育児休業給付は、手取り10割でなく、儲かる?
ある企業の男性従業員から、育児休業について相談を受けました。その企業の人事総務部署とは相談について了解済みです。
男性「この夏7月頃に、妻が出産するんですが、育児休業を取った方が良いでしょうか。先生のご意見をお願いします。」
私 「育児休業自体は従業員の権利なので、外部の社会保険労務士だけでなく、貴社も『育休を取るな』とは言えませんよ。」
まだしばらく先のことですし、ゆっくり考えれば良いこと。
どれくらい所得保障されるのか教えて欲しいと言うことで、資料をリンクで提示。
▶厚生労働省:育児休業等給付について
図表でパッと分かりやすいのが、これ。「育児休業等給付の内容と支給申請手続」パンフからピックアップ。
ざっと試算した
そして、手取りなどをざっと計算しました。
- 28日間育児休業を取得
- 基本給等28万円、通勤手当2万円の合計30万円
- 育児休業給付67%、ざっと20万円。でも出生後休業支援給付金のおかげで+13%なので、計80%。つまり24万円の給付金。
- 確かに今も手取り24万円ほどなので、手取り100%。住民税は12,000円ほどらしい
- 男性従業員の奥様も当たり前のように、勤務で今は産前休業に入る直前だとか
これなら、厚生労働省の説明通り。
===ココ以後、若干デジャブ===
でも、じっくり見て欲しい。
通勤手当は、育児休業給付の計算には入りますが、実際には育児休業期間中は使えない(使わない)。だから、育児休業前の本当の手取りは、24万円ー2万円=22万円。ご覧の通り、通勤手当分が「トク」になってる計算に。
はい、手取り100%保証どころか、、、、、
ちなみに奥様の通勤手当を伺うと、何と勤務先まで徒歩らしく、通勤手当はゼロだそうで。
育児休業給付は所得税非課税なので、1ヶ月分ほど課税所得が下がるので、来年の住民税は今年よりも安くなるはず。→つまり、住民税額が下がり、保育料にも影響することに。
これだけお伝えすると、男性従業員曰く
「これって、育児休業を取らないと、逆に損になるってことですよね。通勤手当のことまで全く考えていませんでした。住民税も言われれば下がりますね。」と。
===ココまで、若干デジャブおしまい===
これで相談はいったん終わりました。
そうなりましたか~
数週間後、別件で冒頭の企業に訪問。
改めて、先日の男性従業員が寄ってきて、ひとこと。
「実は、育児休業は取り止めになりました。同じグループの方が、メンタル系で休職してしまい、手一杯なので休めなくなったんです。」
30名40名の企業なら、仕方ない部分もあるかも知れません。短期の派遣社員や休職の従業員の方の分の派遣社員を入れても良いのにと思ったのですが、費用とのバランスでボツになったらしい。業務的にも、一般事務じゃないことは当方も把握しております…。
育児休業28日の取得でもお金的にはプラス、良いのに、何かもったいないような気がします。
(権利をゴリゴリ主張されなかったので、そう言う気持ちになりましたわ。)
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