「賃金制度を変更して、賃金カーブを変えたい」

今回は、顧問先様や企業の方からのご相談の類いではありません。実は、同業者の社会保険労務士から相談が来ました。
(先に書いておくと、相談料を支払うと言われたのですが、結論の出ない内容でしたので、請求はしていません…。)

2件同じタイミングで、ほぼ同じような相談内容です。
「人事制度・賃金制度を変更して、賃金カーブを修正したい。不利益変更もどうしたら良いのか。」
賃金カーブをなだらかにして、人件費の負担を軽くしたい、そう読めます。2件2社とも数百名規模の企業様・団体様です。

その賃金制度の成り立ちや設計思想を無視する形になりますが、賃金表を書き換えるのが、一番手っ取り早いやり方です。

●俸給表(公務員タイプ)
例えば、上位との号俸差が6000円とします。35歳までは修正せず現状のまま、それ以後45歳までは3分の2の4000円、それ以後55歳までは2分の1の3000円を号俸差とします。3段書きにしても良いでしょう。年齢や○分の○は、仮です。ベースアップがある場合は、それを考慮して修正します。

大阪社労士事務所・「賃金制度を変更して、賃金カーブを変えたい」

●段階号俸表
号俸差が1500円とします。上記「俸給表」と同じような考え方をすることができます。あるいは、昇給時のアップ号俸数を変更します。(A評価時に4つ号俸が上に行くのを3つにする、など)

設計思想は無視する形になりますが、手っ取り早く賃金カーブを修正できますし、モデル賃金も即提示できます。65歳までの定年延長時にも対応が比較的簡単です。

不利益変更の対応は

「将来に対して」と「今、不利益に(賃金減額)」の2種類があります。後者は、等級見直しや評価し直しで降給または降格する場合がそれに当たります。降給等の場合は、調整給や特別手当で2,3年で償却するケースが多いですが、ある企業様にご提案したら「即時対応で」と言われたこともあります。

手法は色々ありますが、細かいテクニック的なことは別の機会にでも書きたいと思います。

大まかには、次のような感じです。

  • 従業員説明会、個別の同意書の徴収は必須
    • 私なら、95%以上の同意が欲しいところ(ある弁護士さんは80%とか85%でも押し切ると伺ったことがあります)
  • 総人件費は、改定前を下回らないことを目標に
    • 訴訟を前提にするなら、弁護士さん曰く「ここ、大事」と
  • 賃金カーブの修正、不利益変更の必要性
    • 理由がないと、、、、、説明できません。バーター、代償措置も準備しておきましょう
  • 経営陣も身を切る覚悟で
    • 以前書いたかも知れませんが、とある有名企業様の場合、役員報酬には1円も手を付けなかったとか。とある上場企業の関連会社さんの場合、社長で月30万円まで下げられてました
  • 世間の情勢も感じながら

実際には、顧問として立ち入らないと、事情や情報が分からないので、全く別の手法を提案することもあります。

で、結局はどうなった?

同業者のお二人とも電話で20分30分ほどでしたので、その他の周辺情報を提供しただけに終わりました。

まず、経営者・経営陣の皆さんがどう思っているのか、どうしたいのかが分からないと適切な答えを見付け出すのは難しいです。(賃金カーブを修正したいだけでは、「どう思っているのか」本当のところが分かりません。)

そのお二人はお二人とも、そこの部分をヒアリングしていなかったようで、「賃金カーブの修正」「不利益変更の対応」だけを聴いただけに留まっていました。それも含め、ご提案、案内しました。

ブログのネタになる相談をいただきました。
ありがとうございました。

※内容については、脚色しています。

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