建設現場までの移動時間は、労働時間か?
先にお断りしておきます。この内容は、同業者(社会保険労務士)との雑談で出たトピックをベースにしています。特定の企業様の状況をブログ記事にしておりません。
なお、【取扱注意】でお願いします。
(∵これが全てのケースで正解という訳ではありません。)
「建設業で、会社事務所に集まってから実際の工事現場に行くことがあると思うけど、その移動時間は労働時間になるのか?」
例えば、所定労働時間が8時間、午前8時から午後5時までの場合、現場まで1時間掛かる場合は、片道1時間・往復で2時間は、残業代の対象となる時間外労働になるのか?
この建設関係での移動時間に関しては、裁判例がいくつか出ていますが、このブログでは取り上げません。弁護士の先生や他の社労士の先生がウェブに掲載していますので、そちらをご参照ください。
(「建設 移動時間 裁判例」でグーグル検索してもらえれば…。)
現実には、多くの中小建設業様においては「移動時間は労働時間という認識はない」のでは。労働時間=事業主の指揮命令下にある時間なのですが、多くの場合、「労働時間(時間外労働)」とみなされてしまうかも知れません。
同業者(社会保険労務士)との雑談では、グーグル検索で「なるほど!」と確認しながら、話しは進みます。この話題を振った張本人(社労士です)は、調べたけれども結論は発見できなかった、と。
先の例であれば、、、、、労働時間にしないためには、
- 建設会社がすること(メッセージ)
- 現場までの移動手段・方法については、各社員の自由であること
- 現場に「午前8時に集合」と伝えること
- 会社のワゴン車に同乗して現場に行く場合は、それは各社員の任意であること
→工場へ通勤するための会社所属のバスを使うのと同じイメージ - ワゴン車に乗っても、自由に時間を使えること
- その他、もろもろ
- 建設会社がしてはいけないこと
- 「会社に午前7時に集合、現場に8時までに到着」と言うこと
- 会社のワゴン車の中で「今日の工事、作業の手順は~」と、同乗している各社員に説明すること
- 乗車前に、資材機材を載せる作業をさせる
- その他、もろもろ
↑↑ 全てではないけれど、一応参考までに。
移動時間の長短
はい、現場までの移動時間、移動距離が短い場合は、自力で移動することも容易でしょう。クルマを運転することが好きな方であれば、逆に自分で運転したいと思っても不思議ではありません。もっとも街中だと駐車料金が高いので、それなりに考えると思います。
逆に、長時間の場合は?
会社のワゴン車に同乗することが自然、それとも運転が好きな方なら? 絶対に「ワゴン車同乗」が絶対とは言い切れません。
(「現場、知らんやろ」と思う向きもあるかと思いますが、これら全部同業者(社会保険労務士)との雑談で出たことで、私が話していることだけではございません。)
まあ、通勤経路を会社としては把握する必要はありますので、単発・短期間の現場では結構難しいでしょうか。
社員が、技能実習生なら?
概ね、すでに述べた内容と変わりません。
が、移動手段についての大きな疑問。
「自動車やバイクを持っているのでしょうか?」
私自身が、その建設会社の顧問社会保険労務士であるのかないのかで、判断は大きく違います。
顧問契約をいただいてなければ、「監理団体に確認してください」とお返事するしかありません。顧問契約をいただいておれば、情報をヒアリングした上で個別のアドバイスを行います。と言う、ごく当たり前の対応になります。
また、企業の側ではなく技能実習生さんから相談を受けた場合は、希望に添うように関係機関に連絡するようアドバイスします、おそらく。
作戦を練るなら
同業者(社会保険労務士)との雑談で出てきたのが、、、、、
●休憩時間を上手く設定する
10時と3時(15時)に休憩を取るのを上手くはめ込む
(昔、週6日にするため、休憩時間を利用したことがあったのを思い出しました。万が一トラブルの際、被害(?)は最小限に。)
●出張にする
結局、指揮命令下にある時間かどうかで判断されるので、有無を言わせず同乗させるなら、出張としてもアウトですかね。
●作業手順の説明時だけ労働時間にする
折衷案というか、何というか…。
だから「このワゴン車で」の時点で、やはり指揮命令下にある時間と判断させても仕方ないです。
その他にもいろいろアイディアは出ましたが、ブログに載せれるものはありませんでした。
結論は、労働時間?
▶厚生労働省長野労働局:上田労働基準監督署作成のリーフ
「普通は、ワゴン車同乗やろ」
「当日の作業手順くらい、車内で話して当たり前やろ」
そう発想してしまうと、現場までの移動時間=労働時間と見なさざるを得ないところです。
どうすれば、移動時間を労働時間にしないようできるのか?
同業者(社会保険労務士)との雑談ですので、特定の建設会社様のことではなく、おそらく他の社労士先生の頭に浮かぶ建設業の顧問先様のことだろうなとは思います。
2年後の2024年に、建設業で適用される時間外労働の上限規制に対応するためには、このあたりも含めいろいろ労働時間問題を解決したいですね。
2年(もう約22か月ですが)あれば、手は打てます。
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