休業手当を支払った場合の算定基礎届
気の早いお客様から、「新型コロナウイルスの関係で休業手当を支払う場合の算定基礎届って、普段どおり(?)に計算して記入すれば良いの?」という質問をいただきました。
リーマンショックの時は、思い起こせば、ほとんど気にしていなかったかも。シビアな健保組合さんや厚生年金基金さんに算定基礎届を提出しても、何も指摘されなかったような気がします。
先に、参考になるサイトへのリンクを貼っておきます。
▶日本年金機構:定時決定
↓ ↓ 日本年金機構ではありませんが、Google検索で出てきたので。どちらも分かりやすくて、詳しいです。
▶関東ITソフトウェア健康保険組合の資料
▶中部アイティ産業健康保険組合の資料
▶神戸機械金属健康保険組合の資料
勘違いされるご担当者がいますが、4月5月6月というのは支払った日の属する月です。4月分5月分6月分という意味ではありませんので、念のため。
なお、以下個人的なメモになります。それ故、間違った解釈をしているかも知れません。顧問先様でない場合、責任は取れませんので、悪しからずご了承ください。顧問契約の無い企業様の相談には応じておりません。
(2020年5月10日午前10時に、ここから後の内容を訂正しました。)
休業手当を支払わなかった場合
幸運にも、休業を行わず、休業手当を支払うことがなかった場合は、通常どおりに算定基礎届に記入します。4月5月6月のいずれの月も休業手当を支払わなかった場合です。
在宅勤務などでテレワーク手当、在宅勤務手当を支払った場合は、金額によっては随時改定の対象になるかも知れません。対象になった場合は、月額変更届が必要です。
全日出勤日数がゼロの場合で、通勤手当を支払わなかった場合は、随時改定の対象になりません。←間違ってたら、スミマセン。
10割の休業手当を支払った場合
10割の休業手当を支払った場合、すなわち以前と変わらないような額面を支払った場合は、何も気にせず算定基礎届を作れます。
(2020年5月10日10時修正)
勘違いしていました。念のため、年金機構の「算定基礎届の記入・提出ガイドブック」から引っ張ってメモしておきます。
- ケース⑦ 一時帰休による休業手当が支給されているとき
- 7月1日時点で一時帰休の状況が解消している場合
⇒4、5、6月のうち、休業手当を含まない月を対象とします。
なお、4、5、6月いずれにも休業手当が支払われている場合は、一時帰休により低額な休業手当等に基づいて決定または改定される前の標準報酬月額で決定します。- 「9.その他」欄に休業手当の支払月、一時帰休の実施期間(解消したときは「○月○日一時帰休解消」等を記入します。
- 7月1日時点で一時帰休の状況が解消していない場合
⇒一時帰休による休業手当等が支払われた月のみで算定するのではなく、通常の給与を受けた月も併せて、報酬月額を算出します。- 「9.その他 」欄に休業手当の支払月、一時帰休の実施期間(開始したときは「○月から一時帰休」と記入します。
- 7月1日時点で一時帰休の状況が解消している場合
▶厚生労働省:「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について〔健康保険法〕(平成29年6月2日)(事務連絡)
- 問3 定時決定の算定対象月に休業手当等が支払われた月がある場合、標準報酬月額の決定に当たって、一時帰休の状態が解消しているかどうかを判断する必要があるが、どの時点で一時帰休解消を判断することになるのか。
(答) 7月1日時点で判断する。
なお、標準報酬月額決定の際に一時帰休の状態が解消している場合の取扱いについては、問7を参照のこと。 - 問7 「9月以降において受けるべき報酬」とは、どのように算出するのか。
(答) 7月1日の時点で一時帰休の状況が解消している場合の定時決定では、休業手当等を除いて標準報酬月額を決定する必要があることから、通常の給与を受けた月における報酬の平均により、標準報酬月額を算出する。
例えば4・5月に通常の給与を受けて6月に休業手当等を受けた場合、4・5月の報酬の平均を「9月以降において受けるべき報酬」として定時決定を行う。同様に4月に通常の給与をうけて5・6月に休業手当を受けた場合、4月の報酬を「9月以降において受けるべき報酬」とする。
なお、4・5・6月の全てにおいて休業手当等を受けた場合は、休業手当等を含まずに決定又は改定された直近の標準報酬月額により、定時決定を行う。
旧・社会保険庁時代の通達に、「低額な休業手当を支払っている場合は、例外的な取扱いをする」(下の休業手当を支払った場合 )とあります。「休業手当10割支給」なら、例外的な扱いはしないで良いという判断もできます。が、「通勤手当を一部でも支払わなかった」場合は、低額な休業手当支給として取り扱われます。また、「残業代があるはずが、一時帰休で残業代が支払われず所定賃金だけなので云々」であれば、低額な休業手当に該当しないのだろうかという疑問もあります。
→所定賃金(基準内賃金)10割支給の場合でも備考欄に「◯月◯日から◯月◯日まで休業手当支給」旨をご記入いただくようお願いします。年金事務所(日本年金機構)で最終の決定はしてもらえます。
▶厚生労働省:一時帰休等の措置がとられた場合における健康保険及び厚生年金保険の被保険者資格及び標準報酬の取扱いについて
保険者に問い合わせた結果
追記:2020年7月6日
休業手当を所定賃金の10割(100%)支払った場合は、「備考欄に休業手当を支払った旨、書かないで欲しい」と、ある保険者(と、ぼやかします)に言われました。記入すると正規のルールでチェックしないといけないから??
ただ、所定内の賃金・給与は10割支払っていても、通勤手当は全額または一部カットされているケースも見られました。立ち入らない方が良いのかも知れません。社会保険労務士的には、「低額」に引っ掛かっていますので、備考欄に記入しています。
休業手当を支払った場合
休業手当を支払う場合が、ココになります。
注意することが2つあります。
- 算定基礎届を提出するタイミングで、休業状態が解消されているか。
- どの月に休業手当が支払われているか。
4月支払いから、また毎月末締めの場合は5月支払いから、休業手当を支払っているのではないでしょうか。緊急事態宣言の関係がありますので。
自分の言葉で書こうと思いましたが、書けませんので、神戸機械金属健康保険組合さんの言葉を引用します。以下の枠内、非常に大事です。
1 提出時(7月1日から7月10日の間)の状況で算定基礎届を提出します。
①算定基礎届提出時↑に既に一時帰休の状況が解消している場合
4月・5月・6月のうち一時帰休による休業手当等を受けた月を除き、残りの報酬月額の平均で提出していただくことになります。
なお、4月・5月・6月のすべての月において一時帰休による休業手当等を受けている場合は、従前の標準報酬月額で提出していただくことになります。
②算定基礎届提出時↑に一時帰休の状況が解消していない場合
4月・5月・6月の報酬月額の平均で提出していただくことになります。
年金機構の情報も貼り付けておきます。月額変更届=随時改定の手続きですが、通常支払いになった場合にも必要です。※随時改定は2等級以上の上下です。低額の休業手当を支払う場合は、月額変更届を出さないといけないこともあります。
7月以降は、休業がないことを信じ、この程度にしておきます。
(休業することがあれば、低額の休業手当の場合、手続が増えます。)
メモ:支払基礎日数17日以上→休業日は賃金支払基礎日数に含める、短時間は11日以上、休業手当の場合は備考欄に休業の旨を書く、7月に休業手当の支払いがないことを祈る、休業手当とは労働基準法等で支払いが義務付けられているもの≠休職給(民事)、一時帰休が3か月を超えないときは随時改定は行わない←やっと年金機構の図表の意味が分かりました→復帰月からは随時改定の対象になる=要チェック
仮定で、ケース検討
『7月1日には一時帰休が解消できている前提』休業手当を支払った場合、休業手当の支給率(額)によっては月額変更届の必要あり、算定基礎届の手引きで要確認※仮リンク
4月7日から5月31日まで休業(緊急事態宣言の間ずっと)
- 15日締め25日払い
4月分:休業手当あり、5月分:休業手当あり、6月分:休業手当あり=従前- 休業手当の支給率(額)によっては、7月8月9月の10月改定ケースあり(10割なら不要)
- 20日締め末払い
4月分:休業手当あり、5月分:休業手当あり、6月分:休業手当あり=従前- 休業手当の支給率(額)によっては、7月8月9月の10月改定ケースあり(10割なら不要)
- 末締め、翌月15日払い
4月分:休業手当なし、5月分:休業手当あり、6月分:休業手当あり=4月分
4月13日から5月15日まで休業
- 15日締め25日払い
4月分:休業手当あり、5月分:休業手当あり、6月分:休業手当なし=6月分 - 20日締め末払い
4月分:休業手当あり、5月分:休業手当あり、6月分:休業手当なし=6月分 - 末締め、翌月15日払い
4月分:休業手当あり、5月分:休業手当あり、6月分:休業手当なし=6月分
6月15日(20日)までに休業が解消できれば、取りあえず必要以上に考えることなく算定基礎届を提出できそうです。3月分は休業手当を支払っていないお客様がほとんどなので。
随時改定は? 月額変更届は?
随時改定に該当するかどうかは、いつから休業手当を支払っているのか、休業手当の支給率(額)がいくらなのかによって変わります。上記ケースは、あくまで算定基礎届の方法だけです。休業の開始時期はもちろん、通常賃金を支払うようになった月(復帰月)も随時改定の対象になり得ます。4月昇給等の固定的賃金変更があれば、休業手当を含めて7月改定の対象。
随時改定の個人的メモ
1)休業3か月を超えなければ、随時改定の対象外。超えれば随時改定、賃金等のチェック。
2)休業が解消すれば、随時改定の対象かをチェック。
3)報酬の変動は、「休業(一時帰休)」と「休業終了(一時帰休解消)」がワンセット。
4)休業手当を含む支払い月を含んで算定した場合は、休業終了の随時改定の対象。→2)
10割の休業手当なら、月額変更届を考える必要はありません。上にも書いているように「7月1日の時点で一時帰休(休業)が解消」しているのか。解消していないと、4月5月6月でいったん算定しますので、解消時に月変チェックが必要。
追記:2020年6月26日
昨日付で、公開されていました。
▶日本年金機構:【事業主の皆さまへ】新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における標準報酬月額の特例改定のご案内
・翌月から改定可能に、でも既に過去なのでは?
・本人の同意が必要
・電子申請には、対応していない
結果として
給与計算ソフトでは、休業手当の場合の算定基礎届までカバーしていないと思います。(設定次第だそうです、教えてもらいました。)
4月は、緊急事態宣言の日(大阪なら4月7日に対象に)の週末や翌週から休業される事業所さんが多いような印象です。15日締めの企業様なら4月支給の給与から休業手当を支払っているのでは。20日締めなら4月支給分から、末締めなら5月支給分から休業手当を支払ってるところでしょうか。
日本年金機構・年金事務所が行う算定基礎届の説明会に参加されることをおすすめします。
いっそのこと、社会保険労務士事務所、弊所・大阪社労士事務所と顧問契約を結ぶのも良いかも知れません。
▶労務相談顧問
▶ZOOMでの相談顧問もOK
▶就業規則の作成・変更・見直し
2020年5月10日一部修正
2020年5月12日一部修正
2020年5月22日一部修正追加(随時改定・月額変更届)
2020年6月26日追記(コロナ特例の随時改定)
2020年7月6日追記(休業手当10割支給の場合の問合せ結果)
大阪社労士事務所
【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】
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2020年6月29日241,2020年6月25日199、2020年6月23日179、2020年6月18日174、2020年6月17日169、2020年6月16日155、2020年6月15日152、2020年6月12日131