過半数代表者の選出について疑念があるので…確実な選出

労働基準監督官の臨検調査で言われた言葉ではなく、知り合いの同業者(社会保険労務士)から言われました。
「新しく顧問契約をいただいた企業なので、36協定や賃金控除協定を締結したのですが」の後に来たのが、このタイトル通りの言葉です。

「過半数代表者の選出について疑念があるので。これは、確かめた方が良いですよね?」と。

従業員の過半数代表者については、過去にもブログ記事で何度か取り上げています。
過半数代表者の選出の例
意見書と労働者の過半数代表者
意見書と労働者の過半数代表者(別内容)

厚生労働省の公式資料も見ておきます。
▶厚生労働省:36協定での過半数代表者(高知)
▶厚生労働省:派遣労働者の過半数代表者(同一労働同一賃金絡み)
▶厚生労働省:労使協定等の労働者の過半数代表者の選出(愛媛)

理屈については、厚生労働省のPDFや愛媛労働局の説明で十分かと思います。

大阪社労士事務所:過半数代表者の選出について疑念があるので…

実現可能な選出方法

○○についての労働者の過半数代表者を選出するのか、まずこの部分をはっきりさせておきましょう。多くの場合は毎年締結する36協定(時間外労働協定)、1年単位の変形労働時間制を適用しているならその協定。真面目な企業であれば、毎年のようにある就業規則の変更届の際の意見書を書いてもらう場合。そうそうないのが、賃金控除協定。

理想は、選挙です。
弊所・大阪社労士事務所のお客様の場合、年に1回、過半数代表者を選挙で選んでいます。とは言っても、2名以上の候補者が立候補することはあまりないので、1名の立候補者に対する信任投票を行っています。

これで1年間の過半数代表者が必要な手続・書面等に関しては、その信任された従業員・社員が過半数代表者としての職務を行います。

過半数代表者を選出するための規程

そのものは、アップしませんが、参考になれば。

目的は、上記の愛媛労働局のページに列記されている就業規則、労使協定等に加えて、高年齢者雇用安定法、育児介護休業法、場合によっては労働者派遣法等々の労使協定類を含めます。この目的にない場合は、改めて過半数代表者を選出する建前です。
(「その他の労使協定」「全ての労使協定」とすると、目的を特定していないので、私は列記しています。)

期日は、お知らせの日付=選挙人の確定、立候補の受付期日、投票日が必要です。店舗や飲食店などシフト制のある事業場の場合は、投票日も1週間くらいを設定するのが良いかもしれません。

あとは、書きましたが、1名なら信任投票、2名以上なら選挙を行います。ですので、投票という行為・投票日は必要です。

過半数代表者の任期は、弊所・大阪社労士事務所のお客様の場合は、書いたように1年です。これを2年にするのか、3年にするのか、あまりに長期だと問題になるかもしれません。

もっと簡単に選出する

朝礼がある事業場であれば、その際に「今度の36協定のときの過半数代表者を選びます」と言うことで、選出するのが簡単です。心理的安全性の高い職場であれば、「○○さんが良いと思います!」とか声が出るはずですね。

あるいは、「私がやります」と立候補してくれるかも~。

その方々に対して、信任の挙手などで選ぶのが民主的でしょう。

間違っても、親睦団体の長=自動的に過半数代表者として選出するのは、よろしくないでしょう。目的の面、信任を得たかどうかの確認は必要です。

朝礼がない場合は、「回覧方式で」「グループウエアを使って」過半数代表者を選出します。どのような方法でも結果が分かるようにしておきます。

(テクニックとしては、「異議のある方、挙手をお願いします」方式にすると楽かもしれませんが、厚生労働省の見解では選任を支持しているかどうか明確ではないので、否定的な手法です。)

これで確実な選出

これを説明すると、冒頭の同業者、一言。
「やっぱり、それぐらい指導しなければならないですか?」

就業規則の意見書は横に置いといても、各種労使協定は過半数代表者の選出がいい加減だと、協定自体の有効性が関係してきます。臨検調査でも最近は厳しくチェックされる部分なので、キッチリしておきたいところ。

お客様にリスクにならないような労務管理をアドバイスするのが社会保険労務士の仕事なので、多少面倒でもお客様に伝えるべきことは伝えます。

※守秘義務の関係で、少し脚色しています。少しだけ~

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