新型コロナが5類に移行した際の企業の対応
新型コロナウイルス感染症が、感染症予防法(感染症法)の2類相当「新型インフルエンザ等感染症」から、大型連休明けの5月8日の月曜日に5類へ移行します。
企業の対応としては、どうなるのか。
「5類になったからと言って、ウイルス自体が全く別モンになるわけじゃないでしょ!」
「他の社員に移したらアカンわね。」
雑談の折、そんなことを言われます。
が、大抵の方、これを言うと反応が怖い。
「インフルエンザ(季節性インフル)と一緒で、就業禁止にはできませんよ。」
7日とか5日とか休めというのは、学校保健安全法(施行規則)から導かれるもので、感染症法でも就業制限は掛かりません。労働安全衛生法でも同じ。
(規定を引っ張ってこようと思いましたが、規定だらけになりそうでしたので、止めました。根拠規定・条文はすぐに検索できます。感染症法では1類2類3類+新型インフルは就業禁止、安衛法では結核以外は感染症法の規定によります。)
つまり、企業の側で「出勤するな」と言った場合は、その命令の根拠がない状態に。就業規則に「感染症法の4類5類も出勤停止とする」旨の規定があれば、いちおう休ませることはできます。
(医療機関や社会福祉施設であれば出勤停止の基準や規定を盛り込んでいるでしょうが、飲食店や小売り店でそこまでの規定、果たして盛り込んでいるのでしょうか。えーっと、飲食店のスタッフがセキやクシャミを発していたら、感染症うんぬんに関係なくイヤですよ。)
休ませると、休業手当が問題になります。
「労働基準法通りの6割でええでしょ。」
ここで問題となるのが、法令や就業規則の根拠。先に書いたように法令では出勤停止・就業禁止にしろとは書いていません。
最近は「民法通り、100%払うのが筋」と考える弁護士の先生も増えているようです。6割で正当かどうかの立証は、企業側にあります。
「(季節性)インフルエンザでも普通は休ませるでしょ??」
いえ、39度40度近い高熱が出ていると、まともに働くことはできないと思うんですが…。だから、インフルで熱が出たら年次有給休暇を従業員・社員が自ら使って休みますよね。
まあ、自社の就業規則の「就業禁止、出勤停止」の項目を確認した方が良いかも知れません。
熱が出たら(令和5年4月28日(金)追記)
新型コロナウイルス感染症が出てくるまでは、冬場に熱が出ると「風邪かな、高熱が出たら(季節性)インフルエンザかな」くらいの認識でした=私の場合。39度40度を体温計が示しても、「2日ほど寝ておくか」と考えたり、解熱剤を飲んで事務所まで行って給与計算をしたり。
皆さんの認識は分かりませんが、37度を超えないと診療所までは行かない、そんな気がします。熱が37度(過去だと37度5分)をこえないと、企業の側としても「クリニックに行け」と言いにくい気がしますが…。費用負担の問題もあります。
大阪府では、無料のPCR検査も3月末で終了したそうですし。
「同居の親族、とくにお子様」が新型コロナウイルスに感染した場合の対応程度は考えておく方が良さそうです。→ある女性社労士から「お母さんなら、自分から仕事を休んで子どもの面倒見るんじゃ無いですか」という突っ込みをいただきました。年休があれば年休で、年休を使わなくても子の看護休暇がありますわ。
企業の人事総務ご担当者との雑談から~
5日間の外出は控える(令和5年5月8日(月)追記)
同業者から次のような意見をいただきました。
「厚生労働省は『発症の翌日から5日間の外出を控えるよう推奨、軽減してから24時間の外出を控えるよう推奨』になっていますが、根拠になりませんか?」
無料PCR検査制度が無くなったことで、発熱しないと医療機関には行かないケースが増えるのではないでしょうか。だから発症日が見えにくいんです。厚労省の目安を根拠にしても良いと思いますが、法令が根拠とはなっていません。あくまで「推奨」ですからねえ。
ある企業の総務部員から聞いた情報では「4月になって社員全員に抗原検査キットを配布した」。調子が悪くなって陽性反応が出たら、5日間出勤停止にするらしいです。こんな企業様もあります。
大阪社労士事務所
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