シニア社員・活用のポイント
シニア社員、増加の訳
ご存じのとおり、高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)により、65歳までの雇用が義務化されたからです。また、「働きたい」と思う60歳以上の方が増えたからでしょう。もちろん、公的年金(厚生年金)の支給が65歳までに引き上げられる状況下では、経済的にも「働かなければ」と思っても至極当然です。
※このページでは、主に「60歳が定年年齢、その後65歳まで継続再雇用された従業員(シニア社員)」の制度を想定しています。
シニア社員の賃金設定
「60歳定年で再雇用するんだけど、賃金はいくらに設定すれば?」
やはり、最近多いですね、この手のご相談。
実は、このご相談に関しての正解はありません。
モチベーションを考えるなら、60歳前と60歳後の賃金額は変わらず、がベストです。
「その再雇用する従業員さんに、いくら出してあげたいでしょうか。」
もちろん、定年後の再雇用ですので、賃金額で決裂すれば労働契約が締結できません。
大阪社労士事務所では、「再雇用申請書」によって事前に、定年予定の従業員から希望額や継続再雇用の希望を聴取しています。
シニア社員に対する公的助成
一番分かりやすいのが、公共職業安定所で手続きをする高年齢雇用継続給付です。
60歳後の賃金額が、60歳の賃金額と比べて、低下しているときに、最大賃金額の15%が継続給付として支給されます。会社ではなく、従業員(シニア社員)に対して、です。
これは、国が60歳後の賃金額が低下することを容認していると言って良いでしょう。即ち、60歳時の6割まで低下させたとしても、何も問題有りません。また、最低賃金に違反しなければ、6割まで低下させる方が良いとも言えます。
ただし、モチベーションの問題があるので、要検討です。
この「高年齢雇用継続給付」は、65歳までの雇用義務化と引き替えに廃止される方向でしたが、結局現時点でも廃止されずに制度が存続しています。(平成27年3月4日現在)
短時間正社員は導入できる?
定年後の再雇用の場合、短時間正社員は導入しやすいのではないでしょうか。
職場の事情をよく知っているから、とお答えできます。
導入できない場合もあります。
それは、残業時間が非常に多い職場です。
残業時間を減らすことが先ですが、さすがに「お先に失礼」は考えさせられると思います。
大企業からの人材採用
中小零細企業では、大企業を定年退職した人材を採用することも有るかと思います。
求めるスキルを明確にしておきましょう。
例えば、「経理に精通した人材」が欲しい場合であっても、決算書のチェックも、銀行の取引も、時には給与計算まで担当してもらうこともあるでしょう。
「約束が違う」「(お互い)聞いていない」とならないように、業務内容については十分調整しておきます。
「再雇用セミナー・再雇用研修」を受講した方なら、もっと良いはずです。
まとめ
「賃金が下がると、やる気が出ない」
「今までとやってる仕事は何も変わらない」
「65歳まで契約更新されるのか」
そんな従業員さんの声を聞かされています。
「賃金は今までと変わらず、仕事を楽に」
これは、無理な話だというのは、誰にでも分かります。
会社がすべきことは、次の2点に絞りました。
- シニア社員の仕事量、分担を見直す
- シニア社員に、後継者の育成・技能や技術の伝承を新たな業務に
「できない」ではなく、「そうしよう」でお願いします。
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