「手当をカットしたら、従業員が辞めてしまう」
回り回って、弊所・大阪社労士事務所にご相談に来られた中小企業の経営者さま。間に二人三人入っていて、元の紹介者はどんな方か存じ上げていません。
この企業や今回のトラブルの情報をメモしておきます。
- 従業員数は少なく、ただ人数的には2桁
- 最近事業承継を行い、今の経営者さまはいわゆる2代目
- 顧問社労士はおり、顧問社労士に賃金体系の見直しを依頼した。
- 手当を整理、支給条件に適合していなければ手当をカット
(条件がそもそも無かったが、今回の見直しで条件を付けたらしい) - 労働条件の不利益変更としての説明会や個別の説明はなかった
- 手当を整理、支給条件に適合していなければ手当をカット
約半年後の施行ということで、手当のカットまではまだ多少の時間はあるけれど、個別に手当カットの話し(こうなりますという通知≠話し合いや説明では無い)をすると多くの従業員から「それは無茶」「手当カットされたら、確実に退職する」声が出てきて。それで、今回紹介者を通して、弊所にお越しいただいた。
どれぐらいの手当カットかというと、30万円の額面で25%ほどのカット。75,000円ほどになりますでしょうか。40万円で8万円9万円ほどのカット額。(どちらもカット額が多い従業員の場合)
労働条件の不利益変更は?
まずは、参考条文を置いておきます。
労働契約法
(労働契約の内容の変更)
第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。
(就業規則による労働契約の内容の変更)
第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
いろいろな見方がありますが、労働条件を会社の都合で勝手に変えることはできないとされています。とくに賃金の変更、切り下げは従業員にとっては最大の関心事であり、今回のように2割3割になるようなカットは労働トラブルにつながり、危険です。
外部に相談されてしまう?
経営者さまが心配していたのは、従業員が辞めることはもちろん、労働トラブルとして外部に出てしまうことを嫌っていました。が、このレベルだと外部に相談してもおかしくないですねえ。
では、従業員はどこに相談する?(メモ程度)
- 労働基準監督署
原則労働条件の不利益変更は、労基署では取り合ってくれません。監督官が扱える法令でもありません。 - 労働局(紛争調整委員会によるあっせん)
こちらでは、不利益変更を扱ってもらえます。事業主・使用者から申し立て(申請)することもできます。 - 弁護士
労働関係に詳しい弁護士も多いですので、親身に対応してくれることです。ただし、内容が民事なので、労働審判や裁判までする気があるのか。 - 労働組合
地域ユニオンに駆け込んで、と言うのが考えられます。
では、最近流行り(?)の公益通報者保護法で、どこかに通報等できるのか。対象法令には、労働契約法は含まれていません。ですので、公益通報等は、、、、、
今できること
顧問社労士の案どおりに手当カットを実施した場合の従業員の動向は、正直なところ「見えない」、そう経営者さまはおっしゃっていました。また、何人かは辞めても仕方ないが、メイン戦力の人材には手当カット分を補填したいとも。
まだ残り5ヶ月ほどあるそうですので、手当カット分は補填できるところはある程度補填するしか無い旨、お伝えしました。2割3割のカットは、大きすぎます。
「なぜ手当カットに至ったのか」伺うと、人件費の圧縮が目的ではなく、適正な支給条件のもとに諸手当を支払う仕組みに変えたかったと言うことらしく。それを顧問社労士がどう受け取ったのか、カットカットを行う案になり、労働条件(額面)の変更を従業員に提示する際に、経営者さまは初めて知ったとか(ホンマかなあとは思います、どんな社労士?)。
再度、顧問社労士に「手当カット分の補填案・激変緩和策」なり、「諸手当の支給条件の改めての見直し」を話すことを、アドバイス。顧問社労士の変更までは言っておりません!
あっ、また相談料をいただくのを忘れました。が、知り合いの○○先生のお役に立ったのであれば、まあエエか~。
※守秘義務の関係で、大幅に脚色しています。
大阪社労士事務所
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