「建設業の働き方改革は、どこも対応済みだ」

ある建設業を営む企業様から、相談を受けました。
「今年の4月から建設業にも労働時間の上限規制が始まりましたが、まだまだ弊社では対応仕切れていません。期間限定で構いませんので、人事労務や労働時間に関してのアドバイスを受けたいのですが。」

その企業の情報を書ける範囲でメモしておきます。

  • 大企業(親会社)のグループ会社で、大阪府内に本社がある。
  • 今回のような顧問契約は、親会社の許可(了解)を受けるのが慣例。
    • 「親会社も自社の実態を知っているので、外部の社労士にアドバイスを求めるのを反対しないはず」グループ会社の担当者のお話
  • 親会社は、すでに2021年ごろ・3年ほど前までに労働時間の対応は済んでいる。
  • 資本関係としては、連結対象ではないらしい。このブログでは便宜上、大企業を「親会社」と表現しています。

と、書きすぎたかも知れませんが、これだけで企業名等は特定できないはずです。(それは、諸々の事情があるので~)

実は、このご相談を受けたのは、数ヶ月前でした。企業内で何度か検討した上で、社内だけでは労働時間の対応は無理と判断し、連絡会議(グループ会社などが集まる会議)でも親会社に支援をお願いしたが、状況が違いすぎるため親会社自体は支援を断った…。

それで、今回のご相談・顧問契約の依頼につながったとか。

大阪社労士事務所:「建設業の働き方改革は、どこも対応済みだ」

親会社の反応

親会社の担当役員(担当不明)に諮ってもらうと、タイトル通り「建設業の働き方改革は、どこも対応済みだ。2024年4月を過ぎているじゃないか」という意見が飛び、顧問契約はなかったことに。数ヶ月前は内定だったので、契約書等は交わしていません。

親会社のウェブサイトを拝見しても、確かに数年前には労働時間の上限規制はクリアしているようでした。最近はひたすら、SDGsや災害対応、BCPに対応されている雰囲気が漂います。

グループ会社なので、資本関係より人的関係の方が強く、反対を押し切ることも可能だったそうですが、親会社との関係を考えると、、、、、。

グループ会社の現状

いろいろ伺いました。ざっとメモしておきます。

  • 就業規則の対応ができていない
    割増賃金60時間の区分さえ対応できていない、とか。
  • 上限規制の対応
    4週6休にするのか4週8休にするのかさえ決まっていない。現場は確かに4週8休になっている(らしい)
  • 移動時間の問題
    これを解決しないと、上限規制の対応も何も始まらないはずが、実働はほぼグループ会社(親会社は監理だけらしく、移動時間の問題は少ないらしい)
  • 人材確保の問題
    若手の技術者・技能者・作業員が採用できない。長時間労働や休日の少なさが原因であることは自覚している。あと、日給制も。

グループ会社は、どこも同じような状況らしく、元請事業もしないとやっていけないとも。
連結対象の子会社は、ほぼ親会社と同じような労務の状況らしい(と、らしいが多いのは確認できず伝聞のため)

「2019年度には分かっていたはずだ」

親会社の管理部門担当役員曰く「2019年4月から大企業の時間外労働の上限規制が始まっていて、建設業はそれが今年の4月まで猶予されていたので、弊社(親会社)も遅くはなったが3年前には上限規制の対応などは済ませている」と。

だから、今更外部の社労士からアドバイスをもらうためにお金を支払うなど無駄であり、連絡会議でも何度も他社の事例も共有していたので、対応できないはずがない、営業担当役員も現場担当役員もそういう認識だとか。

お断りの連絡は面談ではなく、電話で届きました。
「親会社は分かっていないんですよ。もうグループから離脱したい気分です。今回はスミマセンでした。」
そう言って、電話は切れました。

ちゃんと本当に対応できていれば良いですが、初回の面談打ち合わせ時には「グループ会社は、どこも労働時間の上限規制どころか管理も出来ていないのが実情です」と話されていたのを思い出しました。書いたように数ヶ月前のこと…。

※守秘義務の関係で、脚色しています。企業名等は特定できません。∵踊る

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