

4.本社の就業規則と支店、工場、店舗などの就業規則の内容が同じであるということを就業規則届の余白部分、または届出事業場一覧表の欄外に明記します。

明記の仕方は決まっていませんが、たとえば、作成したときは「本社の就業規則と□□支店、△△工場、××店舗の就業規則の内容は同じです。」、変更のときは「本社の就業規則と各事業場の就業規則の内容は同じです。また、変更前の各事業場の就業規則の内容は、本社の就業規則の内容と同じです。」というようにします。

5.各事業場の名称、所在地、所轄労働基準監督署長名を記入した届出事業場一覧表を作成します。届出事業一覧表は決まった様式はありません。会社で任意に作成します。

届出事業場一覧表(例)

事業場の名称所在地
(電話番号)
所轄労働基準監督所長名備考
株式会社○○○○○○ 本社tel◇◇労働基準監督署長
株式会社○○○○○○ 東京支店tel□□労働基準監督署長
株式会社○○○○○○ 奈良工場tel△△労働基準監督署長
株式会社○○○○○○ 京都店舗tel××労働基準監督署長
※本社の就業規則と東京支店、奈良工場、京都店舗の就業規則の内容は同じです。

6.就業規則と従業員代表の意見書、届出事業場一覧表、本社と各事業場の就業規則の内容が同じである旨明記したものがそろえば、本社を管轄する労働基準監督署へ、すべての事業場分の就業規則を届け出ることができます。

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就業規則の届出よくある質問

Q.従業員の代表が、意見書を書いてくれないときはどうすればいいのでしょうか?
A.従業員に就業規則の内容を周知し、意見を聴いたけれど、意見書を書いてもらえないという文書を添付することで届け出をすることができます。

Q.就業規則の変更内容が従業員に有利なときも、意見書は必要ですか?
A.就業規則の変更内容が従業員に有利なものであるときも、従業員の代表の意見を聴き、意見書を添付しなければなりません。

Q.就業規則を届け出なかったら就業規則は無効ですか?
A.就業規則の届け出をしていなかったとしても、就業規則の効力は発生します。(周知が有効の要件)

Q.労働基準監督署で、労働条件の不利益変更は、どの程度チェックされますか?
A.労基署へ就業規則を提出する際に、労働条件の不利益変更はチェックされません。が、意見書の内容がひどい場合は、労基署の窓口で、色々と指導されるかと思います。労基署でチェックされるのは適法か違法かだけで、民事(不利益変更)について指摘することは通常越権行為です。が、有効性に疑問がわいてきますので、労働条件の不利益変更に該当しそうな場合の変更手続きは慎重に!

関係する法令等

労働基準法
第9章 就業規則
(作成及び届出の義務)
第89条 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
1~10号 省略
(作成の手続)
第90条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
2 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。


平成15年2月15日 基発0215001号

就業規則の本社一括届出について

 複数の事業場を有する企業等では、企業全体で統一的に適用される就業規則を定める場合が見られるが、このような場合の就業規則に係る指導については、各事業場がそれぞれに対して行うより、いわゆる本社機能を有する事業場(以下「本社」という。)を介して行う方が、より実効ある指導が可能となるのみならず、このような場合に各事業場の就業規則を一括して届出ることを認めることが行政庁に対する申請等に係る国民の負担を軽減する観点からも有効であると考えられる。
 このため、下記のとおり取り扱うこととしたので、その対応に遺憾なきを期されたい。

 複数の事業場を有する企業等が、当該事業場において同一の就業規則を適用する場合であって、本社において一括して就業規則の作成等を行い、かつ、本社以外の事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄署長」という。)あてに届け出る就業規則を本社の使用者が取りまとめて、当該本社の所轄署長に届出を行う場合には、次に掲げる要件を満たしているときは、本社以外の事業場の就業規則についても届出があったものとして取り扱うものとする。
1 本社の所轄署長に対する届出の際には、本社を含む事業場の数に対応した必要部数の就業規則を提出すること。
2 各事業場の名称、所在地及び所轄署長名並びに労働基準法(以下「法」という。)第89条各号に定める事項について当該企業の本社で作成された就業規則と各事業場の就業規則が同一の内容のものである旨が明記されていること。
 また、就業規則の変更の届出の場合にあっては、変更前の就業規則の内容についても同一である旨が明記されていること。
3 法第90条第2項に定める書面については、その正本が各事業場ごとの就業規則に添付されていること。


平成15年2月15日 基監発第0215001号

就業規則の本社一括届出の取扱いについて

 標記については、平成15年2月15日付け基発第0215001号「就業規則の本社一括届出について」(以下「局長通達」という。)において、一定の要件の下に認めることとされたところであるが、当該就業規則の届出(以下「一括届出」という。)に係る具体的な取扱いは下記に定めるところによることとしたので、適正な処理を期されたい。

1 本社の所在地を管轄する労働基準監督署(以下「本社所轄署」という。)における一括届出に係る取扱いについて
 本社所轄署における一括届出における取扱いについては以下のとおりとすること。
(1)局長通達記1から3までの要件を満たしていることを確認すること。
(2)(1)の確認の結果、すべての要件を満たしていると認められる場合には、受付後速やかに就業規則の届出がなされた企業の各事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「事業場所轄署長」という。)あて、別添様式を活用して当該事業場の就業規則及び意見書等を送付すること。
 また、一括届出がなされた就業規則である旨を索引簿に記入する等により、各事業所轄署から連絡等があった場合に、必要な対応ができるようにしておくこと。
(3)(1)の確認の結果、要件を満たしていないことが認められた就業規則については、一括届出は認められないことを説明するとともに、当該就業規則を各事業場所轄署に対して届け出るように指導すること。
(4)一括届出の受付に際し、届出の相手方に対して、法令、通達等に適合しない部分がある場合には、後日、事業場所轄署とも連携を図り当該就業規則に係る指導を一括して行う場合もあることから、就業規則の変更届出が必要となることがあり得ることを教示すること。
(5)本社所轄署においては、一括届出の受付後、本社の就業規則について、法令、通達等に適合するか否かの点検を行い、その結果、適合しないことが認められる場合には、本社所轄署の責任で本社に対して必要な指導を一括して行うこと。
なお、下記2(2)に掲げる事業場所轄署からの意見等があった場合には、当該意見等も踏まえた指導とするものとすること。

2 事業場所轄署における一括届出に係る取扱いについて
(1)本社所轄署から送付された一括届出による事業場の就業規則及び意見書が到着した場合は、一括届出がなされた就業規則である旨を索引簿に記入する等により、当該事業場からの問い合わせ等に適切に対応できるようにしておくこと。
(2)一括届出された就業規則については、本社所轄署から本社に対して指導を行うこととなるので、事業場所轄署においては、原則として管下事業場に対して指導することは要しないこととなること。
また、当該就業規則上、全社的な問題であって、速やかに改善を要するものが認められた
場合には、本社所轄署から一括指導を行うために必要な意見等について、本社所轄署に対して連絡すること。

3 その他
(1)平成7年12月26日付け基発第740号「同一企業が複数の事業場を有する場合の労働基準法に基づく報告、届出方法について」、平成3年3月15日付け基発収第20号の2「就業規則の届出に添付する労働組合の意見書の取扱いについて」等就業規則の作成・変更、届出に係る取扱いは、従来どおりであること。
(2)一括届出を行おうとする使用者から照会があった場合には、制度の概略を説明するとともに、事前に本社所轄署に対し、一括届出の要件等について照会するよう教示すること。



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