半日年休で、休憩時間がないのは違法?

ある企業様が、半日単位の年次有給休暇の制度を導入する前に社内検討会を開きました。半日年休は、年次有給休暇の取得促進策の一つであり、従業員・社員から「1日単位だけだと取得しにくい」そういう声が上がってきたそうです。

その企業様のデータは、次のとおり。

  • 従業員数は、101人以上500人以下
  • 業種は、商社なのかIT企業なのか製造業なのか不明
  • 始業9時、終業18時、休憩時間は正午から1時間、1日の所定労働時間は8時間
  • 時間単位年休は、管理の手間と年休取得5日義務の対象外の関係で、導入はしないことを決定済み

弊所・大阪社労士事務所への相談は、次の2点

  1. 半日を午前、午後で区切る方が良いのか、それとも4時間で区切る方が良いのか、問題点があれば指摘をして欲しい
  2. 半日年休取得日に、時間外労働をした場合の取扱いについて

ザックリしていると言えば、ザックリとした問題です。とくに1つ目の区切り問題は出がちで、午前午後で区切ると、午後が5時間となり午後年休を取る従業員・社員が増加する懸念があるとか。

大阪社労士事務所・半日年休で、休憩時間がないのは違法?

私 「4時間で区切れば良いのではないでしょうか? 3時間5時間で悩むよりは前向きかと思います。」
企業様「でも、前半の4時間だと、お昼休憩があるので午後2時までになって、損した気分になりませんか?」
私 「貴社が特定業種か確信できませんので、『一斉休憩の適用除外に関する労使協定』を結んでください。それで、前半の4時間は休憩無しの午後1時で終われますよ。」
(特定業種:官公署、接客娯楽業、通信業、映画・演劇業、金融・広告業、運輸交通業、保健衛生業、 商業)

一斉休憩の適用除外に関する労使協定書には、法定の書式がないので、必要な項目で作成すれば良いだけです。半日年休の問題だけではなく、いわゆるお昼当番もこの協定が必要なんですけどね、特定業種以外は。

企業様曰く「実はこっそり、午後1時終了にしてもバレないかとは思ったのですが」らしい。ただ、他の方が休憩に入っているのに、前半の半日年休を取得した自分だけ働くのはチョットきついなあと思うのは私だけ??

終わったかなと思ったら、半日年休取得日の残業問題。
今でも年休取得日に、取引先からの連絡があって、終業時刻後に出勤せざるを得ない場合があるとか。3時間4時間の残業が生じると。今想定しているのが前半の半日年休を取った後に所定労働時間の後半を出勤した場合に、3時間4時間の残業がある場合。

そうです、休憩時間がない(設定がない)。でも、先の労使協定を締結しておけば大丈夫。今回ご相談を受けるまで、気が付いていませんでした。6時間超の労働で45分以上、8時間超で60分以上のアレです。どうでしょう、午後8時から1時間休憩とか! 「早く帰りたいのに」と怒られそうですが、法律ですから…。
(休憩時間を取らせないと、場合によっては労働基準法違反になってしまいます。)

実は休憩時間の問題ではなく、担当者さんが気にしていたのは「3時間4時間の残業に割増賃金を払う必要があるのかどうか」。現実には、所定労働時間外には割増賃金を支払うように賃金規程・給与規程に規定されているところがほとんどだと思いますし、チラッと見せていただいた賃金規程もそのような規定に。
(俗に所定労働時間主義とも。現実にはこの所定労働時間主義を選択する企業様が多いのではないでしょうか。)

私 「労働基準法は、実労働時間主義を取っていますので、半休後の『3時間4時間の残業』を割増無しの100%で支払うことも可能ですよ。8時間までですから。ただし、貴社の賃金規程は変更する必要がありますけど。」

★「労働基準法は実労働時間主義」と書いていますが、法令ではない行政通達にしか記載されていません。それ故エビデンスになり得ないとは思いますが、矛盾しています。年休取得=この場合8時間労働に換算は、便宜上です。年休取得日の賃金支払いも、「相当額、平均賃金、標準報酬日額」があることを考えてもお分かりでしょう。

企業様は、管理職者もご担当者様も理屈が欲しかったようで、就業規則・賃金規程・労使協定は、自社対応で考えているそうです。単発の相談だけでなく、労務相談顧問もご利用ください。

勉強させていただき、ありがとうございました。

※守秘義務の対象はありません。失礼しました。

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