労働保険の未加入問題、会計検査院が指摘
最近、この手の記事を読まれた方がいるかも。タイトルは、労働保険料の未徴収~
建設業に携わる事業主が2022、23年度に実施した工事などに関して支払った労災保険料を巡り、会計検査院が全国1050の事業主を調べた結果、計約5771万円が適正に支払われておらず、徴収漏れとなっていたことが22日、分かった。検査院は労災保険を所管する厚生労働省に対し、事業主への周知や調査の徹底を求めた。
検査院によると、一定規模以下の工事を複数行う場合、事業主は各事業の受注金額を合算するなどして保険料を算定し、一括して申告・納付する必要があるが、480事業主は一部または全部の工事を合算するなどせず過少に算定。計約4153万円が未払いとなっていた。
また事務所や倉庫での作業については、建設工事とは別に保険料を納めるべきなのに、両方に従事する労働者について、一方の保険料しか支払われていないケースなどもあり、計約1618万円が不足していた。徴収漏れによる労働者への不利益はない。
厚労省は取材に「建築業の労災保険料の支払いに対する理解が職員や事業主で十分ではなかった。今後、通達などで周知を徹底していきたい」とコメント。徴収漏れを指摘された分は、一部で追徴し既に納付されたものもあるという。
(共同通信社)

1事業場1労働保険の原則
過去のブログ記事でも何度か取り上げていますので、簡単に労働保険の手続きについてメモしておきます。
- 1事業場ごとに1つの労働保険の手続きが必要(成立届)
本社だけでなく、支社、支店、営業所、店舗、工場なども事業場(事業所)であれば、それらについてそれぞれ手続きが必要。事業場の業種が同じなら、一括が使える場合もある。
これだけです。
今回、「事務所や倉庫」での労働保険手続きがされておらず、労働保険料が未徴収になっていた。それを会計検査院が指摘して、未徴収分(徴収漏れ)を徴収した、、、、、
今回「建設業」がピックアップされていますが、実は建設業だけの問題ではありません。
たまに言われるのですが、「常駐の社員がいない」場合でも、作業、例えば荷出し・荷受けする場所で、作業が週1あるいは月1でも、事業場として労働保険を成立させて、保険料の納付が必要となります。
(ただし、成立届と一括の手続きが必要になります。建設業以外の継続事業であれば、保険料は別途支払うことにはならないケースが多いかと。)
建設業の実際は
次の3つの労働保険があるのが、基本です。つまり、労働保険料の申告書が3つ(3本)です。1つしかない、元請けはないので2つしかない、は要注意です。
- 現場労災(有期)
- 雇用保険
- 事務所労災
資材置場、倉庫などは事務所と一緒にできる場合もあれば、別の場所であれば別の労働保険としての手続きが必要になることもあります。
(実際の手続きは、顧問社労士や労働基準監督署にご相談ください。弊所・大阪社労士事務所にご相談いただいても、電話等で実情が分からない状態ではお答えしようがなく「1事業場1労働保険」の原則でお答えすることになります。)
元請けしないので、現場労災がない? 安い工事でも請ける可能性があるのであれば、成立させておきます。
事務所労災は、現場の従業員がどの位の時間事務所にいるのかで算出します。事務員さんが常駐していれば、その方の賃金は満額を。現場メインの従業員は、1日に何時間いるのか、1時間なら1/8の賃金額を計算します。
ですので、建設業の場合、今まで事務所労災を成立させていないならば、前の文での「1/8の賃金額(賃金額の1/8)」が未払いとなります。
不明であれば、労働基準監督署にご相談いただくと、無料で相談できます。弊所・大阪社労士事務所の場合は、有料相談です。
大阪社労士事務所
【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】
年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。
労働条件自主点検表が送付された場合の対応もおまかせください。
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(社会保険労務士は、企業の経営労務監査を実施します。M&Aデューデリ、事業承継デューデリにも対応。)
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