労働時間管理は、何から確認すべきなのか(実例)
今回の記事は、人間が書いています。そのため、まとまりは無いかも知れません。が、だいたいこの順で確認してもらうのが楽です。
ある企業からのご連絡です。企業の情報を書ける範囲で書いてみます。
- 大阪府内の企業で、従業員数は9名以下
- 連絡のキッカケは、事業承継(先代社長から現社長に代わってすぐ)
- 業種は、書けません(珍しいので、分かる人には分かるらしい)
- オーダーは「労務管理全部チェックして欲しい」(急ぎ、労働時間面)
大まかに書くと、今回は次の順番で労働時間管理にアプローチしました。
- 労働時間の確認の手法
- 1日の労働時間
- 1週間の労働時間(変形労働時間利用なら1ヶ月等も)
- 休日の設定、法定休日の設定
- 36協定
労働時間の確認の手法
労働時間の確認は、タイムカードで行われていました。ただし、出先への直行時・直帰時はタイムカードの打刻は無し、かつ出先の確認もありません。
時間外労働については、最早常識となった残業伺い・残業申請ではなく、書面等無し。また、時間外労働に関しては、固定残業代となっていました。計算したところ、相当な部分が未払い状態になっています。
(労働基準監督署に申告されると、一発でアウトです)
1日の労働時間
1日8時間です。何時から何時までと書くのは控えます。
上で書いたように、残業伺い等がなく、固定残業代の支払いと言うことで、タイムカードだけで判断すると、1日11時間以上の日もありました。かなり危険な状態です。休憩時間を1時間とすると、8時8時とか9時9時です。
タイムカードに関しては全員分ではなく2名分だけチェックしています。が、チーム(?)で行動することも多く、まあ2名のチェックで傾向は見えてくると判断しました。
1週間の労働時間(変形労働時間利用なら1ヶ月等も)
休日とも絡んできますが、所定は週40時間。変形労働時間制は導入していません。と言うことは、完全週休二日制なのかと思いましたが、タイムカードには週1日しか打刻されていない日がない。
もちろん、時間外労働・残業と同じく、休日出勤の伺いや申請はありません。
このあたりについて、社長に質問すると「チームリーダーが各人で判断して行動している」とのお答え。年齢構成を伺うと、結構平均年齢が高めで、チームリーダーは私などと大して変わらない…。
休日の設定、法定休日の設定
いちおう土曜日曜が休日の設定で、夏季休暇(お盆休み)と年末年始の休暇はある、と。でも、年間休日が1xx日ならおかしい。
1年変形を使って、何とかクリアできる労働時間のはずが、、、、、
年間カレンダー自体は用意されていたものの、これだとやはり1年変形としか見えない(1年変形の協定も届も行っていない)。
36協定
今まで36協定は労働基準監督署に届け出たこともなく、過去に労働基準監督署等から「届け出しろ」と言われたこともないらしい。確かに少人数なら、いろいろな調査から漏れてしまうことはあるので。
ここまで来て、労働時間と休日の関係をにらむと、単純に「月45時間(以下)、年360時間(以下)」で上限時間を設定することもできますが、1年変形が気になってしまう、、、、、
月に45時間を超える時間外労働もあることはあるが、特別条項付きはできれば届け出したくない(個人的感情)。改めて確認すると「残業に関しては、気にしていない」との社長のお言葉。
何から手を付けるのが正解?
今回のご依頼はご予算の制約で、労働時間管理の面を中心にチェックしてくれ、そして報告書を上げてくれ、です。その報告書を見て、実際に行動や届け出ができるのかを確認するとのこと。できそうであれば、顧問契約をするつもりらしいのですが…。
月に80時間を超えるような時間外・休日労働はないので、労働基準監督署の調査のように、そこまで厳しくは言えません。まずは、労働時間の整理が必要、時間外等は伺いが必要、固定残業代は現状のままでは見直しが必要、くらいでしょうか。
すでに報告書はお渡ししましたが、報告説明の際「全否定ですね、ウチのこと」と社長からお言葉をいただきました。モノ作りの一端に関係している企業なので、こういう報告書はイヤなのかも知れません。
帰り際に「とりあえず、しばらくは先代社長のやり方でやるのがマシかも知れませんね」と。依頼時からだいぶんトーンが下がりましたね、社長!
※守秘義務の関係で、脚色しています。また、一部内容については創作しています。そうしないと企業が特定されるためです。
大阪社労士事務所
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