「チューター手当を支給したい」
あるお客様から、こんなご相談を受けました。
「チューターをやってもらっている社員に、手当を支給したい。内容と金額についてのアドバイスをお願いしたい。」
企業情報について詳しくは書けませんが、大阪府内に本社を置く中小企業です。資本金についても、確か数千万円だったはず。
この手の質問・相談については、基本的な考えは「支給することを企業の側で決めたのなら、手当の水準と支給条件を提案する」のが、社会保険労務士の仕事です。これ以外にも相談内容があったので、後日訪問してきました。
(こちらのお客様は労務相談顧問ではなく、スポットでその度ごとに報酬をいただいています。)
企業におけるチューターは、主に同じ職場の先輩従業員が担当します。業務を通じて新人や若手従業員にノウハウや知識を教える教育方法を「OJT(On the JOB Training)」といい、OJTの指導を行う従業員をチューターと呼びます。
メンターとは違います。メンターは入社して数年の社員がOJT以外で新入社員にアドバイスをする、そんなイメージで良いかと。
メンター手当は、OJTの指導や教育なので、支給しなくても良いものです。OJT手当や指導手当などと言われることもあるようです。ですので、額としては5千円、いくら出したくても1万円は高いかなと思います。
ここで、お客様からこんな言葉をいただきました。
「実は、その新入社員ですが、軽度の知的障害者でして。それで、同じ職場の女性社員にチューター役をお願いしました。」
担当のベテラン女性社員は非管理職で、チューター役を命じたのは今回が初めてだと言うこと。
その女性社員から管理職に相談があったのが、「普段の業務に加え、チューター役を押し付けられて、業務負担が多くなっている」とのこと。確かに残業時間も新入社員の入社前、入社後で、前年と比較すると増えているらしい。
チューターではなく、別の方が
その障害を持つ社員ですが、言われたことは全てノートにメモしているそうで。ただ、記憶が苦手で、言われたことがどこのページに書いてあるのかそれを覚えていない…。そのため、同じ作業、手続を何度もチューター役の女性社員に訊いてしまう、と。
その企業の方に言いました。
「もしかして、ジョブコーチってご存じじゃなかったですか?」
ジョブコーチ
ジョブコーチ(job coach)とは、障害者の就労に当たり、出来ることと出来ないことを事業所に伝達するなど、障害者が円滑に就労できるように、職場内外の支援環境を整える者を指す。
一見障害者には見えない発達障害者の就労で多用される。資格は特にないが、福祉に関心のある者が、短期講習で養成される場合が多い。
(ウィキペディアから引用)
「実は、数週間前にジョブコーチのことを知りました。それまで、知的障害者を社員として雇ったことがありませんでしたので。」
採用ルートによっては、ジョブコーチ(職場適応援助者)のことを伝えられることもありますが、今回の方についてはそういう情報もなかったようで。
今から新たにジョブコーチを手配することはなく、今の体制で行く事になった、ついては少しでも担当の女性社員の気持ちに応えるために手当を支給しようか、と。女性社員は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のジョブコーチ養成研修なども受講していない(知らなかったので、仕方ない?)。
結果としてのチューター手当
結果として、チューター手当を支給することは決定しました。
新入社員の入社時に遡り、手当を支給し、それに伴い残業代単価も見直して差額を支払うことに。幸か不幸か、月変も該当せず、算定も等級は変わらず。
私 「スポットでなく、顧問契約も是非是非ご検討くださいね。」
よくある「人事総務で対応できてるのに、何で社労士と顧問契約しないとアカンのや」という役員様が多いようで、なかなか顧問契約は難しいと伺っています。が、今回のようなことがあると、ねえ。
※守秘義務の関係で、相当な部分を脚色しています。
※「手当」「障害者の雇用」の部分は事実です。
大阪社労士事務所
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