就業規則は、どこまで細かく作り込めば良いのか

今回も同業者(社会保険労務士)との雑談の中から出てきた話題です。私の方が社労士歴は長いのですが、相談レベルではなく、単に雑談として出てきた「就業規則は、どの程度厳しく作れば良いのか」をベースにしています。

何度か同じような内容でブログ記事を上げているかと思いますが、これが今の気持ち=2024年版と思っていただけたら幸いです。
(今回も、生成AIは使っていません~)

当方の結論を書いておきます。(持論と言われるものです)
「多少ツッコミできるレベルの内容を規定にしておく。ただし、曖昧な内容で良い部分、手続きなどで日数を明示・確定する部分は、はっきり分けて考える。」

ガチガチにしようと思うなら、こちらの書籍が参考になります。
人事院規則(アマゾンアフィ)
令和7年版で言うと、1800ページです。これだけ書いても実際の運用においては、「はて」状態になることや解釈自体に疑問が湧くケースもあると聞きます。

ちなみに規定の考え方で悩んだときには、人事院規則を参考にすることがたまにあります。

大阪社労士事務所:就業規則は、どこまで細かく作り込めば良いのか

曖昧で良い部分とは

例えば、「服務規律」です。
これは、想像できる全てのケースを事細かく書くことは事実上出来ないと思います。そのため、曖昧な表現というか、包括した書き方になっていたり解釈次第ではどうとでも取れるような場合もあります。

厚生労働省モデル就業規則の第11条に、このような規定があります。
●在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しないこと。

「どこまでが機密なのか」とすぐに思い付きます。公開されている情報は、機密にはならないはずですので、会社の売上げは対象外でしょうかね。(決算公告しますので)

機密=非常に重要な秘密の事柄、ですので、ごく限られた職責の者しか機密情報はお持ちではないかなと。であれば、機密でなく「秘密」としておく方法もあるでしょう。

機密自体の定義があやふやなので、本来なら定義しておきたいところです。

明確にする部分とは

就業規則には、書類の提出期日を決めている規定がいくつもあります。

例えば、入社時の提出書類、届け出事項に異動があった場合、病気欠勤時の医師の診断書が分かりやすいでしょうか。

「いや、ウチの就業規則には、入社時の提出について期限切ってないなあ」と言われることも少なくありません。が、入社時の書類が遅れるというのは問題です。鉄は熱いうちに打て、ではありませんが、最初が肝心です。

病気欠勤時の医師の診断書も、病欠4日以上にしているケース、1日でも診断書が必要な規定、等々多いです。

あと、「直ちに」、「速やかに」、「遅滞なく」が使われていれば、意味も考えておきましょう。「遅滞なく」はできるだけ早くという意味合いですが、「事由の発生後3日以内、ただし会社が認めた場合は~」と書いておくと分かりやすくなります。

従業員に言いたいことは明文化

例えば、「出勤時は元気にあいさつして欲しい」のであれば、それは遵守事項としてルール化、明文化しましょう。常識的に認められることであれば、就業規則に規定化しておきます。

微妙なのは「若い社員は電話を率先して取る」。会社によっては、何コールまでと暗黙のルールにしていることも。このあたりは、表現を含め慎重にルール化しましょう。

特別休暇での実例

労務相談顧問をいただいている会社から、慶弔休暇で「父母が亡くなった場合」で質問をいただきました。

「父母って、配偶者の父母は含むのでしょうか?」
(脚色しています。就業規則は当事務所で変更等していません。)

悩むのなら明確にするために規定を変更・見直しをするだけです。ああ、この場合は「いわゆる実の父母、養父母」という理解で良いかと。

規則類を変更したくない

このように言われることも、1度や2度ではありません。
理由をそのたびに伺うのですが、「何度も労働基準監督署に届け出するのは面倒」「取締役会で説明をするのが、イヤでイヤで」と聞かされています。

「総務部限りの内規で良いでしょうか」とか「規則は変えずに、社内通達で何とかなりませんか」とも言われます。
(お客様が見ていないことを信じます…。)

就業規則の規定を、労働条件の不利益変更にならない範囲で(なったとしても従業員説明で)変更すると少し労働トラブルから避けることができる場合があります。

無断欠勤時の対応や、休職・復職の周辺が代表的です。
無断欠勤で書くと、解雇だけで対応するのか、連絡が取れなければ公示送達を使うのか、人事総務がラクをするにはどうすれば良いのか。

規定を変えるだけで、労働トラブルに発展する可能性を少しでも下げることが出来る場合も少なくありません。

ガチガチの就業規則にしても

文句を言いたい従業員・社員は、ガチガチの就業規則でも文句の類いを言います。また、規定はキッチリしていても誤った運用でクレームを招いていたり。

ホワッとした就業規則であっても、この言葉を使っておくと、安心できることが増えます。それは、、、、、
「協議、話し合い」

この後に続くフレーズが大事かも知れません。と言うか、就業規則の作成主体を考えれば当然のこと。「会社(企業)が決める」を入れておきます。「書いてないから云々」を言う人たちはイヤですから(弊所・大阪社労士事務所の内部での経験から)。

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【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】

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